1. トップ
  2. エピソード
  3. 肉汁のついた容器を回収箱へ入れた女性。「洗って乾かしたトレイだけなんです」と店員が注意した結果

肉汁のついた容器を回収箱へ入れた女性。「洗って乾かしたトレイだけなんです」と店員が注意した結果

  • 2026.9.25
肉汁のついた容器を回収箱へ入れた女性。「洗って乾かしたトレイだけなんです」と店員が注意した結果

袋詰め台の隣で開けられた肉のパック

三十代の私は、仕事帰りに近所のスーパーへ寄るのが日課になっている。

その日は買い物かごのほかに、家で洗って乾かしておいた食品トレイを小さな袋に入れて持っていた。

袋詰め台の端には食品トレイの回収箱があり、買い物のついでにそこへ返すのがいつもの流れだった。

レジを終えて荷物を袋に詰めていると、隣に年配の女性が立った。女性は買ったばかりの生肉のパックからラップをはがすと、備え付けのロールからビニール袋を何枚か取り、肉を一袋ずつ小分けにしていった。

そこまでは何となく見ていただけだった。けれど、肉を移し終えた女性が、赤い肉汁の残ったトレイを持ち上げた瞬間、私は思わず手を止めた。

女性はそのトレイを、そのまま食品トレイの回収箱へ入れたのだ。

箱の上には「洗って乾かしたトレイをお入れください」という張り紙がある。

「えっ…」

小さく声が漏れた。箱の中には、誰かが洗って持ってきたトレイが何枚も重なっている。

その上に肉汁がついたのが見えて、私は手にしていた自分のトレイの袋を思わず握り直した。

とはいえ、知らない人にいきなり注意する勇気もなく、どうしようかと迷っていた。

そのとき、近くの棚で品出しをしていた店員さんが作業の手を止め、こちらへ歩いてきた。

「お客さま、すみません」

店員さんは女性を強く責めることなく、回収箱の上にある張り紙を手で示した。

「こちら、洗って乾かしたトレイの回収箱なんです」

同じ言葉を返した女性に、店員さんが示した場所

女性は少し眉を上げ、回収箱を見た。

「でも、捨てる場所があるんだから」

店員さんは声の調子を変えず、今度は袋詰め台の横にあるごみ箱を示した。

「汚れたトレイでしたら、こちらのごみ箱へお願いします」

店員さんは張り紙と横のごみ箱を順番に示した。

「こちらの回収箱は、洗って乾かしたものだけなんです。汚れているものは、こちらへお願いします」

女性は何か言いかけたものの、そのまま口を閉じた。

そして回収箱に手を伸ばし、先ほど入れた肉汁のついたトレイを取り出すと、横のごみ箱へ入れ直した。

「ありがとうございます」

店員さんはそう言って頭を下げ、回収箱の中を確認した。

女性は小分けにした肉の袋をまとめると、そのまま出口へ向かっていった。

私は少し間を置いてから、持ってきた袋を開けた。家で洗って乾かしておいたトレイを取り出し、張り紙の下にある回収箱へ重ねて入れる。

すると店員さんが、こちらを見て声をかけてくれた。

「いつもきれいにしていただいて、ありがとうございます」

私は軽く頭を下げ、その場を離れた。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ