1. トップ
  2. 住まい
  3. 売主「どうせ壊す家にお金をかけてもなあ」10年以上放置した“築80年の実家”で、内覧者が目撃したモノ

売主「どうせ壊す家にお金をかけてもなあ」10年以上放置した“築80年の実家”で、内覧者が目撃したモノ

  • 2026.10.22
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

地方の不動産会社で売買仲介の営業をしている平田です。古民家や空き家を扱うなかで「親が住んでいた実家を相続したものの、遠方に住んでいるので何年も放置している」という相談は多く寄せられます。

住む人がいなくなった家では、予想外の問題が発生することも多いです。今回は、10年以上空き家だった古民家の内覧中に、天井近くを飛び回った"黒い影"のエピソードを紹介します。

10年以上空き家だった築80年の実家

私が担当したAさん(65歳・男性)は、県外にお住まいの方です。10年以上前に両親が亡くなり、山あいの町にある実家(築80年の古民家)を相続しましたが、使う予定もなく長年放置していました。

「いつまでも放っておくわけにはいかない」と、当社に売却のご相談をいただきました。近所の目や人が勝手に入り込むといった心配もあったため、買主が見つかるまでの間、月1回の空き家管理もあわせてご依頼いただいています。外回りの見回りと、窓を開けての換気を行う、費用を抑えた簡易なプランです。

建物は傷みが激しく、Aさんに建物を残したいという希望がなかったため、古家付き土地(建物が建ったままの状態で、土地として売り出すこと)とし、買主が解体しても、修繕して住んでもよいという条件で売り出していました。

「どうせ壊すかもしれない家に、お金をかけても」

室内には、残置物(前の住人が残していった家具や生活用品)が多く、さらに居間の床や縁側、物置では動物のフンのようなものも見つかりました。私はAさんに、専門業者による清掃と片付けを提案しましたが、返ってきた答えは「どうせ壊すかもしれない家に、お金をかけてもなあ」というものでした。

解体される可能性を考えると、室内にはできるだけお金をかけたくないという考えでした。費用を負担するのは売主のため、その判断を尊重し、清掃はせずにそのまま売り出すことになりました。

内覧の最中、天井近くを飛び回る"黒い影"

売り出しから数か月後、古民家に興味をもった方から内覧の申し込みが入ります。古民家や空き家をリノベーション(大がかりな改修)して住むことに憧れている方でした。

内覧当日、玄関を開けて室内へ入ると、天井近くを何やら黒い影が飛び回っているのを発見。どこかのすき間から入り込んだコウモリでした。

内覧者の方は天井を見上げ、「これは…住むなら手を入れるところが多そうですね」とひと言。急いで窓と戸を開けて待つと、しばらくしてコウモリは外へ出ていきました。

結局、この方は「建物の状態が悪く、修繕に多額の費用がかかりそう」と購入を見送られます。コウモリだけが理由ではないものの、私としては、室内を飛び回るコウモリが少なからず印象に影響したのではないかと感じています。内覧後に売主のAさんに報告すると「コウモリは困ったね。でも、買主さんはいつか見つかるだろうから、気長に待つよ」とおっしゃっていました。

コウモリは勝手に捕まえられない

入り込んだコウモリの種類まではわかりませんが、コウモリは、わずか1.5cmほどのすき間からでも入り込むといわれています。古民家に限らず、新築住宅でも換気口やエアコンの配管まわり、軒下のすき間などから侵入することがあるそうです。昼間はすき間に潜み、夕方に出入りするため、昼間の見回りでは気づきにくいのも厄介な点です。

また、コウモリなどの野生動物は鳥獣保護管理法(野生の鳥や獣を守るための法律)で守られており、許可なく捕まえたり殺したりはできません。対策は、窓を開けて外へ出ていくのを待つ、忌避剤(動物が嫌がるにおいなどで寄せつけない薬剤)を使うなど、追い出す方法が中心になります。

今回は窓と戸を開けていったん外へ出せたものの、入り口はふさげていないため、また入ってくるおそれがあります。根本的な対策は、追い出したあとに入り口をふさぐことです。しかし古民家は、瓦のすき間や換気口、基礎部分、外壁のひび割れ、戸袋など入り込める箇所が多く、すべてをふさぐのは簡単ではありません。

さらに、市役所などは駆除を行っていないことが多く、専門の駆除業者やペストコントロール協会(害虫・害獣対策を行う業者の団体)などに有料で依頼するのが一般的です。

解体する可能性があっても、売れるまでは商品

古家付きで売る場合でも、買主が決まるまでは内覧者に室内を見られる可能性が高いです。解体が前提でも、残置物の片付けや清掃をするかどうかは、費用や内覧時の印象、売り方の希望をふまえて、不動産会社とよく相談して決めましょう。

人の出入りがなくなった空き家は、動物が棲みつきやすくなります。動物のフンや棲みついている痕跡があると、印象が悪くなるだけでなく衛生面でも問題があるため、売り出す前・売り出し中の家の状態にも、ぜひ目を向けてみてください。

参考:
家にコウモリが住み着いている。(横浜市)
野生鳥獣の捕獲について(東京都環境局)
コウモリが家に棲みついてしまった場合は、どうすればよいですか。(仙台市)



ライター:平田翔(宅地建物取引士)

大学卒業後、アパレルメーカーとブライダル関連会社でマネジメント業務に従事。その後、福岡のハウスメーカーへ転職し、約3年間、新築建売住宅の販売や土地の仕入れ・不動産調査業務を担当。現在は地場の不動産会社にて、中古物件・古民家の売買仲介、空き家の利活用サポート、移住相談などを行う。不動産の実務経験を活かし、不動産ライターとしても活動中。


【エピソード募集】ご近所・引っ越し・内見で…「えっ!」と思った体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる

注目コンテンツ