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「老後資金はこれで完璧」iDeCoで“月2万円”を積み立ててきた40代女性→ある日、銀行窓口で告げられた“思わぬ事実”に「そんな…」

  • 2026.10.25
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役銀行員ライターの加藤隆二です。

将来の老後資金についてニュースや雑誌で見聞きして不安を感じ、何か対策を始めなければと考えた経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。最近では「節税になる」「老後資金はこれで安心」といった言葉とともに、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)を始める方が非常に増えています。将来への備えとして素晴らしい心がけですよね。

しかし、その「お得だから」という理由だけで制度の内容を十分に把握せずに始めてしまうと、思わぬ落とし穴にはまることがあります。今回は、節税メリットに惹かれて毎月上限いっぱいまでiDeCoに積み立てをしていたお客様が、突然のトラブルで銀行窓口に駆け込んでこられた際のエピソードをご紹介します。 

※事例は、個人が特定されないよう内容を一部変更しています。

お得な制度の裏にある落とし穴

国が推奨する制度だからこそ、見落としがちなルールが存在します。

皆さんは「iDeCo(イデコ)」という言葉を聞いたことがありますか?掛け金が全額所得控除(税金の計算の元になる所得から差し引かれること)になるため、毎年の所得税や住民税が安くなるという、非常に強力な節税メリットがある制度です。

私の勤務する銀行でも、連日のように多くのお客様からお問い合わせをいただきます。「老後資金を作るならiDeCoがお得らしいですね」と、前向きなご相談がほとんどです。しかし、その「強力なメリット」の裏には、絶対に忘れてはいけない「厳格なルール」が存在しているのです。

窓口に駆け込んできた40代女性の悲劇

先日、銀行の窓口にAさん(40代・会社員女性)が血相を変えてやってきました。Aさんは数年前から「老後資金はこれで完璧」と、毎月2万円を積み立てていました。会社員(企業年金なし)としてはほぼ限度額に近い金額です。

しかし、Aさんは思いがけない急病で1ヶ月の休職を余儀なくされ、入院費や当面の生活費として、まとまった現金が今すぐ必要になってしまったのです。

「私iDeCoで結構な額が貯まっているはずだから、そこから50万円だけ引き出したいんです。手続きをお願いします!」

焦るAさんに、私は心苦しく思いながらもお伝えせざるを得ませんでした。

「Aさん、申し訳ございません。iDeCoは原則として、60歳になるまで一切引き出すことができないんです……」
「えっ!?そんな……自分の預金なのに、病気でもダメなんですか!?」

その事実を知ったAさんは、窓口でさっと青ざめて言葉を失ってしまいました。 

どうしてこんな事態に? 解決策と正しい備え方

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

このような状況に陥らないためには、制度ごとの役割分担を理解することが大切です。

Aさんは「節税になるならたくさん掛けたほうが得だ」と、毎月の余裕資金のほぼ全額をiDeCoに注ぎ込んでしまっていました。手元の普通預金(いつでも引き出せるお金)には、ほとんどお金を残していなかったのです。

iDeCoはあくまで「老後(60歳以降)の資金を準備するための制度」です。途中で引き出せてしまっては年金代わりにならないため、国が強力な節税メリットを与える代わりに「資金拘束(自由にお金を引き出せないこと)」という厳しい制限を設けています。 この例では、Aさんは手元の貯金とiDeCoのバランスをしっかりと考えるべきでした。

万が一に備える「流動性」の確保を

こういった場合は、「流動性(必要なときにすぐ現金に換えられるかどうかのしやすさ)」を意識した資金管理に注意すべきです。 今回のような状態になったら、以下のような対策で解決・改善ができます。

まず、毎月の貯蓄額すべてをiDeCoに回すのではなく、急な出費に備えて「生活費の3〜6ヶ月分」程度は、いつでも引き出せる普通預金や定期預金に確保しておくことが鉄則です。 そして、投資でお金を増やしたい場合でも、最初は途中で自由に売却して現金化できるNISA(少額投資非課税制度)を優先して活用する。その上で、さらに長期的な老後資金として「絶対に60歳まで使わなくていいお金」だけをiDeCoに回す、という順番が正解です。

幸い、Aさんは掛け金を月々5,000円(下限額)に減額する手続きを行い、一時的な資金不足はご家族からの支援で乗り切ることができました。「これからは手元のお金と老後のお金のバランスを考えます」と少しホッとした表情を見せてくれました。

 お金の置き場所は「使う時期」で分ける

将来への不安から焦って始める前に、まずはご自身の資金計画を見直してみましょう。

資産形成を始めること自体は、とても素晴らしい一歩です。しかし、どんなに優れた金融制度でも、ご自身のライフステージや万が一の事態に合っていなければ、思わぬ負担になってしまいます。

お金には「日々の生活で使うお金(普通預金)」「数年後に使うかもしれないお金(定期預金やNISA)」「老後まで絶対に手をつけないお金(iDeCo)」という3つの置き場所があります。

皆さんも、目の前の「お得」という言葉だけで焦って決めてしまわず、まずは手元にいくら残すべきかを考えてみてください。もし迷ったときは、いつでもお近くの銀行窓口や専門家を頼ってくださいね。最適なバランスを一緒に見つけるお手伝いができるはずです。


執筆者:加藤隆二 

プロフィール:現役銀行員ライター。保有資格:FP2級(個人資産相談業務) 銀行勤続30年以上の豊富な融資・預金業務の現場経験を活かし、生活に直結するお金のリアルな事情を発信し続けています。

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