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夫「失敗しました」2泊3日旅行から帰宅するとガレージが…築12年の戸建て、30代夫婦が絶句した光景【一級建築士は見た】

  • 2026.10.17
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出典:PIXTA(※画像はイメージです)

「2泊3日の旅行から帰ったら、ガレージの床が池になっていて。車のドアを開けたら、フロアマットが浮いていました」

そう話すのは、昨年、駅に近い住宅地で中古の一戸建て(築12年・3LDK・延床約96㎡/土地約115㎡、約3,900万円)を買ったQさん(30代女性・看護師、夫と二人暮らし)です。結婚2年目の共働きで、Qさんは夜勤のある日は車で通勤しています。

1階は車1台のビルトインガレージ(建物の中に組み込んだ車庫)で、天井を高くするために床が道路より50cm低く、スロープで入ります。床には水を集めるピットと排水ポンプが付いています。重要事項説明では、水害ハザードマップで浸水想定の色が付いていない場所と説明され、売主の告知書にも浸水の履歴はありませんでした。

購入前のインスペクション(専門家による住宅診断)で、検査員の建築士は「道路より低いガレージは、大雨のとき道路の水が流れ込みます。ポンプは落ち葉で詰まれば吸えず、停電でも止まります。買うなら止水板を付けておいたほうがいい」と勧めました。夫婦は「前の人も浸水していないし、ポンプがある」と、止水板の設置を先送りにしたのです。

秋の長雨が続くなか、二人は2泊3日の旅行に出ました。留守の間も、雨は降り続きます。帰宅してシャッターを開けると、ガレージの床に30cmの水がたまり、車のフロアマットは浮いていました。ピットの格子には落ち葉と砂がたまり、ポンプの吸い込み口をふさいでいたのです。

道路より低い床は、水の入り口になる

雨水は低いところへ集まります。道路より床が低いガレージは、道路に降った雨も、スロープを通って流れ込む場所です。川の氾濫を示すハザードマップで色が付いていなくても、下水道に入りきれない雨水が道路にあふれれば、低い床へ流れ込みます。半地下の建物や駐車場は自然に排水できず、ポンプで外へ出す仕組みが必要です。

ポンプは万能ではありません。吸い込み口が落ち葉や砂でふさがれば動いていても水を吸えず、停電すれば止まります。ポンプの点検と排水口の掃除は、家の持ち主の責任です。

備えには、スロープの上端に立てる止水板(水の浸入をせき止める板)や土のうがあります。土のうは自治体が配布していることもありますが、有無や方法は自治体によって異なります。

水に浸かった車は、水が引いても自分でエンジンをかけてはいけません。電気系統のショートで火災が起きるおそれがあるため、販売店や整備工場に相談しましょう。修理費は車両保険で補償される契約が多い一方、条件は契約によって異なります。

ポンプはあった。動いてもいた

スロープに落ちた葉が雨でシャッターの下から流れ込み、格子にたまっていたのです。ガレージの壁ぎわに置いていた掃除機と自転車、工具箱は水に浸かり、自転車以外は買い替えです。ハザードマップでは色が付いていない場所にもかかわらず、ガレージだけが池になりました。

車はレッカーで販売店に運び、フロアのカーペットの交換と電気系統の点検で、修理費は車両保険で大半がまかなえる見込みです。ガレージ内の物は、火災保険の水災補償の支払い条件に届かず、自己負担でした。売主の告知にうそはなく、床の低さは見て分かる造りなので、売主の責任も問えません。

夫は「ポンプ任せにして、落ち葉の掃除を怠って失敗しました」と、肩を落としました。

止水板と、出かける前の決まり

Qさん夫婦は、検査員が勧めていた差し込み式の止水板をスロープの上端に付けました。費用は約15万円です。ピットの格子の掃除は夫が引き受け、落ち葉の多い秋は毎週末行うことにしました。

旅行や帰省で家を空ける前は、止水板を立て、ポンプが動くか確認することを二人の決まりにしました。

床が低い家を買うなら、水の出口を先に見る

ビルトインガレージは、雨の日も濡れずに車の乗り降りができ、狭い土地でも駐車場と居住空間を両立できる設備です。

一方で、道路より低い床は水の入り口になり、ポンプは詰まりと停電に弱い設備です。だからこそ、床が低いガレージの家を買うなら、ポンプの状態と止水板の有無を先に確かめておくことが欠かせません。

・道路より低いガレージは、ハザードマップで色が付いていなくても道路の雨水が流れ込む。自然には排水できず、ポンプの点検と排水口の掃除は持ち主の責任
・ポンプは落ち葉や砂で吸い込み口がふさがれば水を吸えず、停電で止まる。秋は排水口の掃除を増やす
・止水板や土のうで入り口をふさぐ。土のうの配布など支援は自治体で異なる
・水に浸かった車はエンジンをかけず、販売店や整備工場へ。車両保険や火災保険の補償は条件が商品で異なる

床が道路より低いガレージの家を見るなら、ポンプと排水口の格子を一度のぞいてみてください。

参考:
半地下建物(横浜市)
集中豪雨に注意しましょう 各自でできる浸水対策(世田谷区)
大雨で浸かったクルマ、水が引いても使用しないで~平成30年7月豪雨の被害を受けて~(国土交通省)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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