1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 退職代行サービスを使って会社を辞めた30代男性→「これでもう安心」ホッとしていたが…数日後、待ち受けていた“想定外の代償”

退職代行サービスを使って会社を辞めた30代男性→「これでもう安心」ホッとしていたが…数日後、待ち受けていた“想定外の代償”

  • 2026.10.18
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの小泉です。

面倒な手続きや苦手な相手とのやり取りを、専門のサービスに任せられるとホッとしますよね。退職の場面でも、会社とのやり取りを代行してもらい、「これでもう安心!」と肩の荷が下りる人はいるでしょう。

しかし、会社を辞めたら、それですべてが終わるわけではありません。健康保険や年金、失業給付、住民税など、退職後にも確認すべきことが残っています。今回は、退職代行を利用した32歳男性が、退職後の手続きと期限を知って青ざめたワケを紹介します。

「もう会社と関わらなくていい」退職代行で安心した32歳男性を待っていた現実

「会社にはもう行きたくない」。

そう考えた32歳のAさんは、退職代行サービスを利用して会社を退職しました。会社への退職の意思表示を自分でする必要がなくなり、「これで退職に関することは終わった」と、Aさんは胸をなで下ろしたといいます。

しかし、退職から数日後、ふと気付きました。

健康保険は?年金は?失業給付の手続きはどうするんだろう…。

退職代行を利用して退職することと、退職後の公的制度に関する手続きが完了することは、同じではありません。

「14日以内」「20日以内」も!退職後に確認したい3つの手続き

まず確認したいのが、健康保険です。

退職後の健康保険には、主に「現在の健康保険の任意継続」「国民健康保険」「家族が加入する健康保険の被扶養者」という選択肢があります。どれを選ぶかは、保険料や家族の状況などによって異なります。

例えば、Aさんが協会けんぽの任意継続を選ぶ場合、退職日までに継続した2カ月以上の被保険者期間があり、退職日の翌日から20日以内に申出書を提出する必要があります。加入期間は原則2年間です。任意継続では、在職中に会社と本人で負担していた健康保険料について、退職後は本人が全額負担します。協会けんぽの場合、保険料は退職時の標準報酬月額などを基に算出されるため、任意継続では、原則として在職中に本人が負担していた健康保険料の2倍相当になります。ただし、標準報酬月額の上限などにより、必ず2倍になるとは限りません。

次に、国民年金です。

Aさんが32歳で、退職後すぐに再就職せず、厚生年金にも加入せず、配偶者の扶養に入って第3号被保険者となる場合にも該当しないときは、原則として国民年金の第1号被保険者への切り替えが必要です。手続きは、原則として退職日の翌日から14日以内に行います。2026年度の国民年金保険料は月額1万7,920円。例えば3カ月間、国民年金の第1号被保険者として保険料を納める場合、単純計算では5万3,760円になります。

ただし、退職などによって保険料の納付が難しい場合には、免除や納付猶予を利用できる場合があります。「払えないから未納のまま」とせず、対象になる制度がないか確認することが大切です。

そしてAさんが特に気にしていたのが、雇用保険の基本手当、いわゆる失業給付でした。「退職したのだから、すぐに失業給付がもらえる」と考えていたAさん。しかし、基本手当は退職すれば自動的に支給されるものではありません。

原則として、離職前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12カ月以上あり、就職する意思と能力があるにもかかわらず、求職活動をしても就職できていないなど、一定の受給要件を満たす必要があります。ただし、倒産・解雇など一定の理由による離職では、離職前1年間に被保険者期間が通算6カ月以上あれば、受給資格を満たす場合があります。

さらに、正当な理由のない自己都合退職の場合、2025年4月1日以降の離職では、原則として7日間の待期期間に加えて1カ月の給付制限があります。ただし、過去5年間の退職歴などによっては3カ月となる場合があり、一定の教育訓練等を受ける場合には給付制限が解除されることもあります。

退職後は、健康保険の切り替えに必要な資格喪失を確認できる書類や、失業給付の申請に必要な離職票などを受け取れるかも確認しておきましょう。退職代行を利用した場合も、必要書類の受け取りまで自動的に完了するとは限りません。

「辞めたから住民税もゼロ」は間違い!最後に待ち受ける思わぬ負担

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

最後に忘れたくないのが、住民税です。

住民税は、前年の所得などを基に課税されるため、「退職して収入がなくなったから、その時点で住民税もなくなる」というものではありません。

例えば、6月から翌年5月まで給与から天引きされる住民税について、8月末に退職した場合、原則として9月から翌年5月までの残額は、納付書などで自分で納めることになります。ただし、本人が申し出た場合などには、残額を最後の給与や退職手当等から一括徴収することも可能です。一方、翌年1月1日から4月30日までに退職した場合は、原則として、5月31日までに支払われる給与や退職手当等から残額を一括徴収します。ただし、徴収すべき税額が給与等の金額を超える場合などは例外です。

「退職代行を使ったから、会社との手続きはすべて終わった」

Aさんが気付いたのは、この認識には注意が必要だということでした。

退職後は、少なくとも次の4点を確認しておきたいところです。

  • 健康保険:どの制度に加入するか、申請期限はいつか
  • 年金:切り替え手続きが必要か、期限はいつか
  • 雇用保険:受給要件を満たすか、必要書類はそろっているか
  • 住民税:残額はいくらか、どのように納付するか

退職直後は会社から離れられた安心感で、こうした確認が後回しになりがちです。しかし、退職後のお金と公的制度については、自分自身で確認しておくことが、思わぬ負担を避ける第一歩になります。


執筆・監修:小泉@社労士ライター

20年以上の社労士経験を通じて、多くの相談者から「こんな制度があるとは知らなかった」「もっと早く相談しておけばよかった」という声を聞いてきた経験から、専門知識を、必要とする人に、正しく、わかりやすく届けることを大切にしている。社会保険・労働保険、公的年金をはじめ、暮らしや仕事に関わる制度について、専門家としての正確性と、生活者目線のわかりやすさを両立した情報を執筆・発信。保有資格は、社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士など。


【エピソード募集】お金にまつわる「えっ!」と思った体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる

注目コンテンツ