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母の死後、実家を相続した50代姉妹→「平等に分けよう」と共有名義にするが…数年後、2人を待ち受けていた“想定外のトラブル”

  • 2026.10.9
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPで相続と実家の相談を数多く受けてきた柴田です。

きょうだいで実家を相続するとき、「半分ずつ」は公平で角が立たない分け方に見えます。ところが、その選択が数年後の火種になることがあります。

今回は、実家を妹と共有名義で相続した50代のAさんのお話です。

「半分ずつなら平等」のはずだった

Aさん(50代女性)は数年前、お母さんが亡くなったときに、妹さんと2人で実家を相続しました。持ち分は2分の1ずつの共有名義です。「きょうだいで均等に分ければ、揉めることはないだろう」。2人ともそう考えていました。

実家は空き家になりましたが、Aさんは思い出のある家を残しておきたいと考えています。固定資産税や庭の手入れにかかる費用は、2人で折半してきました。

ところが昨年、遠方に住む妹さんから電話がありました。「維持費の負担が重いから、家を売ってお金で分けたい」「現金化したほうがお互いにいいんじゃない?」という用件です。Aさんは反対しましたが、妹さんの考えも変わりません。話し合いは平行線のまま、1年がたちました。

共有名義の家は1人では売れない

 

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出典元:PIXTA(※画像はイメージです)

「不動産を共有にすると、あとで面倒になる」。そんな話を聞いたことはありませんか。私も相談の場で何度も口にしてきましたが、実際に相続する場面になると、「きょうだい2人なら大丈夫」「うちは仲がいいから」と、どうしても共有を選びがちです。

Aさん姉妹も、まさにそうでした。仲が悪かったわけではありません。ただ、暮らす場所も家計の事情も違う2人が、同じ家について同じ考えを持ち続けるのは、思うより難しいのです。相談に来られたAさんに、私は共有名義の決まりをお伝えしました。

共有名義の不動産全体を売るには、共有者全員の同意が必要です。妹さんがどれだけ売りたくても、Aさんが同意しなければ家は売れません。反対に、Aさんが家を貸したり建て替えたりしたくても、妹さんの協力がなければ進められません。どちらの希望も、相手の同意なしには実現しないのです。

自分の持ち分だけを売ることは、1人でもできます。ただ、家の半分の権利だけを買う人は限られるため、価格は低くなりがちです。知らない第三者が新しい共有者になることで、話し合いがさらに難しくなるおそれもあります。

話し合いがまとまらない場合、裁判所に共有の解消を求める手続きもあります。最終的に競売になれば、通常の売却より安い価格になることが一般的です。経済的にも損をしてしまうだけでなく、きょうだいの関係にも傷が残るかもしれません。

時間がたつほど共有者は増えていく

共有名義のもう一つの問題は、時間がたつほど複雑になることです。

共有者の1人が亡くなると、その持ち分は配偶者や子に引き継がれます。Aさん姉妹の代では2人の話し合いで済んでも、次の世代ではいとこ同士、さらにその配偶者まで関わることになりかねません。

2024年4月からは、相続登記が義務になりました。不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記をしなければならず、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。共有のまま相続が重なると、この手続きも代を追うごとに大変になります。

維持費も積み重なります。Aさんから聞いた金額をもとに計算すると、固定資産税や火災保険料、庭木の手入れなどで、実家にかかる費用は年間約25万円でした。10年で250万円、1人あたり125万円です。誰も住まない家に、これだけのお金が出ていくことになります。

分け方は共有のほかにもある

実家を相続するときの分け方は、共有だけではありません。

1つは、きょうだいの1人が家を取得し、ほかのきょうだいにお金を払う「代償分割」です。家を残したい人と、お金で受け取りたい人がいる場合に向いています。もう1つは、家を売ってお金で分ける「換価分割」です。誰も住む予定がないなら、もっとも公平に分けられます。

共有名義は、どちらにするかの結論を先送りにする選択だといえます。相続の時点で話し合っておけば、あとから対立することは避けられたかもしれません。

Aさん姉妹のように、すでに共有にしている場合は、どちらかが相手の持ち分を買い取る方法があります。ただし、買い取る側に相応の金銭が必要となるうえ、税金がかかる場合があるため、税理士に相談するのが無難です。

まとめ

Aさんは、妹さんの持ち分を買い取る方向で、不動産会社の査定と税理士への相談を進めています。「平等に分けたつもりが、決めることを先に延ばしていただけでした」と話していました。

実家を共有名義にしている方は、きょうだいが元気で話し合えるうちに、この家を将来どうするかを話題にしてみてください。


執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,500記事以上の執筆実績あり。

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