1. トップ
  2. 住まい
  3. 「失敗しました…」無料のはずが37万円→プロパンガスを契約した40代夫婦がハマった“落とし穴”

「失敗しました…」無料のはずが37万円→プロパンガスを契約した40代夫婦がハマった“落とし穴”

  • 2026.11.3
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

「ガス会社に『ほかの会社に変えるなら、給湯器と配管の残りの代金を払ってください』と言われて。無料で付けてもらったはずの設備が、約37万円だったんです」

そう話すのは、2年前の秋に郊外の住宅地に地元の工務店で注文住宅(4LDK・延床約105㎡/土地約180㎡、約3,800万円)を建てたJさん(40代女性・会社員、夫と子ども2人の4人暮らし)です。結婚12年目の共働きで、子どもは小学生です。

土地は都市ガスの導管が来ていない地域で、買うときの重要事項説明で「ガスはプロパン」と聞いていました。設備の打ち合わせで、工務店の設計担当は給湯器と屋内の配管について2つの方法を示します。ガス会社に無償貸与(ガス会社が設備を貸し、代金をガス料金に含めて回収する契約)で付けてもらう方法と、自分で買う方法です。

設計担当は「無償貸与は、設備の代金を15年かけてガス料金で払う仕組みです。途中でガス会社を変えると、残りを一括で払います。買えば40万円ほどかかりますが、ガス会社は料金を比べて選べます。ですので、無償貸与はおすすめしません」と止めました。夫は「無料で付けてくれるのに、わざわざ買う意味ある?」と返します。

帰り道、Jさんが「プロパンって、高くない?」と聞くと、夫は「無料で付けてくれるなら得だよ。この辺りはどこもプロパンだし」と答えました。夫婦は工務店が紹介したガス会社と無償貸与の契約を結び、料金表は見ないままでした。

最初の冬、ガス代は月2万円を超えました。昨年の春から料金の内訳が示されるようになり、Jさんは検針票で初めて「設備料金 2,400円」の欄を見たのです。

無料の設備は、ガス料金に入っている

プロパンガス(LPガス)は、敷地に置いたボンベから配管で家に届きます。料金は会社ごとに決められており、同じ地域でも差があります。

一戸建てでは、工務店が提携するガス会社に屋内配管の工事を頼むことがよくあります。配管の工事費が建築費に入っていないと、配管の持ち主はガス会社のままだとする契約が広く結ばれてきました。給湯器も同じ形で貸すことがあり、代金は毎月のガス料金に含めて回収されます。

途中でガス会社を変えると、残りの設備代の精算を求められます。これはガス会社の悪意ではなく、設備の代金を月々の料金で回収する業界の長年の商慣習で、消費者には内訳が見えにくいことが問題とされてきました。そこで2025年4月からは、ガス料金を基本料金・従量料金(使った量に応じた料金)・設備料金に分けて示す決まりが徹底されました。なお、近年は解約時の精算をめぐるトラブルからルールの整理が進んでおり、不当に高額な請求を受けた場合は、払う前に消費生活センターなどへ相談しましょう。

重要事項説明で義務づけられているのは、ガスの供給施設の状況、つまり都市ガスかプロパンかまでです。料金や設備の契約の中身は対象ではなく、ガス会社が契約のときに渡す書面に書かれます。工務店や仲介会社が仕組みを一言添えるのが望ましく、Jさんの設計担当はそうしていました。それでも、「無料」の言葉のほうが残ったのです。

“無料”の給湯器と配管、15年で約43万円

設備料金は月2,400円で、15年分では約43万円と、買い取りの金額とほぼ変わりません。今年の秋、同じ地域の別のガス会社に見積もりを頼むと、従量料金は1㎥あたり100円以上安い料金でした。今のガス会社に他社への切り替えを伝えると、今回のJさんのケースでは、残り13年分の設備料金、約37万円を一括で払う条件だと分かりました。

契約書を見直すと、精算の条件はたしかに書いてありました。ガス会社は仕組みどおりに契約し、説明もしていたのです。業界の商慣習と、「無料」と受け取った夫婦の認識のずれが、約37万円の精算金という形で表に出ました。

夫は「無料だと思い込んで、失敗しました」とこぼしました。

精算はせず、15年の契約を続けて

夫婦は、精算金を払ってまで変える差ではないと考え、今のガス会社との契約を続けることにしました。契約書によると、設備は15年たてば夫婦のものになります。そのため、次に給湯器を替えるときは自分で買おうと夫婦で決めています。

夫は「聞かれたのに、無料の言葉だけで決めてごめん」と謝りました。Jさんは「じゃあ設備料金の2,400円は、お小遣いから出してね」と笑って返しています。

ガスは、料金表と設備の持ち主を先に確かめる

都市ガスの導管が来ていない地域も候補に入れれば、土地の選択肢が広がります。プロパンガスは、ガス会社を自分で選べます。

一方で、料金は会社ごとに違い、無償貸与は設備の代金を料金で払う仕組みです。悪意のある会社でなくても、仕組みを聞いただけでは、「無料」という言葉が強く残ってしまいます。だからこそ、契約の前に料金表と設備の持ち主を確かめることが欠かせません。

・プロパンガスの料金は会社ごとに違い、同じ地域でも差がある。契約の前に2社以上の料金表を比べる
・無償貸与は、給湯器や配管の代金をガス料金に含めて払う仕組み。契約の年数と、途中でやめるときの精算の条件を書面で確かめる。請求された精算金に納得がいかない場合は、消費生活センターなどに相談する
・2025年4月から、ガス料金は基本料金・従量料金・設備料金に分けて示される。設備料金の欄に金額があれば、何の設備の代金か確かめる
・重要事項説明で分かるのは、都市ガスかプロパンかまで。料金と設備の契約は、ガス会社が渡す書面で確かめる

検針票の設備料金の欄に、金額が入っていないか一度見てみてください。

参考:
LPガス料金に影響?訴訟になるリスクも?知っておきたい、「LPガス」の商慣行(資源エネルギー庁)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


【エピソード募集】ご近所・引っ越し・内見で…「えっ!」と思った体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる

注目コンテンツ