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母の介護で退職した50代娘→「自己都合だから失業給付は1ヶ月は出ない」と思いきや…ハローワークで知った“意外な事実”に歓喜

  • 2026.10.27
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。元ハローワーク職員の柴田です。

親の介護のために仕事を辞める、いわゆる介護離職は、50代にとって身近な出来事です。そのとき「自分で決めて辞めたのだから、失業給付は不利になる」と思い込んでいる方が少なくありません。

今回は、お母さんの介護で会社を辞めた50代のAさんのお話です。

「自己都合だから1か月は出ない」と覚悟していた

Aさん(50代女性)は、同居するお母さんが要介護3と認定され、日中ひとりにしておけない状態になりました。会社に相談し、介護休業や短時間勤務も検討しましたが、お母さんの状態が落ち着く見込みは立たず、今年の春に22年勤めた会社を退職しました。

届いた離職票の離職理由は「自己都合」。Aさんは「自分から辞めたのだから当然」と受け止め、特に疑問も抱きませんでした。「失業給付は1ヶ月の給付制限があるから、しばらくは貯金でしのごう」と覚悟していたそうです。

ところがハローワークの窓口で退職の経緯を話すと、担当者から思いがけない言葉が返ってきました。「介護が理由なら、給付制限がかからない可能性があります。介護の状況がわかる書類を持ってきてください」。

同じ自己都合でも「正当な理由」があれば扱いが変わる

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

相談を受けて、私はAさんと一緒に雇用保険の仕組みを確認しました。

自己都合で退職した場合、失業給付(基本手当)は7日間の待期のあと、原則1か月の給付制限があります(2025年4月から、2か月が1か月に短縮されました)。

ただし、同じ自己都合でも「正当な理由」がある場合は、特定理由離職者として扱われ、給付制限がかかりません。正当な理由には、本人の病気やけが、妊娠・出産のほか、常に看護が必要な親族の病気やけがのために離職せざるを得なかった場合などが含まれます。Aさんのように、要介護の親を介護するための退職は、この「正当な理由」に当たる可能性があるのです。

注意したいのは、離職票に「自己都合」と書かれていても、それで決まりではない点です。離職理由を最終的に判断するのはハローワークで、本人の説明と証拠書類、会社側の主張を確認したうえで決めます。Aさんは、お母さんの介護保険の認定通知書とケアプランの写しを提出し、特定理由離職者と認められました。

1か月の差は介護中の家計には大きい

私が計算してみると、Aさんの基本手当は1日あたり約5,400円。給付制限がなくなったことで、1か月分、金額にして約16万円を早く受け取れることになりました。

介護で出費がかさむ時期に、収入が1か月早く入るかどうかは、家計の安心感がまったく違います。受給できる期間は原則として離職の翌日から1年ですから、その中で受け取り切るためにも、早く始まるに越したことはありません。

なお、介護のためにしばらく働けない場合は、受給期間を最長3年延長できる制度もあります。すぐに求職活動ができない方は、給付を急がず、この延長を使う選択肢もあります。

特定理由離職者と認められると国民健康保険料も軽くなる

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

もうひとつ、見落とされがちなのが国民健康保険料の軽減です。会社を辞めて国民健康保険に加入すると、保険料は前年の所得をもとに計算されるため、在職中の給与がそのまま反映されて「収入がないのに保険料が高い」という状況になりがちです。

そこで、離職時に65歳未満で、ハローワークで特定受給資格者または特定理由離職者と認められた方は、前年の給与所得を30%とみなして保険料を計算してもらえます。軽減される期間は、離職日の翌日が属する月から、その翌年度の末日まで。Aさんのように春に退職した場合、最長で2年近く軽減が続くことになります。

対象かどうかは、ハローワークで交付される「雇用保険受給資格者証(受給資格通知)」の離職理由コードで判断されます。特定理由離職者は「23」「33」「34」が該当し、介護による正当な理由のある自己都合退職は「33」または「34」です。

この軽減は自動では適用されません。受給資格者証と本人確認書類を持って、お住まいの市区町村の国民健康保険の窓口で届け出る必要があります。ハローワークで手続きを終えたら、その足で役所にも寄っておくと安心です。

「会社がそう書いたから」で諦めない

介護離職の相談で私がよく感じるのは、「自己都合=不利」と最初から諦めてしまう方の多さです。離職票の記載は会社の見方であって、最終的な判断とは別のものです。

ハローワークでは、退職に至った事情をありのまま伝えてください。介護なら、要介護認定の通知書やケアプラン、主治医の意見書など、状況がわかる書類を持参すると判断がスムーズです。

なお、これから介護離職を考えている方は、辞める前に勤務先の制度も確かめてください。育児・介護休業法により、会社には、対象家族1人につき通算93日までの介護休業に加え、短時間勤務やフレックスタイムなどの措置を用意することが義務づけられています。介護休業中は、雇用保険から賃金のおおむね67%にあたる介護休業給付金も受け取れます。

まとめ

Aさんは給付制限なしで基本手当を受け取りながら、お母さんのデイサービスの時間帯に働けるパートを探しています。「自分で辞めたのだから仕方ないと、何も聞かずに帰るところでした」と嬉しそうに話していました。

雇用保険制度は複雑なところもあり、普段の生活でなじみが薄いのは否めません。それでも、手続きをする際には、自分のケースに当てはめて「利用できる制度はないか」を調べてみてください。


執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,500記事以上の執筆実績あり。

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