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60代女性「え、何これ…」通帳を記帳したら“貸越利息”の記載が→銀行窓口に問い合せると…担当者から告げられた“想定外の事実”

  • 2026.10.18
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPで年金世帯の家計相談を数多く受けてきた柴田です。

普通預金と定期預金が1冊の通帳にまとまった総合口座は、多くの方が使っている身近な口座です。ただ、その便利な仕組みを正しく知っている方は多くありません。

今回は、通帳に見慣れない文字を見つけた60代のAさんのお話です。

通帳に並んだ「貸越」の文字

Aさん(60代女性)ご夫婦は、年金で暮らしています。ご主人の退職金のうち1,000万円を定期預金にして、普通預金と同じ総合口座で管理してきました。公共料金やクレジットカードの支払いは、普通預金からの引き落としです。

「定期預金が1,000万円あるのだから、引き落としで困ることはない」。Aさんはそう考えていました。

ある日、通帳を記帳したAさんは、見慣れない記載に気づきます。残高の数字の前にマイナスの記号が付いた行があり、別の行には「貸越利息」と書かれていました。「え、何これ…。借金をした覚えなんてありません」。Aさんは通帳を持って銀行の窓口に問い合せました。

残高が足りないと定期預金を担保に自動で借りる

銀行から説明されたのは、総合口座の「自動貸越」という仕組みでした。

総合口座では、引き落としの際に普通預金の残高が足りなくなると、同じ口座の定期預金を担保にして不足した分を銀行が自動で貸してくれます。借りられる金額は「定期預金の9割まで、上限200万円」のように決められていて、内容は銀行によって異なります。

ただし、借りたお金には利息がかかります。利率は、担保になっている定期預金の金利に0.5%を上乗せする形が一般的です。利息は決まった時期にまとめて普通預金から引き落とされ、通帳に記載されます。Aさんが見た「貸越利息」は、これでした。

Aさんの場合、車検と固定資産税の支払いが重なった月に、カードの引き落としに対して普通預金の残高が12万円程度足りなくなっていました。次の年金が振り込まれるまでの約20日間、12万円を借りていたことになります。

利息は約100円。問題は「赤字に気づけない」こと

私が計算してみると、Aさんが払った利息はわずかでした。定期預金の金利が年1.0%なら、貸越の利率は年1.5%。12万円を20日間借りた利息は、約100円です。

「それくらいなら気にしなくていいですね」とAさんは言いましたが、私は2つの点をお伝えしました。

1つめは、家計の赤字に気づけなくなることです。貸越の限度額の範囲内なら、残高が足りなくても引き落としは止まらないので、支出が収入を上回っている月があっても、何も起きません。Aさんも、通帳を記帳するまで残高がマイナスになっていたことを知りませんでした。

2つめは、年金が入っても、まず貸越の返済に充てられることです。普通預金に入金があると、借りた分は自動的に返済されます。その分、次の2か月で使えるお金は減ります。すると、また残高が足りなくなり、貸越が繰り返されやすくなります。

借りた分が積み重なったまま定期預金を解約すれば、その分は差し引かれます。定期預金を崩していないつもりでも、実際には少しずつ取り崩しているのと同じです。

大きな支出のある月を先に把握する

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

今回の利息は約100円で、損失としては大したものではありません。ただ、私はAさんに「家計管理が甘いと言わざるを得ません」と率直にお伝えしました。

車検も固定資産税も、毎年決まった時期にやってくる支出です。それが重なる月に残高が足りなくなるのは、支出の見通しを立てていなかったからにほかなりません。「定期預金があるから大丈夫」という安心感が、普通預金の残高を見る習慣を奪っていたのです。

自動貸越は、悪い仕組みではありません。引き落としができずに支払いが遅れる事態を防いでくれます。大切なのは、知らないうちに使っている状態をなくすことです。

Aさんには、1年間の支出を月ごとに書き出してもらいました。固定資産税、自動車税、車検、保険料の年払いなど、大きな支出がある月を先に把握しておくためです。これらの「忘れたころにやってくるまとまった支出」は、先に押さえておくことが大切です。

また、年金の支給は2か月に1回です。支出の多い月の前には、普通預金の残高に余裕を持たせておく必要があります。

年金生活に入ると、現役のときのように残業や転職で急に収入を増やすことは難しくなります。収入が増やせない以上、家計を守る手段は支出管理の重要性が増します。「ひと月にいくら使っているか」「年に一度の大きな支出はいつか」。この2つを押さえておくだけで、知らないうちの貸越はなくなります。

まとめ

Aさんは、定期預金の満期に合わせて一部を普通預金に移し、生活費の2か月分ほどを常に置いておくことにしました。あわせて、1年分の大きな支出を月ごとに書き出し、その月の前には残高を確かめることにしました。「定期があるから安心、という気持ちが、普通預金の管理を甘くしていました」と話していました。

総合口座を長く使っている方は、通帳の残高欄を一度さかのぼって見てください。マイナスの記載が見つかったら、家計の見直しを始める合図です。


執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,500記事以上の執筆実績あり。


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