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妻「税金が減るって言ってなかった?」実家の解体に200万円払うも…→翌年、50代男性を襲った“思わぬ通知”

  • 2026.10.28
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

実家の売却についてご相談を受けるなかで、「相続したものの、誰も住む予定がない」「管理に通うのが大変なので、解体したい」といった声を耳にします。

建物を解体すれば、修繕や見回りの負担を減らせます。「建物にかかる税金もなくなるなら」と、早めに解体しようと考える方もいるのではないでしょうか。

今日は、200万円をかけて実家を解体した50代男性が、翌春に届いた納税通知書を見て、思わぬ負担に気づいたケースをご紹介します。

家がなくなれば、税金も減るはず…と実家の解体を決断

これは、不動産の相談会で聞いた後悔話です。

50代の会社員Aさんは、親から相続した実家の管理に頭を悩ませていました。自宅から実家までは車で約1時間。休日になると換気や掃除、庭の草取りに出かけます。古くなった建物には傷みも見られ、この先も管理を続けることに負担を感じていたそうです。

「誰も住まない家のために、休みがつぶれるのもしんどいな…」

妻にそうこぼしたAさんは、解体業者に見積もりを依頼。費用は200万円でした。

「大きな出費だね。壊したあとの土地は、どうするの?」

妻に尋ねられても、建て替えや売却の予定は決まっていません。

「それは、あとで考えればいいよ。家がなくなれば、税金も減るはずだし」

当時、実家の土地と建物にかかる固定資産税は、合計で年8万円。Aさんは、そのうち建物の税金がなくなれば、支出も減ると考えていました。

解体後の税額を自治体へ確認することなく工事を依頼し、その年の秋、実家は更地になりました。

翌春、土地だけになったのに「年13万円」の通知

解体を終えた直後、Aさんはほっとしていました。

屋根や外壁の傷みを気にする必要がなくなり、室内の換気や掃除にも通わずに済みます。土地の使い道は決まらないまま、翌年1月1日を迎えました。

ところが、その春に届いた納税通知書を開くと、予想していなかった金額が記載されていたのです。

「13万円? 去年は、家と土地を合わせて8万円だったよな…」

前年の通知書と見比べても、間違いはありません。建物の課税はなくなっているのに、土地だけの固定資産税が年13万円になっていました。

「税金が減るって言ってなかった?」

妻の問いに、Aさんも答えられません。200万円を払って家を解体したうえに、毎年の税負担が5万円増える。通知書を手にしたまま、自治体の担当窓口へ電話をかけました。

建物の税金と一緒に、土地の「軽減」もなくなっていた

担当者から説明されたのは、「住宅用地の特例」という仕組みでした。

住宅の敷地として使われている土地には、税負担を軽くする特例があります。固定資産税では、住宅1戸につき200平方メートルまでの部分について、課税標準額(税額を計算するもとになる金額)を評価額の6分の1にする仕組みです。

Aさんの土地も、解体前はこの特例の対象でした。

しかし、固定資産税は毎年1月1日時点の状況をもとに課税されます。Aさんの場合、その日に住宅がなく、建て替えもしていなかったため、土地の特例が外れたのです。

「家の税金はなくなっても、土地の税金が、それ以上に増えたということですか…」

担当者の説明を聞き、ようやく通知書の金額に納得したAさん。ただ、納得できても、増えた負担がなくなるわけではありません。家が建っていたことで、土地の税負担も軽くなっていた。そのことを知ったときには、すでに解体を終えていました。

売却を始めても、買主が決まるまで1年

土地を使う予定がないまま、年13万円の固定資産税を払い続けることは避けたい。そう考えたAさんは、不動産会社へ相談し、売却活動を始めました。

しかし、更地にすれば、すぐ買主が見つかるわけではありません。問い合わせがあっても契約には至らず、月日が過ぎていきます。建物の管理はなくなったものの、草取りなど、土地の手入れは必要でした。

「壊せばひと段落すると思っていたのに、まだ通わないといけないの…」

妻の言葉に、Aさんはうなずくしかありません。結局、買主が決まったのは、売り出してから約1年後でした。解体費の200万円に加え、固定資産税は前年より年5万円増加。売れるまでの間、税金と土地の管理を気にし続けることになったのです。

「解体する前に、売る相談もしておけばよかった。税金がいくらになるか知っていたら、進め方をもっと考えられたと思います」

Aさんには、実家を片づけた安堵よりも、順番を誤った後悔が残りました。

解体前に、土地と建物の税額を分けて確認する

実家の解体を検討する際は、納税通知書に添付された課税明細書などで、土地と建物それぞれの税額を確認しましょう。そのうえで、自治体の固定資産税担当窓口に「解体後、翌年1月1日も更地だった場合、税額はいくらになりますか」と尋ねてください。

住宅用地の特例が外れても、税額が一律6倍になるわけではありません。「6分の1」は、税額そのものではなく、税金を計算するもとになる金額を軽減する仕組みです。土地の税額が急に増えないよう調整する措置や、建物分の税金がなくなることも関係するため、土地と建物を合わせた負担がどう変わるかを確認することが大切です。

また、建て替えに伴う解体では、一定の要件を満たせば、住宅用地の特例が継続される場合があります。ただし、「いつか建てるつもり」というだけでは対象になるとは限りません。

自治体独自の減免制度が利用できる場合もあります。

例えば静岡県伊豆市では、所定の解体補助金の交付を受けて建物を解体した場合、土地の固定資産税が一部減免される場合があるとしています。

特例や減免には条件があるため、解体を依頼する前に、税額の見込みと利用できる制度を自治体へ確認しておきましょう。

解体前に、税金と土地の使い道を相談する

今回、Aさんが弊社へ相談したのは、実家を解体し、税負担が増えたと分かったあとでした。解体前に相談していれば、税額の変化を確認したうえで、売却の進め方や解体の時期を検討できたでしょう。

使う予定がない場合は、解体を依頼する前に、不動産会社へ売却や活用について相談し、自治体には解体後の税額を確認しておきましょう。

ただし、税金を抑えるために、倒壊などの危険がある空き家を残すことは避けなければなりません。管理を怠って自治体の勧告を受けると、解体していなくても税負担が増すおそれもあります。建物の安全性や管理の負担、解体費、売却の見込みを合わせて判断することが大切です。

「まず壊してから考える」と進めず、解体後の費用と土地の使い道まで確認しておきましょう。

参考:建物の除却による固定資産税の減免について(伊豆市)



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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