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「まだ健康で働ける」年金を“65歳→70歳”に繰り下げ受給した男性、42%増額に喜ぶが…年金事務所で知った事実に“後悔したワケ”

  • 2026.10.27
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。経営労務コンサルタント・社会保険労務士のsr_kazutakaです。

公的年金は原則65歳から受給できますが、受給開始を遅らせることで1ヶ月あたり0.7%(最大10年で84%)増額された年金を生涯受け取れる、繰り下げ受給制度があります。

この制度を利用して70歳まで受給を繰り下げた男性Aさん。しかし70歳で年金事務所を訪れた際、「ねんきん定期便には記載されていない年金」の存在を初めて知り、後悔することになりました。

一体、Aさんに何があったのでしょうか?

70歳まで繰り下げて「年金42%増額」に喜んだものの…

Aさんが65歳時点で「ねんきん定期便」を確認したところ、見込まれる年金額は老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせて年間約200万円でした。

「老後の生活費としては少し物足りないな……」と感じたAさん。まだ健康で働ける自信もあったため、70歳までパート勤務をしながら、不足分は貯蓄を取り崩して生活することにしました。

そして70歳でパートを退職。年金を5年間繰り下げたことで年金額は42%増となり、65歳以降に働いた実績も加算され、年間約290万円まで増額しました。

ここまでは狙い通りのように思えました。しかし、受給手続きのために年金事務所を訪れたAさんは、驚きの事実を知りました。

「ねんきん定期便」には記載されていない「加給年金」の落とし穴

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出典元:PIXTA(※画像はイメージです)

実はAさんには、5歳年下の専業主婦の妻がいました。

厚生年金に20年以上加入した人が65歳になった際、生計を維持している65歳未満の配偶者がいると、年金に「加給年金」という家族手当のようなお金が上乗せされます。

この加給年金は年額約42万円(特別加算を含む)支給され、妻が65歳になるまでの5年間で総額約210万円にもなります。

しかし、支給条件は妻の年収や厚生年金加入期間によって異なるため、支給対象であっても「ねんきん定期便」の見込額には記載されません。Aさんは自分が支給対象であることを全く知りませんでした。

ここに大きな落とし穴がありました。というのは、老齢厚生年金を繰り下げている間は、加給年金が全額支給停止になってしまうのです。しかも、加給年金自体は繰り下げても一切増額されません。

「加給年金は老齢厚生年金とセット」で支給される

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

妻が60歳〜65歳になるまでの5年間、老齢基礎年金と老齢厚生年金の双方とも繰り下げてしまったAさんは、本来もらえるはずだった加給年金約210万円を受け取る権利を丸々逃してしまったのです。

加給年金を受け取るには老齢厚生年金を受給している必要があります。もしAさんが老齢基礎年金だけを繰り下げて、老齢厚生年金を65歳から受け取っていれば、増額率は42%を下回りますが、加給年金を取りこぼさずに済んだはずです。

「損益分岐点」だけでなく「健康寿命」も考えて選択を

加給年金を考慮しない場合、受給を5年繰り下げて42%増額させると、額面ベースでは82歳以上長生きすれば元が取れる計算になります。しかし、受給できなかった加給年金(約210万円)も含めて元を取ろうとすると、損益分岐点は84歳過ぎまで伸びてしまいます。

仮に84歳を過ぎて元が取れたとしても、体力や健康の不安によって旅行や趣味を楽しめなくなってしまっては本末転倒です。お金の「損益分岐点」だけでなく、元気に動ける「健康寿命」も考慮して受給時期を決めることが重要です。

年金の繰下げ受給は、将来の収入を増やす非常に有効な手段です。しかし、年金額を増やすこと自体が目的になってしまうと、老後の生活を存分に楽しめなくなってしまいます。制度を正しく理解したうえで「老後にどんな暮らしを送りたいか」を明確にし、目的に合わせた最適な受給計画を立てましょう。


執筆:sr_kazutaka
民間企業で約30年間にわたり人事労務業務に従事する傍ら、経営労務コンサルタント事務所を開設し、相談、コンサルティング、執筆活動等を行う。経営労務コンサルタント・社会保険労務士。

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