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夫「実家を建て替えればお金が浮く!」築40年の4LDKを相続した50代男性→土地代0円でマイホーム計画の“誤算”

  • 2026.10.20
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

実家を相続したとき、「ここを建て替えれば、土地を買わずにマイホームを持てる」と考える方もいるでしょう。家族で部屋の使い方を話し合ううちに、新しい暮らしへの期待も膨らみます。

しかし、今そこに家が建っているからといって、同じ広さの家を建て直せるとは限りません。長年住み慣れた実家でも、建て替えを検討して初めて分かる制限があります。

今日は、相続した実家を建て替えようとした50代男性Aさんが、建築士の説明をきっかけに、家族で思い描いていたマイホーム計画を見直すことになったエピソードをご紹介します。

相続した4LDKの実家で膨らむマイホームへの期待

Aさんが相続したのは、築40年の2階建てで4LDKの実家です。建物は古くなっていましたが、家族4人で暮らすには十分な土地の広さがありました。

「実家を建て替えれば、家族で住める。土地代がかからない分、建物にお金を使えるな」

Aさんの提案に、妻も期待を膨らませます。

「同じ4LDKなら、子どもたちにそれぞれ個室をつくれるね。もう1部屋は、あなたの仕事部屋にしたら?」

夫婦の寝室と、2人の子どもの個室、それにAさんの仕事部屋。収納も今の住まいより増やしたいと、家族は新居に持ち込む家具や荷物についても話し合っていました。

「今の実家が4LDKだから、建て替えても同じくらいの広さにできるだろう」

Aさんはそう考え、家族との暮らしを思い描いていたのです。

建築士の調査で分かった実家の“建築制限”

ところが、建て替えを相談した建築士が実家の図面や自治体の資料を調べると、思わぬ問題が見つかりました。

「この家は、建てられた当時は適法(当時の法律や規制に合っていたということ)でした。ただ、その後に規制が変わり、現在の建ぺい率の制限には合わなくなっています」

建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合です。簡単にいうと、敷地の広さに対して建物を建てられる面積の上限を定めるルールです。例えば、土地が100㎡で建ぺい率が60%なら、建築面積の上限は原則60㎡になります。

実家のように、建てられた当時のルールには合っていても、その後の法改正で現在の基準に合わなくなった建物を「既存不適格」といいます。建築当時からルールに違反していたわけではなく、直ちに違法建築という意味ではありません。

「でも、今もこの大きさで建っていますよね。同じように建て直すだけでも、だめなんですか?」

戸惑うAさんに、建築士は説明を続けます。

「今の家を使い続けられるからといって、同じ大きさで建て直せるとは限りません。取り壊して新しく建てる場合は、原則として現在のルールに合わせる必要があるんです」

Aさんは、今ある実家の広さを、そのまま新しい家の広さとして考えることはできないと知ったのです。

階数を増やす案でも、希望の広さには届かず

説明を聞いたAさんは、別の方法を考えました。

「1階を小さくしないといけないなら、3階建てにして部屋を増やせませんか?」

建築士は、その案も含めて検討します。しかし、建物の高さに関する制限や敷地の条件、予算も踏まえると、今回は希望する広さを確保できませんでした。

家を建てる際は、建ぺい率だけでなく、各階の床面積の合計や、建物の高さなどにも制限があります。そのため、1階を小さくした分を、自由に上の階へ増やせるわけではないのです。

「今と同じくらいの家なら建てられると思っていたのに…」

土地があることに安心し、家族と部屋の使い方まで決めていたAさん。実家と同じ広さを前提にしたマイホーム計画を、見直すことになりました。

4LDKから3LDKへ。仕事部屋も収納も見直すことに

その後、Aさん一家は、建てられる家の大きさと予算を踏まえ、3LDKへ計画を変更しました。

夫婦の寝室と、2人の子どもの個室を優先すると、Aさんの仕事部屋はつくれません。リビングの一角に作業場所を設けることになりました。収納スペースも、当初の希望より少なくなります。

家族は、新居に持ち込む家具や荷物を一つずつ見直し、収まらないものは手放すことにします。

楽しみにしていた仕事部屋を諦め、使い慣れた家具や荷物も減らす。新居への期待で弾んでいた家族の会話は、何を残すか、何を手放すかという話に変わっていきました。

同じ広さで建て替えられるという思い込みは、間取りだけでなく、家族が思い描いていた暮らしにも影響したのです。

解体前に、建てられる家の大きさを確認する

相続した家を建て替える際は、解体を依頼する前に、建築士や自治体に現在の建築制限を確認しましょう。

建ぺい率だけでなく、容積率(敷地面積に対する各階の床面積の合計の割合)、道路との接し方、建物の高さの制限なども関わります。また、道路の種類や幅によっては、敷地の一部を道路用に空ける「道路後退」が必要になり、建築に使える土地が小さくなる場合もあります。

実家に残っている確認済証(建築計画が法令の基準に合っていると確認されたことを示す書類。古い物件の場合は「建築確認通知書」)や図面、増改築の記録も探しておきましょう。書類の内容と現在の建物が合っているか、建築士に調べてもらうことが大切です。

希望する広さで建て替えられない場合は、間取りを工夫する方法や、今の建物を残して改修する方法も検討できます。ただし、改修も工事の内容によっては、建築確認などの手続きや現在の基準への対応が必要です。

取り壊してから後悔しないよう、建て替えと改修のどちらが家族の希望や予算に合うか、解体前に比較しておきましょう。

実家の広さを前提に、建て替えを進めない

相続で家を取得する場合は、不動産会社を通じて購入するときのように、建築制限などについて“重要事項説明”を受ける機会がありません。長年、親が暮らしていた家でも、建て替える際には現在の建築条件を改めて確認する必要があります。

今ある家と、これから建てられる家の広さは同じとは限りません。解体する前に不動産会社や建築士へ相談し、建てられる規模を確認したうえで、家族の希望や予算に合う計画を立てましょう。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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