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妻「失敗しました」3連休の帰省から戻ったら…隣人からの“思わぬメモ”に夫が声を荒らげたワケ【一級建築士は見た】

  • 2026.10.21
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「3連休の帰省から戻ったら、隣の方からメモが入っていたんです。『お宅の木の枝は、こちらで切らせてもらいました』と書いてあって」

そう話すのは、6年前に郊外の住宅地に大手ハウスメーカーで注文住宅(4LDK・延床約103㎡/土地約147㎡、約4,650万円)を建てたWさん(30代女性・会社員、夫と子ども2人の4人暮らし)です。結婚8年目の共働きで、庭のシンボルツリー(家の目印になる木)はWさんが選びました。

選んだのはシマトネリコで、隣家からの視線をさえぎる目隠しも兼ねて、境界のフェンスのすぐ内側に植えることにしました。このとき、ハウスメーカーの外構の担当者からは「シマトネリコは成長が早い木です。フェンスのすぐ内側だと、数年でお隣に枝が出ます。この場所には、おすすめしません」と止められています。成長のゆっくりした木にするか、建物寄りに植える案も示されましたが、Wさんは「毎年切れば大丈夫ですよね」と押し切りました。

境界を越えた枝は、越えられた側が切れる

隣の土地から伸びてきた枝は、以前は自分で切ることができず、木の持ち主に切ってもらうか、裁判を起こす必要があったのです。このルールは、2023年4月に施行された民法の改正で変わりました。民法第233条では、持ち主に切ってもらうのが原則である点は同じです。ただ、「切ってください」と求めても(催告)、相当の期間内に切ってもらえないときは、枝が越えてきた側が自分で切り取れるようになりました。

相当の期間は、事情によりますが基本的には2週間程度と考えられています。求め方に法律で決まった形式はなく、口頭のお願いも当てはまり得ます。切り取れるのは、境界を越えた部分だけです。

切るのにかかった費用も、基本的には木の持ち主に請求できると考えられています(民法第703条、第709条)。枝を伸ばしたままにすれば、切られたうえに費用も負担することになりかねません。

「近いうちに」と答えてから1か月半

Wさんは最初の2年こそ自分で枝を切っていましたが、下の子が生まれてからは手が回らなくなります。背丈ほどだった木は2階の窓に届くまで育ち、隣家の駐車場の上に張り出した枝から、車に葉が落ちるようになっていました。

8月の終わり、Wさんは隣の方から「枝がこちらに出ているので、切ってもらえませんか」と声をかけられます。「すみません、近いうちに切ります」と答えましたが、もう脚立では届かない高さです。植木屋さんを探そうと思いながら仕事と子どもの行事に追われ、1か月半がたっていました。

10月の3連休は、家族で夫の実家に帰省しました。最後の夜に帰宅すると、郵便受けにメモが入っていたのです。そこには、8月に頼まれていた枝を、隣家の庭の手入れに来た植木屋さんがついでに隣家の側から切った、と書かれていました。

「留守の間に勝手に切るなんて」と声を荒らげたのは夫です。Wさんがその場で調べると、頼まれて2週間程度たっても切らなければ隣の人が切ってよく、費用を請求されてもおかしくない立場だったと分かりました。

「2週間程度経てば隣が自分で切っていいルールになっていたなんて知りませんでした。1か月半も放置してしまったし、植える場所も、先送りにしたことも、失敗しました」

謝って費用を負担し、木は毎年切ることに

翌朝、Wさんは夫と一緒に隣家を訪ねて、謝りました。費用を尋ねると、隣の方は「枝の分は2万円ほどでしたが、うちの手入れのついでだったので気にしないでください」と言います。それでも申し訳ないからと、Wさんは2万円を受け取ってもらいました。

2万円は、木を選んだのも先送りにしたのも自分だからと、Wさんが自分の貯金から出しています。夫も前の晩の言葉を引っ込めました。

片側の枝だけがなくなった木は、植木屋さんに頼んで形を整えてもらいました。費用は約3万円です。

植木屋さんからは、この場所では切ってもまた隣へ伸びると言われました。根元から抜いて植え替える方法も聞きましたが、目隠しがなくなるため見送り、毎年の剪定(枝を切って形を整える手入れ)を頼むことにしています。これからは約3万円が毎年かかる見込みです。

庭の木で確かめておきたいこと

シマトネリコは一年を通して葉が茂り、目隠しにもなる木です。虫がつきにくい点も魅力でしょう。一方で成長が早く、植える場所によっては手入れが追いつかなくなることがあります。

・植える前に、その木がどの高さまで育つのか、成長は早いのかを確かめる
・境界の近くに植えるなら、成長のゆっくりした木を選ぶか、建物寄りに離す
・自分で切れない高さになる前に、毎年の剪定にかかる費用を見込んでおく
・隣家から枝のことを言われたら、先送りにせず、いつ切るかをその場で伝える

木は植えた日から育ち続けるので、選ぶときに数年後の大きさと隣との距離を思い浮かべておくと安心です。

参考:
越境した木の枝の切取りルール【2023年4月改正】
(神戸市)
「令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント」民法等改正関係(抜粋)
(法務省)
「生け垣」・「シンボルツリーと低木」の選び方と管理の方法について
(富士市)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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