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「預金より増えるなら」500万円を“個人向け国債”に入れた60代女性→2年後、換金しようとすると…窓口で告げられた“意外な事実”

  • 2026.10.28
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの小泉です。

老後のために貯めてきた500万円。普通預金に置いておくより、少しでも利息が増えるなら運用してみたい。そんな思いから、個人向け国債に関心を持つ方もいるでしょう。

今回は、500万円を個人向け国債に投じた60代女性のケースを通じて、その仕組みと注意点を見ていきます。

「預金に置いておくのはもったいない」62歳女性の決断

62歳のAさんは、長年のパート勤務と節約で500万円の預貯金を築いてきました。

夫の退職が近づき、老後資金を見直すことに。

株式投資には抵抗がありましたが、預金金利だけでは物足りなさを感じていました。

「元本が値下がりする心配が少なく、預金より利息が期待できるものはないかしら」

そこで目を付けたのが、個人向け国債です。

個人向け国債には、半年ごとに適用利率が変わる「変動10年」と、発行時の利率が満期まで変わらない「固定5年」「固定3年」の3種類があります。いずれも年率0.05%の最低金利が設定され、1万円から購入できます。

Aさんは仕組みを確認したうえで、500万円を個人向け国債に投じました。

「これなら、老後資金を守りながら利息も受け取れそう」

当時のAさんは、そう考えていたのです。

2年後、換金を申し込んだAさんに告げられたこと

購入から2年が経過した頃、自宅の修繕が必要になりました。見積額は約80万円。手元の預金だけでは修繕費の負担が重く、Aさんは国債の一部を換金することにしました。

ところが、金融機関で説明を受けると、換金額は額面金額だけで決まるわけではないと分かりました。

個人向け国債の中途換金額は、原則として「額面金額+経過利子相当額-中途換金調整額」で計算されます。通常、中途換金調整額は、直前2回分の各利子(税引前)相当額に0.79685を掛けた金額です。ただし、換金する時期などによって計算方法が異なる場合があります。

「えっ、途中で換金すると、金額が差し引かれるの?」

Aさんは驚きました。利息が付くことは理解していましたが、途中で換金するときの計算までは意識していなかったのです。

額面元本は値下がりしないが、中途換金時の受取額には注意

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

ここで注意したいのは、個人向け国債は、市場金利の変動によって額面元本の価格が値下がりする仕組みではありません。ただし、受取額が購入時の額面金額を下回ることはありませんが、直前2回分の税引後利子相当額が差し引かれるため、中途換金時点での実質利息がほとんどなくなる(または保有期間中の利益が減る)点に注意が必要です。

もっとも、個人向け国債の中途換金では、それまでに受け取った利子も含めて収支を考える必要があります。換金時の受取額だけを見て、元本割れしたと判断しないことが大切です。

例えば、額面80万円、年率1.0%で利率が変わらず、通常の中途換金調整額の計算方法が適用されると仮定します。この場合、半年分の税引前利子は4,000円です。

直前2回分の利子がそれぞれ4,000円なら、中途換金調整額は次のようになります。

4,000円×2回×0.79685=約6,374円

これは計算方法を示すための仮定であり、Aさんの実際の換金額ではありません。実際の金額は、国債の種類や適用利率、換金する時期などによって異なります。

また、個人向け国債の利子には、原則として20.315%の税金がかかります。中途換金調整額の計算に0.79685を用いるのは、この税率を反映したものです。

Aさんが知ったのは、元本が市場価格の変動で値下がりするという話ではなく、途中で換金する際には所定の調整額が差し引かれるという事実でした。

老後資金は「増やすこと」と「使えること」の両立を

個人向け国債は、満期まで保有することを基本に考えたい金融商品です。発行後1年間は原則として中途換金できないため、近いうちに使う予定のお金をすべて投じるのは避けたいところです。

Aさんのように、住宅修繕費や医療費など、急な出費が発生する可能性もあります。

老後資金の運用では、利率だけで判断せず、いつ使うお金なのか、途中で換金する可能性はあるのかを考えることが大切です。

「預金より増えるなら」と金利に注目するだけでなく、換金の条件まで理解しておくこと。それが、将来の思わぬ出費に慌てないための第一歩といえるでしょう。


執筆・監修:小泉@社労士ライター

20年以上の社労士経験を通じて、多くの相談者から「こんな制度があるとは知らなかった」「もっと早く相談しておけばよかった」という声を聞いてきた経験から、専門知識を、必要とする人に、正しく、わかりやすく届けることを大切にしている。社会保険・労働保険、公的年金をはじめ、暮らしや仕事に関わる制度について、専門家としての正確性と、生活者目線のわかりやすさを両立した情報を執筆・発信。保有資格は、社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士など。

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