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「速やかに眼科を受診して」医師が警告。実は『網膜剥離』の症状かも…“年齢のせい”と放置しがちな「危険なサイン」とは?

  • 2026.11.3
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「目の前に糸くずやゴミが飛んでいるけれど、痛くないし年齢のせいだろう」

そう思い込んで様子を見ていませんか?視界に黒い影が漂う「飛蚊症(ひぶんしょう)」は多くが加齢に伴う生理現象ですが、実は背後に網膜に穴が開く「網膜裂孔(もうまくれっこう)」や、失明につながる「網膜剥離」という重篤な病態が潜んでいるケースがあります。

特に痛みを伴わずに進行するため、発見が遅れて視界の欠けや不可逆な視力障害に直面し、「ただの目の疲れと侮らず、すぐ眼科へ行けばよかった……」と後悔する患者さんは少なくありません。早期に発見できれば、大がかりな手術を避け、外来での短時間のレーザー治療で視力を守れる可能性が高まります。

今回は眼科医・モイモイさんの解説のもと、飛蚊症の裏に隠された網膜剥離のメカニズムと、見逃してはならない緊急サインをお伝えします。

なぜ飛蚊症は起こる?加齢との関係を解説

---多くの人が経験する飛蚊症ですが、なぜ起こるのでしょうか?また、どのような仕組みでゴミや糸くずが見えてしまうのでしょうか?

モイモイさん:

「多くの人が経験する飛蚊症は、40〜50代ごろから起こりやすくなる、加齢に伴う目の中の変化が原因です。

目の中には、もともとゼリー状の『硝子体(しょうしたい)』という透明な物質が入っていますが、年齢とともにこのゼリーが少しずつ水のようにさらさらとした状態(液状化)へ変化して縮んでいきます。縮んだ硝子体が網膜から離れる現象を『後部硝子体剥離(こうぶしょうしたいはくり)』と呼びますが、このとき生じた濁りや硝子体のシワが影となって網膜に映ることで、『ゴミが浮いて見える』『糸くずが漂って見える』と感じるようになります。これが、いわゆる加齢による生理的な飛蚊症です。

多くの場合は心配のいらない変化で、見え方が気になることはあっても、基本的には特別な治療が必要ないことがほとんどです。ただし、急に浮遊物が増えた場合は、網膜の裂け目だけでなく、血管が切れて眼底に出血が広がる『硝子体出血』や眼内の炎症(ぶどう膜炎)などが起きている可能性もあるため注意が必要です。」

網膜剥離につながる「危険なサイン」と早期治療の重要性

---飛蚊症の中には注意が必要なものもあると聞きます。どのような症状が出たら網膜剥離を疑い、すぐに病院へ行くべきなのでしょうか?

モイモイさん:

「飛蚊症を『年のせいだろう』と思って放置してしまうと、実際には網膜に穴が開く『網膜裂孔』や、それが進む『網膜剥離』が起きていて、受診が遅れることがあります。

特に注意したいのは、以下のような急激な変化です。

  • 飛蚊症が急に増えた(黒い点、糸くず、煙、虫の群れ、あるいは墨汁を流したような影が一気に増えた)
  • 視界の中で光がピカッと走るように見える(光視症)
  • 視界の端からカーテンや黒い影がかかる
  • 見えにくさや視界の欠けを感じる

光が走る現象は、縮んだ硝子体が網膜から剥がれ落ちる際、癒着の強い部分で網膜を強く引っ張ることで刺激が加わり、脳が『光が見えた』と錯覚するために起こります。強く引っ張られた網膜が破れると『網膜裂孔』になり、その穴から液化した硝子体が入り込むことで網膜全体がめくれ上がる『網膜剥離』へと進行します。また、網膜剥離は痛みを伴わずに進行するため、『痛くないから大丈夫』とは言えません。

何より知っていただきたいのは、網膜が完全に剥がれてしまう前の『網膜裂孔』の段階で発見できれば、外来で10〜15分程度のレーザー治療(網膜光凝固術)を行い、穴の周囲を焼き固めて剥離を防ぐことができるという点です。入院も不要で、視力低下のリスクを最小限に抑えられます。

一方で、本格的に網膜剥離が進んでしまうと入院や大がかりな手術(硝子体手術やバックリング手術)が避けられず、視力の完全な回復が難しくなる恐れがあります。だからこそ、『急に増えたか』『光や影を伴うか』という変化に気づいた場合は、様子を見ずに速やかに(診療時間内であれば当日中、夜間・休日の場合は翌朝一番など)眼科を受診してください。」

飛蚊症がある人が見逃してはいけないセルフチェックと受診時の注意点

---危険なサインを見逃さないために、日常生活でどのような点に気をつければよいでしょうか?また、近視が強い人は特に注意が必要ですか?

モイモイさん:

「危険なサインを見逃さないためには、『飛蚊症があるかどうか』ではなく、『いつもと違う変化が起きていないか』を意識することが大切です。

日常でできる簡易チェックとして、以下のポイントを確認してみましょう。

  1. 白い壁や明るい空を見て、黒い点や糸くずが急に増えていないか確認する
  2. 片目ずつ手で隠して、視界の端に影や欠けがないか確認する(両目で見ていると片目の異常に気づきにくいため、片目ずつ見るのが大切です)
  3. 暗い場所や目を動かした時に、ピカッと光る感じがないか確認する

また、強い近視がある方は、そうでない方より網膜剥離のリスクが高く、20代〜30代などの若い年代でも注意が必要です。一般に近視の度数が『ー6.0D(ディオプトリー)』を超える方は強度近視と呼ばれます。強度近視の方は眼球が前後に長く、網膜が薄く引っ張られやすいため、若い段階でも網膜が萎縮して自然に裂け目ができやすい特徴があります。

飛蚊症の精密検査では、瞳孔を広げる目薬を使って眼底の隅々まで確認する『散瞳(さんどう)眼底検査』を行います。目薬をさしてから4〜5時間はピントが合いにくく、外の光が非常にまぶしく感じられる状態が続きます。そのため、受診の際はご自身での車・バイク・自転車の運転は絶対に避け、電車やバスなどの公共交通機関を利用するか、ご家族の送迎で来院してください。」

片目チェックで早期受診につなげよう

飛蚊症の多くは硝子体の液状化に伴う加齢性の生理的変化ですが、痛みがなく進行する網膜裂孔や網膜剥離の初期兆候であるリスクを常に見逃してはなりません。

浮遊物が急激に増えた場合や、視界に光がピカピカ走る光視症、端から黒いカーテンがかかったような視野の欠けは、網膜剥離が疑われる緊急のサインです。完全に剥がれる前の網膜裂孔の段階であれば、日帰りのレーザー治療で進行を食い止めることができます。眼球が長く網膜が薄くなりやすい強度近視(−6.0D超)の方は、20〜30代の若年層であっても発症リスクが高まります。

「前から見えていたから」と放置せず、片目ずつ見え方を点検し、急激な異変を察知した際は運転を避けて公共交通機関等ですぐに眼科を受診し、大切な視力を守りましょう。


※※本記事は一般的な医療情報の提供を目的とした啓発コラムであり、個別の診断や治療行為を代行するものではありません。また、セルフチェックは確定診断を行うものではありません。視界の異常や不快感がある場合は、自己判断せず、必ず眼科医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。

監修者:モイモイ
眼科医・医療ライター。大学病院での診療経験をもとに、眼科領域を中心とした一般向け医療記事の執筆・監修を行う。専門性の高い内容を読者に伝わる言葉へ置き換えることを得意とし、疲れ目やドライアイなど身近な症状から、早期発見が重要な眼疾患まで幅広く発信。医学的な正確性と読者目線のわかりやすさを両立したコンテンツ制作を心がけている。

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