1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 父の葬儀で“120万円”支払った50代長男→「葬儀費用を遺産から差し引ける」はずが…後日、税理士から告げられた“想定外の事実”

父の葬儀で“120万円”支払った50代長男→「葬儀費用を遺産から差し引ける」はずが…後日、税理士から告げられた“想定外の事実”

  • 2026.10.22
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

「父の葬儀に120万円もかかったのだから、相続税の計算では全額差し引けるはず」。そう考えていた50代の長男でしたが、税理士から告げられたのは「20万円は対象外」という予想外の説明でした。

葬儀のために必要だったお金なのに、なぜ差し引けないのでしょうか。

実は、火葬代やお布施と、香典返しでは税金の計算上の扱いが異なります。父が亡くなって約2か月後、長男が初めて知った意外なルールとは、どのようなものだったのでしょうか。

父の葬儀に120万円。「全部引ける」と思っていた長男

54歳のMさんは、82歳の父を亡くし、長男として葬儀を取り仕切ることになりました。母はすでに他界しており、妹と相談しながら通夜や告別式を準備します。

突然のことで気持ちの整理がつかないまま、親族への連絡や葬儀社との打ち合わせに追われました。葬儀社への支払いは88万円。内訳は会場や祭壇などが60万円、火葬と遺体の搬送が16万円、通夜・告別式の運営費が12万円でした。

さらに、葬儀での読経に対するお布施として12万円を支払います。葬儀後には、香典をいただいた40人へのお礼として、1人5,000円の返礼品を手配しました。こちらも計20万円かかり、Mさんが負担した金額は合計120万円になりました。

約1か月後、父の財産を整理すると、預貯金がおよそ3,200万円、自宅の相続税上の評価額が約2,000万円で、合計約5,200万円でした。相続人はMさんと妹の2人で、それぞれ財産を引き継ぐ予定です。

相続税について調べると、葬儀費用を遺産から差し引けると知りました。Mさんは「葬儀に使ったお金だから、120万円すべて差し引ける」と考え、領収書をまとめていたのです。

ところが、父が亡くなって約2か月後、税理士に書類を見せると予想外の説明を受けます。

「香典返しの20万円は、相続税の計算では差し引けません」

Mさんは驚きました。葬儀社への支払いも香典返しも、父が亡くなったことで必要になったお金です。参列者へのお礼として用意した20万円が対象外になるとは、考えてもいませんでした。

120万円支払っても、差し引けるのは100万円?

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

相続税の計算では、一定の葬式費用を遺産から差し引けます。ただし、香典返しは対象外です。香典は通常、相続税の対象にならず、そのお返しに使ったお金も葬式費用として認められません。

Mさんの場合、葬儀社への88万円とお布施12万円がすべて対象になるなら、差し引けるのは100万円です。

Mさんは遺産5,200万円から120万円を引き、5,080万円になると考えていました。しかし、差し引けるのが100万円なら5,100万円になります。

ただし、20万円を差し引けないからといって、相続税が20万円増えるわけではありません。

FPが解説 火葬費やお布施は対象になる?

国税庁によると、通夜や告別式に通常必要な費用、火葬・埋葬・納骨の費用、遺体の運搬費などは、相続税の計算で差し引けます。

葬儀の際にお寺へ支払う読経料なども対象です。お布施に領収書がなくても、その理由だけで認められなくなるわけではありません。

一方、香典返しのほか、墓石や墓地の購入費、初七日や四十九日などの法事費用は対象外です。

初七日を葬儀と同じ日に行った場合も、法事にかかった費用は原則として対象外です。葬儀費用とまとめて請求されている場合は、内訳を確認する必要があります。

なお、参列者への「会葬御礼品」は、葬儀費用として認められる場合があります。ただし、実質的に香典返しに当たる場合は対象外となるため、支出の内容を確認する必要があります。

領収書の合計額だけで判断しない

大切なのは、葬儀で支払った金額だけでなく、何に使ったのかまで確認することです。葬儀社への支払いに法事や香典返しの費用が含まれていれば、その部分を分けて考える必要があります。

Mさんの場合、相続人は2人なので、相続税の基礎控除額は4,200万円です。父が残した借入金や税金の特例などを考慮しない単純な計算では、遺産5,200万円から葬式費用100万円と基礎控除額4,200万円を引いた900万円が、相続税の計算対象になります。

900万円がそのまま税金になるわけではなく、自宅の土地に「小規模宅地等の特例」が使える場合などは、計算結果も変わります。

相続税の申告と納税は、原則として亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。葬儀後は忙しくなりがちですが、請求書は項目ごとに保管し、お布施も日付や金額、支払先を記録しておくと安心です。

葬儀に必要だったお金でも、すべてが相続税の計算で認められるとは限りません。支出の内容を整理しておくことが、申告時の思い違いを防ぐことにつながります。

の記事をもっとみる

注目コンテンツ