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「いらない土地は国が引き取ってくれる」“築50年の実家”を相続した50代息子→後日、法務局突きつけられた“200万円”の大誤算

  • 2026.10.28
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関でマネージャーを務めながら、家計のご相談に日々向き合っている中川です。

今回ご紹介するのは、父から地方の実家を相続した50代男性・Aさん(仮名)の体験談です。

「使わない土地は、国が引き取ってくれる制度がある」

そう聞いて法務局へ相談に行ったAさんでしたが、窓口で説明を受け、肩を落とすことになりました。相続した土地を手放したいときに知っておきたい、制度の条件と費用をご紹介します。

住む予定のない実家を相続

都内に住む55歳のAさんは、昨年、父を亡くしました。

相続したのは、地方にある父の実家です。築50年の木造の一軒家と、約300m^2の宅地があります。

しかし、Aさんが実家に住む予定はありません。地元の不動産会社にも相談しましたが、買い手は見つかりませんでした。

固定資産税を支払うだけでなく、年に数回は草刈りをするために帰省しなければなりません。

そんなとき、知人から「いらない土地は、国が引き取ってくれる制度がある」と聞きました。

「これで肩の荷が下りる」

そう思ったAさんは、法務局の相談窓口を予約しました。

「建物がある土地は、申請できません」

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

相談窓口で担当者から最初に説明されたのは、思いもよらない条件でした。

「建物が建っている土地は、申請することができません」

「相続土地国庫帰属制度」は、2023年4月27日に始まりました。相続などで取得した土地を、一定の条件のもとで国に引き渡せる制度です。

ただし、どのような土地でも引き渡せるわけではありません。

建物がある土地や、抵当権などが設定されている土地、境界が明らかでない土地は、そもそも申請できません。

実家には築50年の木造住宅が残っています。すぐに国へ引き渡せると思っていたAさんは、この説明を聞いて肩を落としました。

引き渡すにも、200万円以上かかる

建物を解体すれば、この条件は外れます。ただし、ほかの条件も満たす必要があるうえ、申請や引き渡しには次の費用がかかります。

  • 審査手数料:土地1筆あたり1万4,000円(却下や不承認でも返されません)
  • 負担金:原則20万円(承認された場合)

市街化区域などにある宅地の負担金は、面積に応じて計算されます。100㎡で約55万円、200㎡で約79万円が目安です。

Aさんの土地はこれにあたらないため、負担金は20万円です。

さらに、申請するには家の解体費も必要です。地元の業者に見積もりを頼んだところ、約180万円かかることがわかりました。

「国に引き取ってもらうにも、200万円以上かかるのか」

Aさんは、想像していた以上の負担に驚きました。

しかも、申請すれば必ず引き取ってもらえるわけではありません。法務省によると、2026年9月末までの申請は6,125件で、国に引き取られたのは3,231件です。まだ審査中のものもありますが、却下や不承認になった例もあります。

一方で、申請の後に土地を活用できる見込みが生じ、取り下げた例も595件あります。

手放す方法を比べて決める

Aさんは、すぐに家を解体して申請するのではなく、まずは隣の家の人や、自治体の空き家バンクに相談してみることにしました。

なお、家を解体し、翌年1月1日の時点で住宅がなくなっていると、土地の固定資産税が上がることがあります。住宅が建っている土地に適用される特例が対象外となるためです。

相続した土地を手放したい方は、次の点を確認してみてください。

  • 建物や抵当権など、申請できない条件に当たらないか
  • 解体費と負担金を合わせた費用
  • 売却や空き家バンクなど、ほかの手放し方

相続した土地を手放したいときは、国の制度だけに頼らず、かかる費用とほかの方法を比べて決めることが大切です。


執筆・監修:中川 佳人

金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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