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夫「もう何も言えない…詰んだ」自宅前に毎晩泊まる隣の車→注意に行くと?隣人の“思わぬ切り返し”【一級建築士は見た】

  • 2026.10.7
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「うちの前の道は、6軒で持っている私道なんです。そこに隣の家の2台目の車が、毎晩停まるようになって…」

そう話すのは、3年前に郊外の分譲地に土地を買い、地元の工務店で注文住宅(3LDK・延床約98㎡/土地約120㎡、約4,300万円)を建てたAさん(30代女性・会社員)です。夫とは結婚4年目の共働きで、二人暮らしです。

Aさんの家の前の道は、幅4.5mの行き止まりの私道(個人が所有する道)で、両側に3軒ずつ、6軒の家が並んでいます。土地を買うときの重要事項説明では、「前面道路は6軒の共有の私道で、持分は6分の1ずつ。清掃や補修も6軒で行います」と説明を受けていました。

3年間、困ったことはありませんでした。ところがこの秋、隣の家が車を1台増やしたのです。隣の家の駐車場は1台分しかなく、2台目の車は別の場所で車庫証明を取っていたにもかかわらず、夕方から翌朝まで、私道上の隣の家の前に停められるようになりました。

私道は「6軒の共有財産」で、自分の家の前でも自由には使えない

家を建てるには、敷地が建築基準法上の道路に2m以上接している必要があります。分譲地の私道の多くは、開発した業者が造り、市などから建築基準法第42条第1項第5号の道路として位置の指定を受けたもので、「位置指定道路」と呼ばれます。道路の幅が4m以上必要なのは、消防車や救急車が入れるようにするためです。

この私道は、6軒がそれぞれ6分の1の持分を持つ共有物です。民法第249条では、共有物は各共有者が持分に応じて使えると定めています。ただし、それは全員が通る道として使えるという意味です。自分の家の前でも、ほかの共有者の通行を妨げる駐車は持分に基づく使用の範囲を超えると考えられ、裁判で駐車が認められなかった例もあります。

私道でも、道路交通法や車庫法が適用されることがあります。どちらも第2条で、国道や市道などのほかに「一般交通の用に供するその他の場所」を道路と定めているためです。

これは、不特定の人や車が自由に通行できる場所を指します。門や柵がなく、持ち主の許可なしに通れて、住民以外の人や車も現に出入りしている私道がこれに当たり、行き止まりかどうかだけでは決まりません。門や柵で通行を関係者に限っている私道は、当たらないと考えられます。道路に当たる場合は、車庫法第11条により、道路上を車の保管場所にすることは「3ヶ月以下の拘禁刑または20万円以下の罰金」、夜間に同じ場所へ8時間以上停めることは「20万円以下の罰金」の対象です。

幅4.5mの道が、車1台で2.7mに

隣の家の車が停まると、幅4.5mの道は、残りが2.7mほどになります。車1台は通れますが、幅2.5m前後の消防車には、ぎりぎりの幅です。

停める場所は、Aさんの家の駐車場の出口の斜め前でした。バックで出るたびに切り返しが必要になり、雨の夜には夫が自宅の門柱にバンパーを擦って、修理に約4万円かかりました。

夫が隣の家に伝えに行くと、返ってきたのは「ここはうちの持分だから」という言葉でした。夫は家に戻ると、「持分だと言われたら、もう何も言えない。詰んだ…」とこぼしました。Aさんは「隣とはもめたくない」、夫は「このままでは車を出せない」と、二人の意見は割れました。

登記を確かめ、6軒で話す

しかし、このままというわけにもいかないため、二人が選んだのは、事実を確かめてから、ほかの共有者と一緒に話す方法です。まず法務局で私道の登記事項証明書を取り、6軒が6分の1ずつ持つ共有であることを確かめました。

警察相談専用電話「#9110」にも相談しています。「門や柵がなく誰でも通れる状態なら、車庫法や道路交通法の対象になり得る。ただ、まずは共有者の間で話してほしい」という助言でした。

そのうえで、向かいの2軒と一緒に隣の家を訪ね、「私道は6軒の共有なので、持分があっても、ほかの家の通行を妨げる駐車はできない」「消防車が入れなくなる」と伝えたのです。隣の家も共有のルールを知らなかったそうで、車庫証明の取得時に借りていた近くの月極駐車場(月8,000円)にきちんと停めることになりました。以来、私道に車が停まることはなく、朝のあいさつも続いています。

私道の家は、道の「持ち方」まで見る

私道の分譲地は、通り抜ける車がなく静かで、6軒の顔が見えるので清掃や補修の相談もしやすいものです。

一方で、私道は6軒の共有財産で、使い方は全員の合意で決まります。だからこそ、私道に面した家を買うときは、道の幅だけでなく、誰が持ち、どう使う道なのかまで見ておくことが欠かせません。

・私道は共有物で、自分の家の前でも、ほかの共有者の通行を妨げる駐車は認められない(民法第249条)
・門や柵がなく誰でも通れる私道は法律上の「道路」に当たり、道路上を保管場所にする駐車は車庫法で禁止されている
・困ったときは、登記事項証明書で持分を確かめ、警察相談専用電話「#9110」にも相談する。話し合いはほかの共有者と一緒に
・私道の家を買う前に、重要事項説明書の「道路」の欄で、私道か公道か、持分があるかを確かめる

家の前の道が私道なら、幅の数字と一緒に、持分の欄を一度見てみてください。

参考:
建築基準法上の道路種別と道路判定等(大阪市)
民法(第249条)(e-Gov法令検索)
道路交通法(第2条)(e-Gov法令検索)
自動車の保管場所の確保等に関する法律(第2条・第11条・第17条)(e-Gov法令検索)
道路使用許可の概要、申請手続等(警察庁)
警察相談ダイヤル#9110(警視庁)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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