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「おかあさん台好きき」娘の初メッセージを直そうとした夫に、私が「直さないで」と言った理由

  • 2026.9.27
ハウコレ

「間違ったまま覚えちゃうよ」と夫は言いました。それでも私が返したかったのは、正しい漢字ではありませんでした。夫がその理由を知るのは、帰宅してからのことです。

休憩室で開いた家族のグループチャットに、娘の名前で初めてのメッセージが届いていました。

「おかあさん台好きき」

娘は小学1年生です。私の実家で預かってもらう日だけ、実家に置いてある娘用のキッズスマホからグループチャットを使ってよいと約束していました。それまで届いたのはスタンプだけです。画面に並んでいたのは、「おかあさん台好きき」の一言。「大」が「台」に変わり、「き」が1つ多い。文字入力にまだ慣れていない指が、変換候補を選び損ねたのだとすぐにわかりました。私はその文字を、休憩時間が終わるまで何度も読み返していました。

「直さないで」

続けて、夫との個別のチャットが動きました。

「変換おかしいね。『大好き』だよって送り返そうか」

夫も職場からグループチャットを見ていたようです。娘のためを思っての提案だと、文面からわかりました。それでも私は迷わず打ちました。

「直さないで」

少し間があって、返事が届きます。

「間違ったまま覚えちゃうよ」

「いいの。今はそのままにして」

既読はすぐにつきましたが、それ以上の返事はありませんでした。その間、私は娘の文字と夫の文面を交互に見ていました。納得はしていないのだろうと思いながら、グループチャットに戻り、娘に向けて打ちました。

「おかあさんも、だいすき」

漢字は使いませんでした。少しして、娘からうさぎのスタンプが1つ届きました。

机の上に残っていた下書き

帰宅すると、娘はもう眠っていました。台所の机の上に、実家から持ち帰った1枚の紙が置いてあります。「おかあさんだいすき」。鉛筆で書いては消した跡が何重にも残った、あの言葉の下書きでした。出かける前、娘は「まちがえたら、おかあさんおこる?」と聞いていました。そのときは何のことか分かりませんでしたが、休憩室で届いたメッセージを見て、あの言葉のことだったのだと思いました。下書きを見つけて、娘が何度も書き直していたことまで分かりました。夫が帰ってきたのは、その紙を見つめていたときでした。私は紙を渡して言いました。

「初めての手紙の返事が赤ペンだったら、嫌でしょう」

夫は紙を持ったまま、消しゴムの跡を指でなぞっていました。「そうだな」と、それだけが返ってきました。

そして...

私はその紙を、冷蔵庫の下のほうに貼りました。娘の目の高さです。今は、正しく書けることより、伝えたい相手に届いたのだということを先に知ってほしかったのです。

(30代女性・販売職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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