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「相続対策として」自宅を売って現金化60代父→5,000万円を受け取るが…後日、税理士に指摘された“想定外の落とし穴”に驚愕

  • 2026.10.14
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは!税理士・元国税調査官の神崎遊です。

「相続で争ってほしくないんです」と切実な思いを口にするのは60代・男性のDさん。相続でもめてほしくないと、財産を分けやすいように自宅を売却して現金化。

よかれと思った相続対策が失敗した“ある思い込み”とは…。

現金化できて安心のはずが…

妻に先立たれ、60代男性・Dさんは一人暮らし。

気がかりなのは、息子と娘に財産をどう残すか。財産は預金2,500万円と自宅。

「自宅を売却して現金化すれば、きれいに兄妹に財産を分けられるな」

そこでDさんは不動産会社に依頼して自宅を売却しました。受け取った現金は5,000万円ほどで「これで安心」と思っていたそうです。

1年後、自宅譲渡の申告を依頼した税理士から言われた一言で愕然としたDさん。

現金でも不動産でも同じだと思っていた

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「自宅を売却して現金化したことで、将来の相続税は増えてしまいますね」

5,000万円の不動産と5,000万円の現金はどちらも同額。そうなると違うのは財産の種類だけであり、相続税も同額になる。

Dさんの考えは間違っていないようにみえます。しかし、Dさんの想定には不動産の評価の方法や特例の存在が抜け落ちていたのです。

土地・建物の評価方法は時価ではない?

土地・建物は相続税を計算するための評価方法が定められています。

土地の場合は「路線価」という国税庁が定めた道路の価額を基準に評価額を算出します。

路線価は地価公示価格などをもとに、価格の80%程度を目途に設定されています。また、建物は原則、固定資産税評価額での評価です。そのため、実際の売却価格より、相続税評価額が低くなることが一般的です。

小規模宅地等の特例とは

さらに以下の要件に当てはまると土地の評価が最大80%下がる特例があります。

  • 被相続人が住んでいた自宅の土地である
  • 配偶者など一定の親族が相続する
  • 取得者ごとの居住や保有要件を満たす
  • 対象となるのは330㎡まで

別居していた親族が特例を使う場合、相続開始前3年以内に、自分や配偶者などの持ち家に住んでいないことなどの一定の要件を満たす必要があります。

Dさんの子どもはこれらの要件を満たしていました。

相続税はどう変わる?

Dさんの自宅は土地4,000万円、建物1,000万円で売却しました。

ここでは、自宅売却にかかる諸費用や税金などは考慮しない簡易的な比較とします。

売却前の土地の相続税評価額を3,200万円、建物の固定資産税評価額を700万円と仮定します。
土地に小規模宅地等の特例を使うと、3,200万円から80%減額され、評価額は640万円です。

そのため、自宅を売却しなかった場合の相続税評価額は、

土地640万円+建物700万円+預金2,500万円=3,840万円

となります。

一方、自宅を5,000万円で売却すると、もともとの預金2,500万円と合わせて、現金は7,500万円になります。

相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除があります。Dさんの相続人は子ども2人なので、基礎控除は4,200万円。

つまり、自宅を残して特例を使えれば3,840万円で基礎控除の範囲内ですが、5,000万円で現金化すると7,500万円となり、基礎控除を大きく超えることになります。

相続対策と相続税対策は別に考える

「現金化するのが一番の相続対策だと思っていました」とDさんは嘆いていましたが、がっかりする必要はありません。

現金化したことで生前贈与しやすくなるなどメリットもあります。

現金化=相続税対策として悪手なわけではなく、相続と相続税の両面から対策を練るのが必要なのです。


執筆:税理士・元国税調査官 神崎遊

国税組織で12年間勤務し、法人税調査を中心に200件以上の税務調査に従事。現在は「ゆとり税務会計」を運営し、中小企業・個人事業主の税務支援を行っている。

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