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夫「失敗しました」30年保証の家を建てた40代夫婦→10年後、点検後に届いた“見積もり”に青ざめたワケ【一級建築士は見た】

  • 2026.11.6
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

「10年目の点検のあと、ハウスメーカーの担当者に『保証を続けるには、外壁と屋根の補修工事が必要です。約150万円です』と言われて。30年保証だから、何もしなくていいと思っていたんです」

そう話すのは、10年前に郊外の住宅地に大手ハウスメーカーで注文住宅(4LDK・延床約118㎡/土地約175㎡、約4,800万円)を建てたMさん(40代女性・会社員、夫と子ども2人の4人暮らし)です。結婚13年目の共働きで、子どもは小6と小3です。

建てるとき、夫婦は地元の工務店とも比べていました。工務店の社長は「大手の30年保証は、10年ごとに有償の補修工事を受けるのが条件のはずです。保証の年数だけで決めるのは、おすすめしません」と止めます。ハウスメーカーの営業担当は「30年保証なので安心です。10年目と20年目に、当社の点検と有償の補修工事を受けていただきます」と説明し、保証書にも同じ条件が書いてありました。

帰り道、Mさんが「30年保証って、ただで直してくれるの?」と聞くと、夫は「大手だから安心だよ。点検も付いているし」と答えます。夫婦はハウスメーカーに決め、保証書は引き渡しのときに受け取ったまま、棚にしまっていました。

昨年の秋、10年目の点検がありました。外壁の目地のひび割れと屋根の板金の浮きが見つかり、担当者は「保証を続けるには、外壁の塗り替えと目地の打ち替え、屋根の補修、防蟻(シロアリを防ぐ薬剤処理)の再処理が必要です」と、約150万円の見積もりを出したのです。

法律の保証は10年、その先は条件付き

新築住宅には、引き渡しから10年間、基礎や柱、屋根など基本構造部分の欠陥を直す責任が、法律で建てた会社に義務づけられています。この10年は、どの会社で建てても同じです。

その先の20年や30年の保証は、会社ごとの任意の制度です。多くは10年目や20年目の節目に、その会社の点検と、外壁や屋根、防蟻などの有償の指定工事を受けることが、保証を続ける条件になっています。国が指定する保険法人の延長保証保険も、加入の要件は現況検査とメンテナンス工事の実施です。

有償の工事を条件にするのは、建物を節目ごとに手入れしてこそ長く保証できるという考え方で、業界では一般的な仕組みです。条件や費用は、会社や商品によって異なります。

保証が対象にするのは造りの欠陥で、日差しや雨で傷む経年劣化は対象外です。工事を受けなければ保証は切れますが、家が急に傷むわけではありません。ただ、外壁の目地や屋根の板金、防蟻の処理は、10年前後で手を入れる時期を迎えます。保証の有無にかかわらず、この時期の工事費は家の維持費として必要なのです。

保証の条件は、契約のときに保証書やアフターサービスの基準として書面で渡されます。営業担当が口頭でも「有償の工事が条件」と添えるのが望ましく、Mさんの営業担当はそう説明していました。

ハウスメーカーに悪意はなく、仕組みも説明も業界のふつうの形でした。一方で「保証」という言葉は、消費者には「無料で直してもらえる」と聞こえやすく、そのずれが10年後に表に出たのです。夫婦には、「30年」の数字だけが残っていました。

30年保証のはずが、10年目に150万円

約150万円は、積み立てていませんでした。別のリフォーム会社に見積もりを頼むと、同じ工事で約110万円でしたが、その場合は保証が切れます。夫婦は迷った末、保証を続けることにし、貯金から払いました。

夫は「30年ただで直してもらえると思い込んで、失敗しました」とこぼしました。だれかにだまされたわけではなく、業界の仕組みと夫婦の受け止めのずれが、150万円の見積もりに驚く形になったのです。

この春、外壁の塗り替えと目地の打ち替え、屋根の補修、防蟻の再処理を終え、保証は20年目まで続きます。工事のあと、夫婦は保証書を読み直し、20年目の条件も書き出しました。

長期保証は、年数より「条件」を読む

大手ハウスメーカーの家は、定期点検の仕組みが整い、長い保証で安心して住み続けられます。工事の記録が一社に残るのも、将来の売却や相続で強みになります。

一方で、長期保証は無条件ではなく、節目の有償工事が前提です。これは業界で一般的な仕組みで、知らずに「ただで直せる」と受け取ると、節目の費用に驚くことになります。だからこそ、保証の年数ではなく、条件と費用の目安を契約の前に読むことが欠かせません。

・法律で義務の保証は、引き渡しから10年の基本構造部分。その先の長期保証は会社ごとの任意の制度で、条件が付く
・長期保証の多くは、10年目や20年目の点検と、有償の指定工事が延長の条件。国が指定する保険法人の延長保証保険も、検査とメンテナンス工事が加入の要件
・10年目の外壁・屋根・防蟻の工事費は100万円を超えることが多い。保証の有無にかかわらず、月1万円程度を積み立てておく
・他社に頼めば安く済むこともあるが、保証は切れる。保証書の条件と費用の目安を契約の前に読み、節目の前に見積もりを比べる

家の保証書を、一度棚から出して条件の欄を読んでみてください。

参考:
延長保証保険(国土交通省)
「住宅の品質確保の促進等に関する法律」のポイント(千葉県)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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