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「住宅ローンは早く返すほど安心」“500万円”を繰り上げ返済した40代男性→10年後、待っていた“想定外の問題”に後悔したワケ

  • 2026.10.25
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの小泉です。

住宅ローンを抱えていると、「少しでも早く返済すれば、将来の利息を減らせて安心」と考えることはありませんか?まとまった貯蓄があると、繰り上げ返済に回したくなるものです。

しかし、手元のお金を減らしたことで、思わぬ困りごとが生じる可能性も。

今回は、42歳で500万円の繰り上げ返済を決断した会社員が、10年後に直面した家計の悩みを通じて、住宅ローン返済で見落としがちなポイントを考えます。

700万円の貯蓄から500万円を返済。「これで安心」のはずが…

Aさんが42歳になったとき、預貯金は700万円。住宅ローンはまだ残っていました。

「預金に置いておくより、住宅ローンを早く返すほど安心」

そう考えたAさんは、500万円を繰り上げ返済。預貯金は200万円になりました。

選んだのは、毎月の返済額を原則として変えず、返済期間を短くする「期間短縮型」です。繰り上げ返済には、毎月の返済額を減らす「返済額軽減型」もあります。

一般に、同じ条件で比較すれば、期間短縮型のほうが利息の軽減効果は大きくなりやすいとされています。

ただし、実際にいくら利息が減るかは、借入残高や金利、残りの返済期間などによって異なります。Aさんも、返済によって将来の利息負担を減らせることに期待していました。

10年後、教育費と住宅修繕費が重なった

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

それから10年。52歳になったAさんの家計に、想定外の問題が生じました。

子どもの進学費用に加え、車の買い替えや住宅設備の修繕が必要になったのです。

仮に、これらの支出が教育費180万円、車の買い替え費用150万円、住宅修繕費80万円の合計410万円だったとします。

一方、Aさんの預貯金が200万円のままだった場合、支出をすべて預貯金で賄うことはできません。差額は210万円です。

もちろん、これは家計の状況を説明するための試算であり、実際に誰もが同じ金額を支出するわけではありません。また、Aさんが10年間に貯蓄を増やせたかどうかによっても、結果は変わります。

それでも、Aさんは考え込んでしまいました。

「500万円を返済せずに残していたら、急な出費にも対応しやすかったのではないか……」

住宅ローンの残高を減らすことばかり考え、手元に残すべきお金を十分に検討していなかったことに気づいたのです。

繰り上げ返済で減るのは利息。家計のリスクまで消えるわけではない

繰り上げ返済は、将来支払う利息を減らしたり、完済時期を早めたりできる方法です。しかし、返済に充てたお金は、原則として自由に引き出せません。

病気や休職による収入減少、教育費、住宅の修繕費などに備えるには、手元資金も必要です。貯蓄が不足し、別の借り入れを検討せざるを得なくなれば、家計の負担が増える可能性もあります。

また、住宅ローン控除を受けている人は、繰り上げ返済による返済期間の短縮にも注意が必要です。控除の対象となるには、原則として償還期間が10年以上であることなどの要件があります。繰り上げ返済によって、最初の返済から最終返済までの期間が10年未満になると、控除を受けられなくなる場合があります。繰り上げ返済を検討する際は、金融機関などに控除への影響を確認しておきましょう。

Aさんのようにまとまった資金を返済に回す前には、利息の軽減額だけでなく、今後の教育費や住宅修繕費、生活費の予備資金も含めて検討することが大切です。

住宅ローンを早く返すことが、必ずしも家計全体にとって最善とは限りません。大切なのは、借金を減らすことと、必要なときに使えるお金を確保することのバランスなのです。


執筆・監修:小泉@社労士ライター

20年以上の社労士経験を通じて、多くの相談者から「こんな制度があるとは知らなかった」「もっと早く相談しておけばよかった」という声を聞いてきた経験から、専門知識を、必要とする人に、正しく、わかりやすく届けることを大切にしている。社会保険・労働保険、公的年金をはじめ、暮らしや仕事に関わる制度について、専門家としての正確性と、生活者目線のわかりやすさを両立した情報を執筆・発信。保有資格は、社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士など。

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