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「まとめて非課税でもらえるから」父から1,000万円を受け取った50代娘→3年後、窓口で知った“取り返しのつかない事実”に絶句…

  • 2026.10.22
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関勤務のおがわ163です。20年間、金融機関の窓口で資産運用や家計相談に携わってきた経験をもとに、お金にまつわるリアルなエピソードをお届けしています。

今回ご紹介するのは、父の病気をきっかけに、姉と同じ制度で贈与を受けていた50代女性Aさんの体験談です。毎年の贈与を振込で済ませようと窓口を訪れたAさんが、その後知ることになった想定外の事実とは。

姉と同じように、住宅資金として1,000万円を

Aさんは52歳、パート勤務です。夫と二人暮らしで、子供はすでに成人しています。

5年ほど前、父の病気が分かった直後、姉が住み替えのタイミングで、父から1,000万円の贈与を受けていました。「相続時精算課税っていう制度を使ったから、贈与税はかからなかったよ」と姉から聞いていたAさんは、なんとなくその制度のことを知っているつもりでいました。

相続時精算課税は、原則60歳以上の父母や祖父母から、18歳以上の子や孫への贈与について、累計2,500万円までは贈与税がかからない代わりに、その贈与財産をのちの相続財産に加算して相続税を計算する制度です。

Aさんの家庭は夫の転勤が多く、これまでずっと賃貸暮らしでした。3年前、夫の転勤が一区切りつき、老後を見据えて初めての持ち家を購入することになったとき、父から住宅の一部資金として1,000万円の贈与を受けることになりました。「姉も使った制度だし、同じにしておけば分かりやすいだろう」と、Aさんも相続時精算課税を選択しました。

「110万円の贈与を、振込で」と相談に来店

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

その後、父の治療は落ち着き、深刻な心配はほぼなくなりました。「このぶんなら、まだまだ長生きしてくれそうだ」。そう感じたAさんは、これから毎年110万円ずつ、暦年課税の非課税枠を使って父から贈与を受けようと考え、振込の手続きについて窓口に相談に訪れました。

経緯を聞いた担当者は、こう伝えました。「贈与税の具体的な取り扱いについては、税務署や税理士にご確認いただく必要があります。ただ、お父さまからの贈与については、以前に相続時精算課税を選択されているとのことですので、今回の贈与がどちらの制度で扱われるのか、振込の前に確認しておかれたほうが安心です」

言われてみれば、これまで意識したことのない点でした。「そういえば、あのとき選んだ制度って、今回の贈与にも関係あるんですか」

父と来店した日に聞いた、顛末

税務署と税理士に確認したAさんは、思いがけない事実を知ることになりました。

一度、父からの贈与について相続時精算課税を選択すると、その選択は撤回できず、すでに受け取った1,000万円も含め、父からの贈与すべてにこの制度が適用され続けるというのです。あの1,000万円は、この先父が何年生きても、亡くなった時点で必ず相続財産に加算されることになります。

なお、2024年以降に受け取る分については、相続時精算課税にも年110万円の基礎控除が設けられました。この範囲内なら贈与税がかからず、相続財産にも加算されません。ただし、すでに受け取った1,000万円に、この基礎控除はさかのぼって適用されません。

後日、父と一緒に贈与の振込手続きのために来店したAさんは、窓口でこう話してくれました。

「実は、住宅資金の贈与には、相続時精算課税とは別に、直系尊属から住宅取得等資金をもらった場合の非課税制度もあったそうです。省エネ等の基準を満たす住宅なら上限1,000万円、それ以外の住宅でも上限500万円まで贈与税がかからず、暦年課税のまま使える制度で、もしあのときこちらを選んでいれば、あの1,000万円は将来の相続財産に加算されずに済んだかもしれない、と税理士さんに言われました。」

「同じ非課税でも、選び方ひとつで、あの1,000万円の意味が全く変わっていたんですね」とAさんは、取り返しのつかなさに絶句しました。

相続時精算課税を選択する前に知っておきたいこと

相続時精算課税を選択する前に、以下の点について確認しておきましょう。

  • 相続時精算課税は、累計2,500万円まで贈与税がかからない代わりに、贈与財産をのちの相続財産に加算する制度で、一度選ぶとその贈与者からは暦年課税に戻せない
  • すでに受け取った贈与財産は、将来の相続財産に加算される(2024年以降の贈与は、年110万円の基礎控除を超えた分が加算の対象)
  • 暦年課税なら、贈与から一定期間(現行7年、段階的延長中)が過ぎれば相続財産に加算されない
  • 暦年課税なら、相続財産に加算されるのは相続前の一定期間の贈与のみ(2024年以降の贈与から加算期間が3年より順次延長され、7年分がすべて対象になるのは2031年以降の相続から)
  • 住宅資金の贈与には、相続時精算課税とは別に、直系尊属から住宅取得等資金をもらった場合の非課税制度(省エネ等住宅は上限1,000万円、それ以外は上限500万円)もある
  • 贈与税の具体的な取り扱いは、金融機関の窓口では判断できない。税務署や税理士に確認する必要がある

「まとめて非課税でもらえるから」という目先の判断が、何年も先の相続財産の扱いまで決めてしまうことがあります。贈与の方法で迷ったときは、金融機関の窓口だけでなく、税務署や税理士にも早めに相談してみてください。


執筆:おがわ163
金融機関勤務(勤続20年)。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。窓口業務・資産運用相談の現場経験をもとに、生活に役立つお金の知識をわかりやすくお届けしています

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