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「何かあったらここを見て」終活ノートを子どもに渡した74歳母→後日、窓口で突きつけられた“思わぬ盲点”に「知らなかった…」

  • 2026.10.23
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関勤務のおがわ163です。20年間、金融機関の窓口で資産運用や家計相談に携わってきた経験をもとに、お金にまつわるリアルなエピソードをお届けしています。

今回ご紹介するのは、終活でエンディングノートを書いた70代女性Aさんの体験談です。これで子どもたちは困らないと考えていたAさんが、窓口で知ったこととは。

夫のときに苦労したから、書き残した

先日、相談にいらした74歳のAさん。夫を5年前に亡くし、一人暮らしをしています。娘と息子はそれぞれ遠方で暮らしており、年に数回会う程度です。

夫の相続では、ずいぶん苦労したといいます。どこの銀行に口座があるのか分からず、家中の引き出しを探して通帳を集めました。戸籍をそろえるのにも時間がかかり、手続きがすべて終わるまで半年近くかかったそうです。

「子どもに迷惑をかけたくなくて」

Aさんは終活の一環として、エンディングノートを書きました。取引のある4つの銀行名、支店名、口座番号、そして暗証番号まで。預金は合わせて2,500万円ほどです。

ノートは自宅の引き出しにしまい、子どもたちには「何かあったらここを見て」と伝えてありました。

暗証番号を知っていても、引き出せない

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

銀行窓口で相談したAさんに、担当者が伝えたのは、少し違う話でした。

口座の名義人が亡くなったことを銀行が知ると、その口座は凍結されます。以後は、相続の手続きを経なければお金を動かせません。暗証番号を知っているかどうかは関係ないのです。

必要になるのは、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍と印鑑証明書、遺産分割協議書など。銀行ごとに書類をそろえ、相続人全員の署名と実印が必要になります。遠方に住む子どもたちが、それぞれ書類を用意してやり取りすることになります。

「知らなかった…。暗証番号を書いておけば、下ろせると思っていました」

そしてもう一つ。暗証番号を書き残すことには、別のリスクがあります。ノートを誰かに見られれば、そのまま悪用されかねません。銀行の規約でも、暗証番号は他人に知らせないことが前提です。万が一の被害に遭ったとき、補償を受けられなくなるおそれもあります。

役に立つのは、お金の「ありか」

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

では、エンディングノートに何を書けばよいのか。担当者が挙げたのは、お金のありかでした。

どの銀行のどの支店に口座があるか。証券口座や保険、貸金庫の有無。借入があればその内容も。これらが分かるだけで、遺された家族の負担は大きく減ります。実際、Aさんが夫のときに苦労したのは、まさにこの部分でした。暗証番号は書く必要がありません。

そのうえで、本人が元気なうちにできることもあります。

一つは、口座を整理すること。4つの銀行すべてで手続きが必要になるなら、使っていない口座は生前にまとめておくほうが楽です。ただし預金保険で保護されるのは1金融機関あたり1,000万円までなので、減らしすぎにも注意が必要です。

もう一つは、遺言です。エンディングノートには法的な効力がありませんが、遺言書があれば、遺産分割協議を経ずに手続きを進められる場合があります。公正証書遺言にしておけば、家庭裁判所の検認も不要です。

さらに、判断能力が低下したときに備えて、代理人の届け出や任意後見契約という方法もあります。いずれも本人が元気なうちにしか手続きできません。

「書き残すだけでは足りないんですね」

Aさんは、まず暗証番号の記載を消し、口座の一覧を作り直すことにしました。

エンディングノートを書く前に確認しておきたいこと

残したい情報と、残してはいけない情報があります。次の点を押さえておきましょう。

  • 名義人が亡くなると口座は凍結される
  • 口座凍結後は、暗証番号を知っていても引き出せない
  • 相続手続きには戸籍や遺産分割協議書などが必要
  • 暗証番号を書き残すと悪用のリスクがある
  • 書くべきは口座や保険、借入の「ありか」
  • エンディングノートに法的な効力はない
  • 遺言や代理人の届け出は元気なうちにしかできない

相続手続きに必要な書類は、取引先の金融機関で確認できます。遺言の作成については、公証役場や弁護士、司法書士に相談してください。成年後見や任意後見については、家庭裁判所や法テラス、お住まいの地域の地域包括支援センターでも相談できます。

「書き残せば大丈夫」と考える前に、何を残せば家族が動けるのかを確かめておくことが、本当に迷惑をかけない準備の第一歩です。


執筆:おがわ163
金融機関勤務(勤続20年)。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。窓口業務・資産運用相談の現場経験をもとに、生活に役立つお金の知識をわかりやすくお届けしています。

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