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「お宅、平日は車庫がスカスカだね」挨拶だけの隣人が、妻の帰りが遅かった日まで知っていた

  • 2026.9.29

洗車中に庭から出てきた隣人

3年前、僕は妻と一戸建てに引っ越してきた。

家には車が2台あり、平日は妻が軽自動車で通勤に使っている。

隣の家には70代くらいのおじいさんが住んでいた。顔を合わせれば会釈をするくらいで、立ち話をするような間柄ではなかった。

1年ほど前の土曜日、朝8時ごろに車庫の前で洗車をしていると、隣の庭の戸が開いた。

おじいさんはサンダルのまま生け垣の横まで来ると、泡だらけの僕の車をしばらく眺めていた。

「おはようございます。朝から精が出るね」

「おはようございます。週末くらいしか洗えないもので」

そう返すと、おじいさんは車庫の空いている側を指さした。表情は真顔のままだった。

「平日は奥さんの車がないから、車庫がスカスカで物騒だよ」

「あ、はい……お気遣いありがとうございます」

とっさに出たのは、それだけだった。

おじいさんは小さくうなずくと、そのまま庭へ戻っていった。

僕はホースを握ったまま、少し引っかかった。妻が平日に車で出勤していること自体は、隣に住んでいれば気づいても不思議ではない。ただ、わざわざ「車庫がスカスカ」と言われると、妙に意識してしまった。

ひと月後、もう一度言われたこと

その晩、夕飯の支度をしていた妻に朝の出来事を話した。

「今日さ、隣のおじいさんに『平日は奥さんの車がないから物騒だよ』って言われた」

「なにそれ、怖いね」

「まあ、隣だから目に入るだけかもしれないけど」

妻は少し黙ってから言った。

「ちょっと気味は悪いけど、波風は立てたくないな。今までどおり、挨拶だけにしておこうよ」

僕もそれでいいと思った。

ところが、ひと月ほどたった朝。ゴミを出しに行ったところで、門の前にいたおじいさんと顔を合わせた。

軽く挨拶をすると、おじいさんはまた車庫のほうを見た。

「お宅、平日は車庫がスカスカだね。水曜は奥さん、帰りが遅かったでしょう」

「ええ、まあ…」

今度は、すぐに言葉が続かなかった。

水曜に妻が残業していたことは、僕もその日の夕飯で本人から聞いた話だった。

平日に車がないだけなら、たまたま目に入ったとも思える。けれど、帰りが遅かったことまで言われると、さすがに落ち着かなかった。

おじいさんが何かをしてくるわけではない。会えば挨拶を返してくれるし、それ以上のこともない。どうして妻の帰りが遅かったことまで知っていたのかは、今も分からない。

僕たちは今も同じ家に住んでいる。

週末に洗車をするたび、スポンジを動かしながら、つい隣の庭へ目をやってしまう。

今朝も8時ごろ、車に水をかけ始めたところで、隣の庭の戸が静かに開いた。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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