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「また積み立てればいい」15年間積み立てた“財形貯蓄360万円”を解約した30代夫婦→後日、届いた明細を見て“目を疑ったワケ”

  • 2026.10.13
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPで会社員世帯の家計相談を数多く受けてきた柴田です。

給与から天引きで貯められる財形貯蓄は、気づけばまとまった金額になっている心強い制度です。ただ、種類によっては使い道に決まりがあります。

今回は、財形住宅貯蓄を子どもの学費に使った30代のAさん夫婦のお話です。

「自分たちのお金だから」と引き出した

Aさん(30代女性)のご主人は、入社してから15年間、会社の財形住宅貯蓄で毎月2万円を積み立ててきました。残高は約360万円です。マイホームの購入はまだ先の話で、貯蓄は手つかずのままでした。

そんなとき、お子さんの私立中学への進学が決まりました。入学金や授業料などで、まとまったお金が必要です。「財形は非課税だし、自分たちのお金なんだから使えばいい」。ご夫婦はそう話し合い、会社を通じて手続きをしました。

住宅以外の目的では一部だけを引き出すことができず、全額の解約になると聞きましたが、「また積み立てればいい」と考えたそうです。

後日届いた解約の明細を見て、2人は目を疑います。非課税のはずの財形なのに、過去の利子にさかのぼって課税するという内容が書かれていたのです。手続きの書類には課税についての注意書きもありましたが、2人とも読み飛ばしていました。

財形住宅貯蓄は「使い道」で非課税が決まる

相談に来られたAさんに、私は制度の決まりを説明しました。

財形住宅貯蓄は、財形年金貯蓄と合わせて元本550万円まで、利子に税金がかからない制度です。ただし、この非課税には条件があります。マイホームの購入やリフォームなど、住宅のために払い出すことです。

住宅以外の目的で払い出す場合は、必要な分だけを引き出すことはできず、全額の解約になります。そのうえで、過去5年間にさかのぼって、その間に非課税で受け取った利子に20.315%の税金がかかります。Aさん夫婦の明細に書かれていたのは、この課税のことでした。※

※災害など一定の事情がある場合には、課税されない特例も設けられています。

税金は約2,000円。それでも失ったものは小さくない

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

では、実際にいくら課税されたのでしょうか。

Aさん夫婦の明細を確認すると、過去5年間に付いた利子は合計で約1万円でした。低金利の時期が長かったためです。税金は約2,000円。「もっと損するのかと思いました」と、Aさんも胸をなでおろしていました。

ただし、金額が小さかったからといって、問題がなかったわけではありません。私がお伝えしたのは、15年かけて貯めてきた住宅資金の置き場所を失ったことです。

学費に使った残りは普通預金に戻りましたが、給与天引きで貯まる仕組みも、住宅のための非課税も、いったんなくなりました。財形住宅貯蓄はもう一度契約できますが、積み立てはゼロからのやり直しです。学費を別の貯蓄から出せていれば、360万円はそのまま住宅資金として残せました。

もう1つ、私がはっきりとお伝えしたことがあります。それは、住宅のための貯蓄を計画外に取り崩したこと自体が、ライフプランを立てていなかった証拠だということです。お子さんの進学は、ある日突然決まるものではありません。私立中学を受験するなら、入学金や授業料がいつ、いくら必要になるかは数年前から見えていたはずです。

それが見えていれば、住宅資金に手を付けずに済むよう、教育費の準備を別に進められました。財形の課税よりも、こちらのほうがずっと大きな問題かもしれません。

使い道が決まっていないお金は分けておく

そこで、Aさん夫婦と一緒にライフプランを作ることにしました。方法はシンプルです。

まず、今後20年ほどの間に起こる家族の出来事を年表にします。お子さんの高校・大学進学、ご主人の定年、マイホームの購入時期。それぞれの年に家族が何歳になっているかを並べました。

次に、出来事ごとに必要なお金を書き入れます。教育費は、文部科学省の調査などを参考に、私立の中学・高校と大学の学費の目安を置きました。住宅は、希望する地域の相場から頭金の目標額を決めます。

そして、現在の収入と支出から毎年いくら貯められるかを出し、年表の支出と照らし合わせます。すると、お子さんの大学入学と住宅購入の希望時期が重なり、このままではどちらかの資金が足りなくなることが分かりました。購入時期を2年遅らせるか、頭金の目標を下げるか。ご夫婦で話し合い、購入時期を遅らせる方を選びました。

最後に、貯蓄を目的ごとに分けました。教育費は積立定期預金で、住宅資金は財形住宅貯蓄を再契約して、それぞれ別の口座で積み立てます。使い道が決まっていないお金も、生活費とは別の口座に分けておきます。こうしておけば、急な出費があっても「どの口座から出すか」で迷わず、別の目的のお金に手を付けることがなくなります。

まとめ

Aさん夫婦は、ライフプランをもとに、教育費は積立定期預金で、住宅資金は財形住宅貯蓄を再契約して、別々に積み立てることにしました。「非課税という言葉だけを覚えていて、条件を忘れていました」と話していました。

非課税の制度には、必ず条件があります。引き出す前に、勤務先の担当部署や取扱いの金融機関に「この使い道で払い出すとどうなりますか」と聞いてみてください。その一言と、手続きの書類にある注意書きの確認で、思わぬ課税を避けられます。


執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,500記事以上の執筆実績あり。

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