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「完全に失敗しました…」退職金2,000万を車や旅行に使った60代男性、銀行で発覚した事実に“肩を落としたワケ”【元銀行員は見た】

  • 2026.10.23
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、元銀行員の東 景子です。

銀行に12年8か月勤務し、預金窓口や融資を担当していた頃、「まとまった資金があるから」と安心してしまい、数年で残高が心もとなくなって相談に来られる方を何人も見てきました。

決して浪費家ではない60代男性Aさんが、なぜ3年足らずで資金を使い果たしてしまったのか。その過程と、陥りがちな盲点を整理してみます。

車・リフォーム・旅行で計1,300万円

「長年勤め上げたのだから、少しくらい贅沢をしても大丈夫だろう」

定年を迎え、口座に約2,000万円の退職金が振り込まれたとき、60歳のAさん(仮名)はそう思っていました。

退職後の楽しみとして、Aさんは以前から計画していた支出を実行に移しました。

車に500万円、リフォームに600万円、旅行などに200万円…大きな支出の合計は1,300万円。

3年後、手元に残った退職金は700万円でした。

「1,000万円以上使ったけれど、まだ700万円残っている。あとは贅沢を控えて普通に暮らしていけば問題ないはずだ」通帳の残高を見て、Aさんはそう考えていました。しかし、見落としていたのは「退職後の毎日の暮らし」にかかるお金でした。

静かに口座を減らす「月20万円の赤字」

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

退職後、定期的な収入だけでは生活費を賄えず、Aさんの家庭では毎月約20万円を退職金から取り崩して生活していました。この20万円は生活費の全額ではなく、入ってくるお金と出ていくお金の差額です。

「今月も少し足りないけれど、まだ数百万円あるから大丈夫だろう」

そう思って取り崩しを続けていたAさんですが、手元の700万円でこの赤字を埋めようとすると、次の計算になります。

700万円 ÷ 月20万円 = 35か月(2年11か月)

35か月、つまり3年持たずに底をついてしまう計算です。

3年間(36か月)の不足額は720万円。最初の大きな支出1,300万円と合わせると、合計で2,020万円となり、手取りの退職金2,000万円を超えてしまいます。

まとまった支出と日々の赤字を別々に考えていたため、資金が減っていくスピードに気づけなかったのです。

「通帳の残高ばかり気にしていて、毎月出ていく赤字の重さを甘く見ていました。まさか3年持たずに底をつくなんて……完全に失敗しました」

試算の数字を目の当たりにしたAさんは、そう言って静かに肩を落としていました。

残高と「毎月の収支」はセットで把握する

車やリフォームのような大きな支出は金額が目立つため意識しやすい一方、毎月少しずつ出ていく赤字は日々の生活に紛れ、危機感を感じにくいものです。

しかし、仮に毎月の不足額が5万円だったとしても、10年続けば600万円になります。手元にある金額だけでなく、「その資金で何年分の生活費の不足をカバーできるのか」を逆算しておく視点が欠かせません。

退職金を手にしたときの残高だけで安心せず、退職後の収入と支出のバランスをあらかじめ数字にして並べてみること。大きな支出の計画と毎月の収支シミュレーションをセットで行うことが、穏やかな老後を送るための確実な備えになります。


執筆:東 景子

元銀行員。銀行に12年8か月勤務し、融資業務と預金窓口業務を経験。

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