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妻「ネズミにしては重い音で…」結婚1年目、天井から謎の足音と悪臭…8cm隙間から侵入した“招かれざる客”【一級建築士は見た】

  • 2026.10.14
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「夜中に、寝室の天井の上をドタドタと走る音がしたんです。ネズミにしては重い音で、何日かすると天井板に茶色いしみが広がっていました」

そう話すのは、結婚を機にこの春、郊外の住宅地に中古の一戸建て(築22年・4LDK・延床約100㎡/土地約135㎡、約2,900万円)を買ったKさん(30代女性・会社員、夫と二人暮らし)です。結婚1年目の共働きで、庭にはカキの木があります。

購入前に受けたインスペクション(建物の傷みや不具合を専門家が調べる住宅診断)では、「軒裏の換気口の金網が1か所外れている。小動物の入り口になるので、早めに直してください」と指摘を受けていました。Kさんが「業者さんに頼まなくて大丈夫?」と聞くと、夫は「金網くらい自分で直す」と言いましたが、引っ越しの片づけに追われ、半年がたっていました。

10月に入って、寝室の天井の上で足音が聞こえ始めました。夜中に何度も、走り回る音がします。数日たつと天井板に茶色いしみが現れ、しみは日ごとに広がって、部屋に獣のような臭いが漂うようになりました。

頭が入れば通れる。8cmの隙間から屋根裏へ

屋根裏に入る動物で多いのが、ハクビシンです。額から鼻にかけて白い線があり、胴の長さは60cm前後、尾も40cm前後ある中型の動物で、夜行性です。庭木や電線を伝って屋根に上がり、縁の下や換気口、軒下の隙間から建物に入ります。頭が入れば体も通れるため、8cm四方の隙間があれば十分です。

屋根裏に入ると、同じ場所に繰り返しふん尿をする「ため糞」の習性があります。ふん尿は天井板のしみや悪臭、カビの原因になるほか、断熱材を汚してしまいます。放っておくと、天井板が腐って抜けることもあります。10月はカキやイチジクなど庭の果実が実る時期で、果実を好むハクビシンが住宅地に寄ってきます。

もう一つ注意すべきなのは、ハクビシンは鳥獣保護管理法の対象であり、許可なく捕獲できないことです。相談先は市区町村の環境担当の窓口で、捕獲器の設置や費用負担、業者紹介などの支援は自治体によって異なります。捕獲器は屋外のみ、年度に1回まで、という自治体もあります。

点検口の先にあった、ふんの山

足音は毎晩続き、Kさんは眠れない日が増えました。夫が寝室の押し入れの天井にある点検口から屋根裏をのぞくと、断熱材の上に黒いふんが山になり、周りの断熱材は茶色く湿っていました。しみの真上です。

ふんには果物の種が混じっていて、外れた換気口の金網の内側には、獣の毛が付いていました。夫は「金網1枚を半年放っておいて、失敗しました」と、Kさんに頭を下げています。Kさんは「自分で直すと言ったのに」と責めかけましたが、夫が家の周りを見て回ると、基礎の通風口の網も破れていて、入り口は換気口だけではないと分かりました。

動物による汚損や腐食は、火災保険では補償の対象外になることが多く、条件は商品によって異なります。Kさんの保険も対象外でした。

追い出して、ふさいで、消毒する

市の窓口では捕獲器は屋外にしか置けないと案内され、紹介された業者に屋根裏の対応を頼みました。手順は、追い出し、侵入口の封鎖、清掃と消毒の順です。先に入り口をふさぐと、中に閉じ込めてしまうためです。

業者は屋根裏で煙の出る忌避剤(動物が嫌う臭いの薬剤)をたいて追い出し、ハクビシンがいないことを確かめてから、換気口と基礎の通風口を金網で封鎖しました。ふんの撤去と消毒、汚れた断熱材の交換まで含めて約22万円、しみの出た天井板の張り替えに別に約4万円かかりました。金網1枚、数千円で直せた補修を半年放置した代償は、合わせて約26万円です。

屋根に届いていた庭木の枝を二人で切り、庭のカキの実は早めに収穫しています。

中古の家は、小さな指摘を先に直す

築年数のたった一戸建ては、価格が手ごろで庭もあり、新婚の二人が暮らしを始めるには十分な広さです。インスペクションを受けておけば、直すべき場所も前もって分かります。

一方で、指摘された小さな隙間は、動物にとっては玄関です。だからこそ、インスペクションで指摘された補修は、引っ越しの片づけより先に済ませておくことが欠かせません。

・夜中の天井の足音、天井板のしみ、獣の臭いはハクビシンのサイン。ネズミより重い音がする
・入り口は換気口、縁の下の通風口、軒下の隙間など。8cm四方の隙間があれば入れるので、金網の外れや破れは早めに直す
・ハクビシンは鳥獣保護管理法の対象で、許可なく捕獲できない。まず市区町村の窓口に相談する。支援の中身は自治体で異なる
・業者の対応は追い出し、封鎖、清掃と消毒の順。屋根に届く庭木の枝は切り、果実は早めに収穫する

天井の上で足音を聞いたら、翌朝、軒裏の換気口を一度見上げてみてください。

参考:
ハクビシン(外来生物)の被害について(板橋区)
都会に住むハクビシン・アライグマの被害対策について(世田谷区)
アライグマやハクビシンの被害を防ぐために(文京区)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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