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妻「家賃だけで、あと…」思わずがため息…月10万円の仮住まいで新居完成を待つ40代夫婦が直面した“誤算”

  • 2026.11.8
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

土地を購入すれば、あとは建物の計画に沿って工事を進められると考える方も多いのではないでしょうか。周囲に住宅が立ち並んでいれば、なおさら安心するかもしれません。

しかし、土地によっては着工前に必要な手続きや調査があり、希望する時期に工事を始められないこともあります。

今日は、土地の購入時に聞いていた「ある手続き」を簡単に考えていたことで、入居予定と家計に影響が出たご夫婦のお話をご紹介します。

周囲に住宅が並ぶ土地で、注文住宅を計画

注文住宅を建てるため、市内で土地を購入した40代のAさん夫婦。周辺には住宅が立ち並び、買い物にも便利な立地を気に入っていました。土地の購入後は工務店と間取りなどの打ち合わせを進め、新居が完成するまでは、月10万円の仮住まいで過ごす計画です。

契約前の重要事項説明では、不動産会社から、購入予定の土地が「周知の埋蔵文化財包蔵地」に含まれ、建築にあたって届出が必要だと聞いていました。これは、地中に遺跡などの文化財が存在すると知られている区域のことです。

聞き慣れない言葉でしたが、Aさんは周囲の住宅を見て、それほど難しい手続きではないだろうと考えていました。

「周りにもこんなに家が建っているんだし、書類を出せば済むんじゃないかな」

妻も、家づくりに必要な手続きの一つとして受け止めており、入居予定に影響する可能性までは考えていなかったそうです。

間取りが決まり、着工時期を相談すると…

土地の購入後、夫婦は工務店との打ち合わせを重ねました。キッチンの配置や収納の広さなどが決まり、ようやく間取りがまとまったころです。着工時期を相談すると、担当者から、埋蔵文化財に関する手続きや調査の要否を、自治体へ確認する必要があると説明されました。

「こちらで自治体に確認し、必要な手続きや調査を踏まえて工程を調整します。結果によっては、ご希望の着工時期を見直すこともあります」

Aさんは、土地の購入時に届出が必要と聞いていたものの、書類を提出すれば工事を進められると思っていました。隣で聞いていた妻も、戸惑いを隠せませんでした。

「それって、引越しの日も変わるかもしれないってこと?」

夫婦はこのとき初めて、必要な手続きや調査が、入居予定にも影響する可能性を知ったのです。

試掘調査の日程を踏まえ、着工予定を変更することに

購入時から、土地が「周知の埋蔵文化財包蔵地」に含まれることは分かっていました。しかし、調査が必要になる可能性や、その場合の工程への影響について、関係者の間で具体的な確認ができていなかったのです。

工務店が建築計画をもとに自治体へ確認したところ、今回は着工前に試掘調査が必要だと分かりました。試掘調査とは、土地の一部を掘り、遺跡の有無や状況などを確かめる調査です。

Aさん夫婦は、購入時に聞いた届出の説明を、書類上の手続きとして受け止めていました。一方、不動産会社と工務店の間でも、必要な対応を早い段階で共有し、工程に反映することが課題として残ります。

その後、調査の日程や工事を進められる時期を確認し、当初の着工予定を変更。調査とその後の対応確認を経て工事を進めましたが、入居は予定より2ヶ月遅れることになりました。

仮住まいの家賃だけで、予定より20万円の負担増

入居が延びたことで、仮住まいの期間も2ヶ月長くなりました。家賃は月10万円。夫婦にとって、予定外の支出は合計20万円です。

「家賃だけで、あと20万円かかるのね…」

妻は家計の計算をしながら、ため息をつきました。新居の家具や家電を選ぶ一方で、延びた仮住まいの費用も確保しなければなりません。

最終的には新居へ入居できたものの、予定より多く支払った20万円は戻りません。家づくりの予算に、見込んでいなかった負担が残りました。

「60日前までの届出」は、着工日を保証するものではない

周知の埋蔵文化財包蔵地で、住宅建築などのために土地を掘る工事を行う場合は、原則として着手する日の60日前までに文化財保護法に基づく届出が必要です。

ただし、届出から60日経てば、必ず着工できるわけではありません。調査が必要になった場合は、日程の調整や、結果に応じた対応にも時間がかかることがあります。必要な手続きと期間を自治体に確認し、余裕を持った工程を組むことが大切です。

また、調査費用のすべてが自己負担になるとは限りません。文化庁は、個人が営利目的ではなく行う住宅建設などについて、公費で調査を実施する制度があると案内しています。利用できる条件や費用負担の範囲は、自治体へ確認しましょう。

資金計画では、調査費用の負担だけでなく、入居が延びた場合の仮住まいの家賃なども見込んでおくと安心です。

不動産会社と工務店には、手続きから工程管理まで連携が求められる

今回のケースでは、不動産会社と工務店が連携し、必要な手続きや調査を見込んで段取りを整える必要がありました。「買主が説明を軽く考えていたから」で終わらせられる話ではありません。

不動産会社には、契約前の重要事項説明で、土地が周知の埋蔵文化財包蔵地に含まれることや、必要な届出について説明することが求められます。その際は、「届出が必要です」と伝えるだけでなく、調査によって工期や費用に影響する可能性まで、分かりやすく説明することが大切です。

また、その情報を買主の了承のもとで工務店へ共有し、建築計画に応じた確認につなげる必要があります。工務店も、着工や完成の予定を示す前に自治体へ相談し、調査の要否や日程、必要な手続きを確認したうえで工程を組むべきでしょう。

建築計画が固まるまで判断できない事項がある場合は、その点を買主に伝え、入居時期を確約せずに調整を進めることも重要です。

専門知識のない買主が、必要な手続きや調査の影響を把握し、自ら段取りを組むことは簡単ではありません。

不動産会社と工務店がそれぞれの役割を明確にし、確認できたことと未確定のことを共有しながら、無理のない入居予定と資金計画を立てることが、こうした行き違いを防ぐことにつながります。

参考:埋蔵文化財(文化庁)



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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