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夫「穴を嫌がって、ごめん」約8,200万円のタワマン28階に住む夫婦→震度4の深夜に直面した"盲点"

  • 2026.10.31
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※ChatGPTにて作成(イメージ)

「夜中の地震で、28階の部屋が船みたいにゆっくり揺れ続けて。本棚が倒れたあとで、販売会社の方に『家具は必ず壁に固定してください』と言われていたのを思い出したんです」

そう話すのは、3年前に新築のタワーマンション28階(3LDK・72㎡、約8,200万円)を買ったGさん(30代女性・会社員、夫と子ども1人の3人暮らし)です。結婚5年目の共働きで、子どもは3歳です。

引き渡し前の内覧会で、販売会社の担当者は図面を1枚渡しながら言いました。「高層階は、地震のとき下の階より大きく、長く揺れます。家具は必ず壁に固定してください。ねじが効く下地の位置は、この図に入れてあります。固定しないのは、おすすめしません」

帰り道、Gさんが「本棚、固定しなくて大丈夫?」と聞くと、夫は「壁に穴を開けたくない。売るときに不利だし、タワマンは揺れに強いんでしょ」と答えます。夫婦は本棚に突っ張り棒を付けただけで、テレビも食器棚もそのまま置きました。

3年目のある深夜に震度4の地震がありました。揺れは強くないのに、部屋はゆっくりと大きく、いつまでも揺れ続けます。リビングの本棚は突っ張り棒ごと前に倒れ、テレビは台から落ちて画面が割れ、食器棚の扉が開いて皿が割れました。寝室で寝ていた子どもと夫婦に、けがはありませんでした。

高層階は、小さな地震でも長く揺れる

大きな地震では、周期の長いゆっくりした揺れが生まれ、遠くまで伝わります。長周期地震動と呼ばれ、高層ビルの揺れと重なると、建物は長い時間、大きく揺れ続けます。高層階のほうが、揺れは大きくなる傾向があります。

揺れの強さは、地上の震度とは別の尺度で表されます。非常に大きな揺れでは、立っていることが難しくなり、固定していない家具は動き、不安定なものは倒れます。高層階では、家具が倒れるだけでなく、部屋の中を移動することもあります。

地震のけがの3〜5割は、家具の転倒や落下、移動によるものです。防ぐ基本は、ねじで壁に固定することです。マンションの壁は石こうボードで、ねじは裏の下地(柱や補強の板)に効かせなければ抜けます。

分譲マンションでは、コンクリートの壁や柱、梁は共用部分で、ねじやアンカーで穴を開けられないのが一般的です。部屋の内側の壁でも、壁の種類や穴あけの扱いはマンションごとに管理規約で異なります。固定の前に管理規約を確かめ、壁の種類や穴あけの可否が分からなければ、管理組合や販売会社に確認します。

天井との間に突っ張る器具だけでは、長く続く横揺れに耐えきれないことがあります。新築では、下地の位置を示す図を渡してくれる場合もあります。

建物が壊れにくいことと、部屋の中が揺れないことは別です。Gさんの家は揺れに強い造りでしたが、28階の家具は固定されていませんでした。

震度4で、家財の損害15万円

倒れた本棚と割れたテレビ、食器の買い替えで、損害は約15万円でした。地震による家財の損害は、火災保険では補償されません。地震保険は火災保険とセットで入るもので、家財も対象にできます。

ただ、地震保険は損害の程度を4段階で判定し、一部損(4段階のうち最も軽い区分)に届かない損害には保険金が出ません。Gさん夫婦は家財の地震保険に入っていましたが、損害はこの基準に届きませんでした。家財を対象にしているかや保険金額は、契約によって異なります。

夫は「壁に穴を開けたくなくて、失敗しました」と言い、Gさんは「突っ張り棒で安心していたのは私も同じ」と返します。本棚が倒れた先に、子どもがいなかったことだけが救いでした。

下地にねじで固定し、寝る場所から家具を離す

夫は内覧会でもらった図を出し、管理規約で部屋の内側の壁へのねじ留めに届け出が要らないことを管理会社に確かめてから、本棚と食器棚を下地にねじで固定しました。テレビは台にベルトで留め、食器棚の扉には揺れると開かない金具を付けています。

寝室のたんすは、子どものベッドから離して壁に固定しました。ねじの穴は補修できますが、埋めた跡が売るときの査定や交渉で指摘されることはあります。それでも夫婦は、家族のけがを防ぐほうを優先しました。

夫は「穴を嫌がって、ごめん」と謝り、固定の作業と、テレビの買い替え費用を引き受けています。

高層階の家具は、固定してから住む

タワーマンションは、地震に備えた構造で建てられ、建物そのものは壊れにくい造りです。眺めと静けさは、高層階ならではの魅力でしょう。

一方で、建物が無事でも、部屋の中の家具は揺れで動きます。だからこそ、高層階に住むなら、引っ越しの荷ほどきと同じ日に家具を固定しておくことが欠かせません。

・高層階は、長周期地震動で下の階より大きく長く揺れる。震度が小さくても、家具が倒れたり動いたりする
・固定の基本は壁へのねじ留め。石こうボードの壁は裏の下地に効かせ、新築なら下地の位置の図をもらう。穴あけの可否は管理規約で確かめ、分からなければ管理組合や販売会社に聞く
・寝る場所や出入り口の近くに、倒れる家具を置かない。扉には揺れると開かない金具を付ける
・地震の損害は火災保険の対象外。地震保険は火災保険とセットで、家財の小さな損害は対象にならないことがある

高層階に住んでいるなら、寝ている場所から倒れそうな家具までの距離を一度見てみてください。

参考:
長周期地震動とは?(気象庁)
室内の地震対策(東京消防庁)
地震保険とは?(日本損害保険協会)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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