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『肺がんになりやすい人』には“共通点”があった。非喫煙者も当てはまったら要注意な「4つの要因」とは?【医師が解説】

  • 2026.10.28
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「肺がんは喫煙者がなる病気」

そんなイメージを持っている方は多いのではないでしょうか。しかし実際には、タバコを一度も吸ったことがない方でも肺がんを発症するケースは少なくありません。

「自分は吸わないから大丈夫」と思っていても、日々の生活習慣や住環境の中に、知らず知らずのうちに肺への負担を蓄積させる要因が潜んでいる可能性があります。

非喫煙者が注意すべき「4つの特徴」や毎日の台所に潜むリスクから、今日から実践できる予防法まで、麻酔科専門医である松岡医師に詳しく伺いました。

タバコを吸わなくても要注意。非喫煙者の肺がんリスクを高める「4つの特徴」

---タバコを吸わない人でも肺がんになることがあると聞きます。非喫煙者の肺がんには、どのような要因が関わっているのでしょうか?

松岡雄治さん:

「非喫煙者の肺がん発症には、受動喫煙のほかに大気汚染や有害物質、慢性疾患、遺伝的要因が複合的に関与しています。タバコを吸わない場合でも、肺胞の細胞が長年ストレスを受けて遺伝子が傷つくと、非喫煙者や女性に多く見られる非小細胞肺がんの一種である『腺がん』が発生しやすくなります。

【非喫煙者の肺がんリスクを高める4つの要因】

  • 大気・生活環境:PM2.5やアスベスト(石綿)などの微粒子の吸入。
  • 持病の慢性炎症:受動喫煙や粉じん等による慢性閉塞性肺疾患(COPD)や間質性肺炎、古い結核の痕などによる組織の損傷。
  • 遺伝的体質:肺がんの家族歴や生まれつきの遺伝子変化。
  • 受動喫煙の蓄積:他人の吸うタバコ煙に長期間さらされる環境。

日本肺癌学会や国立がん研究センターの知見でも、有害物質や肺の慢性疾患、家族歴がリスクを高めることが報告されています。しかし、住んでいる地域の空気や遺伝的な体質を自力だけで完全にコントロールすることは不可能です。排気ガスの多い場所を避け、室内環境を整えるなど、できる範囲の対策から始めましょう。慢性的な咳や呼吸器の持病がある方は、放置せずに呼吸器専門医の診察を受けてください。」

毎日の「台所」に潜む危険。換気不足が招く肺へのダメージとは

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

---4つの要因の中でも、特に見落とされがちな「生活環境」について、具体的な場面を教えていただけますか?

松岡雄治さん:

「高温の調理で生じる油煙や換気不足による室内空気汚染は、肺の細胞に有害物質を直接送り込み、肺がんリスクを高めるおそれがあります。食用油が高温加熱されると、有害物質を含む煙が発生します。密閉された空間で換気せずに調理すると、これらの微粒子が肺の深部に入り込んでしまうのです。

【室内環境悪化から細胞へのダメージに至るメカニズム】
油煙・微粒子の発生→換気不足による室内への滞留→肺胞深部への到達→慢性炎症の発生→遺伝子変異の誘発

国立がん研究センター等の資料でも、室内外の微小粒子吸入が大気汚染要因としてがんリスクに関連することが示されています。

日常の調理や家事をすべて取りやめる必要はありません。すぐにできる対応としては、調理を始める直前から換気扇を『強』で回したり、給気口を開けたり反対側の窓を数センチ開けたりして『空気の通り道』をしっかり作ることが大切です。また、フライパンの温度を上げすぎない料理法を選ぶなど、生活の中で排気と換気を徹底することが有効な防護策になります。」

「吸わないから大丈夫」はNG。非喫煙者が今すぐすべき2つの行動

---非喫煙者が肺がんを防ぐため、あるいは早期発見のために、今日から取り組むべきことは何でしょうか?

松岡雄治さん:

「非喫煙者が行うべき最初の一歩は、『受動喫煙の回避』と『年1回の肺がん検診受診』です。『タバコを吸わないから大丈夫』という油断が、発見の遅れにつながるケースは少なくありません。早期の肺がんは自覚症状に乏しいため、定期的な画像検査で肺の状態を確認する必要があります。

【リスクを最小化する予防・発見のステップ】

  • 受動喫煙の遮断:他人の吸うタバコ煙を避ける環境を作る。
  • 年1回の検診:40歳以上は自治体等の胸部X線検査を毎年受ける。
  • 精度の高い検査の検討:非喫煙者に多い「肺腺がん」は初期の影が薄く、通常のレントゲンでは見落とされることもあります。血縁者に肺がんの方がいる場合や心配な方は、微小な病変を発見しやすい「低線量胸部CT検査」(任意健診)の受診も選択肢です。
  • 精査の実施:検診で要精密検査の判定が出た場合は、呼吸器内科でCT検査を受ける。

国立がん研究センターが提唱する『科学的根拠に基づくがん予防法』でも、たばこを避けることに加え、食生活や身体活動などの生活習慣を整えることが基本とされています。なお、症状がある場合は検診を待ってはいけません。特に「痰に血が混じる」症状は、期間を問わず1度でも確認されたら直ちに受診が必要です。また、「2週間以上続く咳や痰」「声のかすれ」「胸の痛みや息切れ」がある場合も、風邪薬で様子を見ずに呼吸器内科を受診してください。」

「吸わない安心」から「知って備える安心」へ

今回の取材を通じてわかったことは、肺がんが決して喫煙者だけの問題ではないという点です。大気環境や持病、遺伝的体質、そして毎日の調理という身近な習慣までもが、肺への負担として積み重なっていく可能性があります。

とはいえ、すべてを完璧にコントロールする必要はありません。換気扇を「強」で回す、窓を数センチ開けて空気の通り道を作る、フライパンの温度を上げすぎないようにするなど、今日からできる小さな工夫から始めれば十分です。

そして何より大切なのは、「タバコを吸わないから大丈夫」という間違った認識を手放すこと。年1回の検診を習慣にし、気になる症状があれば早めに呼吸器内科を受診するという積み重ねが、将来の安心につながります。


監修者:松岡雄治
麻酔科専門医。総合病院、大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じ、幅広い周術期管理に従事。現在は急性期病院で麻酔科医として勤務する。日々、美容領域を含む各診療科の手術に携わっている。医師としての知識と経験を活かして医療系ライターとしても活動し、医療・健康・美容分野の記事執筆、医学論文の解説、商品監修、AI技術開発関連プロジェクトへの参加などの実績を有する。睡眠コンサルタント、睡眠検定1級の資格も保有。

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