1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 「非課税だから安心」父から受け取った“1,000万円”で家を買った30代女性→翌年、税理士に突きつけられた“177万円”の大誤算

「非課税だから安心」父から受け取った“1,000万円”で家を買った30代女性→翌年、税理士に突きつけられた“177万円”の大誤算

  • 2026.11.5
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは!税理士・元国税調査官の神崎遊です。

「画竜点睛(がりょうてんせい)を欠く」と言えば、最後の仕上げができておらず完全ではないという意味です。税金の世界でも最後の手続きをし忘れると、制度の適用ができない結果につながる場合があります。

今回は画竜点睛を欠いて泣きそうになった女性の体験談です。

「マイホームがほしい!」

30代・女性のKさんは夫と小学生の息子3人で社宅に暮らしていました。会社員の夫とKさんのパート収入を合わせても世帯年収は500万円。「そろそろマイホームを買いたいね」と夫婦で話をするものの、いつも「まだ余裕がないよね」で終わるのが常でした。

そんなある日、息子を連れて週末に実家に遊びに行ったときのことです。いつも寡黙な父から「渡すものがある」と言われ「なんだろ?めずらしいな」と思いつつ話を聞いて驚きました。

「ここぞというときに渡そうと思っていた」と1,000万円の入った紙袋を渡してきたのです。

母いわく「マイホームがほしいって話しているのを聞いて、今がそのとき」と思ったとのこと。

「住宅購入資金は非課税だから心配いらない」

「1,000万円もらったら贈与税を払わないといけないんでしょ」とKさん。

ところが親子間で住宅を購入するために贈与されたお金は、非課税の特例があることまで父は調べていました。

「さすがはお父さん。口数は少ないけど行動力はあるよね」

さらに省エネ等住宅であれば1,000万円までは非課税であると教わったこともあり、Kさん夫婦は省エネ等住宅に該当する3,500万円の戸建住宅を住宅ローンも利用し、共有名義で購入しました。

「住宅取得資金の贈与の特例」を適用できて安心していたのに

住宅取得等資金の非課税は、受贈者などについて次のような主な適用要件があります。

  • 父母・祖父母など直系尊属からの贈与
  • 贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上
  • 贈与を受けた年の合計所得金額が一定額以下
  • 贈与を受けた翌年3月15日までに、贈与資金を使用する
  • 住宅の床面積など一定の要件を満たす

Kさんはこれらの要件を満たしており、1,000万円は非課税になると安心しきっていました。

しかし翌年、住宅ローン控除を受けようと税理士に依頼して青ざめました。

特例は自動適用されないなんて…

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

1,000万円は非課税でもらえましたと雑談中、税理士から思わぬ一言がありました。

「特例を適用するためには贈与税の申告をしないと適用できませんよ」

頭が真っ白になるKさんに、税理士は続けます。

「自動適用はできないので申告を忘れると通常どおり基礎控除の110万円を超えた分は課税されるところでしたね」

基礎控除を超えた890万円に課税された場合は、

890万円×30%-90万円=177万円

申告を忘れた場合は少なくとも177万円の税金を支払うところでした。

幸い、「贈与を受けた翌年3月15日の期限前」に税理士が気づいたことで事なきを得ました。

「危なかった…こんな落とし穴があったなんて」

画竜点睛を欠かないように

要件をほとんど満たしていても「申告をする」という最後の手続きを忘れるだけで、特例の適用ができない悲しい結末になるところでした。

たったひとつの見落としで大きな損失につながる場合があります。特例の適用にあたってはすべての要件を満たしているか改めて確認し“画竜点睛を欠く”ことのないように注意しましょう。


執筆:税理士・元国税調査官 神崎遊

国税組織で12年間勤務し、法人税調査を中心に200件以上の税務調査に従事。現在は「ゆとり税務会計」を運営し、中小企業・個人事業主の税務支援を行っている。

の記事をもっとみる

注目コンテンツ