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人生で一度は訪れたい、世界の美しい庭園BEST10

  • 2026.9.25
PytyCzech / Getty Images

この世界は、かつては楽園だった――そう思わせてくれるのが、世界各地にある素晴らしい庭園。社会やテクノロジーがどれほど発展しても、私たちの心に落ち着きを取り戻してくれるのが美しい庭園であることは、いつまでも変わらない。

旅を完璧なものにするためには、学びの場、安らぎの場であり、“逃避先”でもある庭園を訪れることが欠かせない。そして、そうした庭園はほとんどどの都市にもある。それらのなかでも、きっと旅のハイライトになるに違いない10カ所をご紹介。

From ELLE DECOR

ITALY Landmarks and People by Vision / Alamy Stock Photo

エステ家別荘(イタリア・ティヴォリ)

枢機卿イッポリート・デステが16世紀に建設したエステ家別荘は、ローマから列車で1時間ほどの場所にある。枢機卿はこの邸宅の建築にあたり、同じティヴォリにある古代ローマの皇帝ハドリアヌスの夏の離宮の遺跡から、石や彫像を運び込んで利用した。

邸宅とテラス式庭園の設計を手がけたのは、建築家で古典学者でもあったピッロ・リゴーリオ。丘陵地に造られ、運河を通って水が最下段の人工の池に流れ込む庭園を散策すれば、イタリア・ルネサンス期の土木・建築工学の技術について学ぶことができる。また、何百もの噴水と吐水口の一部にはグロテスク様式の装飾が施され、生け垣や苔むした洞窟、ローマの松(イタリアカサマツ)の合間からは、遠くにティヴォリの街を望むことができる。

Getty Images

マジョレル庭園(モロッコ・マラケシュ)

フランスの画家ジャック・マジョレルが1920年代に設計した面積およそ2エーカー(約8100平方メートル)の庭園は、彼が思い描いた“オリエント”のイメージを具現化した空間。庭園と敷地内のヴィラの大半は、この地で暮らすベルベル人系の遊牧民、トゥアレグ族がまとうインディゴ染めの衣服に着想を得たコバルトブルーで彩られており、その鮮やかな色は「マジョレル・ブルー」と呼ばれている。

この庭園は、1980年代にイヴ・サンローランとピエール・ベルジェが買い取って以降、ファッションやアートに携わる世界中の著名人たちが集う場所になっていた。現在は一般公開されており、誰もがサボテンや地域に自生する植物、ベルベル人の工芸品コレクションなどが展示された色鮮やかなヴィラを見て回ることができる。

Pernilla Hoglin / Getty Images

ハーガ公園(スウェーデン・ストックホルム)

現在は王立公園になっているスウェーデン・ストックホルム北部のハーガ公園。その一角にあるパステルカラーが基調の新古典主義様式の「パビリオン(あずまや)」は、あらゆるものに調和と平静、美を求めた18世紀の国王グスタフ3世が建てたもの。

イギリス式庭園もあるこの公園には、グスタフ3世の息子のグスタフ4世アドルフが1802年から1805年にかけて建設した宮殿もある。また、オスマン帝国の建築様式に影響を受けた「銅のテント」は、ルイ・ジャン・デプレが衛兵の宿舎として設計したもの。そのほか1989年には、数百種類の蝶が飛び交う「蝶の家」も造られている。

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ラス・ポサス(メキシコ・シリトラ)

シュルレアリスムの絵画や彫刻ではなく“庭園”があるのは、メキシコのサン・ルイス・ポトシ州にあるシウダー・バージェスから車で2時間ほど離れた丘陵地帯の街、シリトラ。イギリスの詩人エドワード・ジェームズが造ったラス・ポサスは、シエラ・ゴルダ山脈の東側にあるうっそうとした亜熱帯雨林の中にあり、どこにもたどり着かない階段や、支えるものがない柱などの「フォリー(実用的な目的がない奇抜な建築物)」が点在している。

ジェームズがこうしたフォリーの設計・建設を始めたのは、1949年。1984年までの長い年月をかけて、彼のガイドを務めたことで親しくなった友人のプルタルコ・ガステールム・エスクエルや、優れた技術を持つメキシコの芸術家、職人たちの協力を得て、数々の彫刻作品が制作された。

PytyCzech / Getty Images

ボーボリ庭園(イタリア・フィレンツェ)

芸術を学ぶ学生で、ウフィツィ美術館の名を知っている人は少なくないはず。その素晴らしい美術館にまったく引けをとらないボーボリ庭園は、隣接するピッティ宮殿とともに、ルネサンス文化の隆盛に大きく貢献したメディチ家によって建設された。

1549年に、この時期を代表するヨーロッパ最大規模の銀行の創業家、メディチ家のコジモ1世と妻のエレオノーラ・ディ・トレドのために、ニッコロ・ペリコリ(通称トリーボロ)が庭園の設計、植栽を開始。その後、建築家でエンジニアでもあったベルナルド・ブオンタレンティが1583年から1593年にかけて、「ブオンタレンティの洞窟(グロッタ)」などを完成させた。18世紀に建設された歴史的にも重要な温室「レモンハウス」も、ぜひ訪れてみたい場所。

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シャン・ド・バタイユ城(フランス・ウール)

これほどの規模で「ゲザムタンクンストヴェルク(多様な芸術形式を一作品のなかに融合させた総合美術)」を手がけることができた建築家やインテリアデザイナー、庭園デザイナーは、フランスのジャック・ガルシア以外にほとんどいないだろう。ノルマンディー地方にあるバロック様式のシャン・ド・バタイユ城を1990年代に購入したガルシアは、広大な庭園を含め、城全体の大掛かりな修復を行った。

その結果、歴代の国王たちが何世紀もの時間をかけて造り、楽しんできた整形式のフランス式庭園は、空想の世界を思わせる場所に生まれ変わった。もともとの庭園の設計を活かしたようなセイヨウツゲの生垣もあり、その間を歩けば、人工の洞窟(岩屋)や池、パビリオン、緻密な設計に基づいて建設された寺院などを巡ることができる。

Hans Bach

サンスーシ公園(ドイツ・ポツダム)

18世紀、プロイセン王国をヨーロッパの強国へと導いたフリードリヒ大王(フリードリヒ2世)は、このサンスーシ宮殿を「女人禁制」とし、滞在した夏の間は、フランスの哲学者ヴォルテールなどを招いていた。

この宮殿の大きな魅力のひとつとなっているのが、広大な敷地に造られた庭園。テラス式のその庭園と生け垣や花壇は、フリードリヒ大王が自ら設計したという。草地や芝生が広がる公園や、フリードリヒ・ヴィルヘルム4世の時代に建てられたオランジュリー(柑橘類を冬の寒さから守るための温室)などもある。

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グルベンキアン庭園(ポルトガル・リスボン)

イギリスの建築家レスリー・マーティンが設計したモダニズム様式のカルースト・グルベンキアン美術館の庭園は、“知る人ぞ知る”リスボンの隠れた名所のひとつ。広大な庭園は、慌ただしい街の中心部の環境とは一線を画し、ゆっくり散策を楽しめる場所になっている。

美術品の収集家でもあったイギリス系アルメニア人の実業家、カルースト・グルベンキアンの膨大な数にのぼるコレクションの大半が収められたこの美術館の庭園には、200種類以上の花や植物が植えられ、鳥や花粉を運ぶ昆虫たちが飛び交っている。

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ル・アモー・ドゥ・ラ・レーヌ(フランス・ヴェルサイユ)

自分が楽しむためだけに、空想上の“村”を実在のものにできる人は、ほとんどいない――18世紀のフランスの王妃、マリー・アントワネットのおかげで、私たちは今もたとえわずか数時間でも、そうした村で過ごす時間を体験することができる。

ヴェルサイユ宮殿を取り囲む広大な敷地の一角に、悲劇の王妃が週末を過ごした離宮、プチ・トリアノンがある。王妃が建築家リシャール・ミックに命じ、そのすぐ隣に造らせたのが、「王妃の村里」とも呼ばれる疑似的な「アモー(村/小集落)」。湖や人工の洞窟、風車、そしてコテージもある。1783年から1786年に完成した建物の壁には当初から、ひび割れなどが装飾として描かれていた。

alan LAW / Getty Images

兼六園(日本・金沢)

自然界に対する深い敬意と尊重の念とともに、何世紀にもわたって人と自然との共生に必要な技を磨き上げてきた日本ならではの“静けさ”を持つ庭園。冬に最も美しい姿を見せると言われるこの庭園には、曲がりくねった小道が通り、日本最古とされる印象的な噴水や、池、あずまや、茶室などが造られている。

すべての季節に完璧な美しさを見せる庭園として知られる面積およそ10万平方メートルの兼六園は、江戸時代に金沢を治めた加賀藩の藩主、前田家が1676年からおよそ200年をかけて整備したもの。19世紀に入って一般公開されるようになった後も、細心の注意を払った保守・管理が続けられている。

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