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空いてるかだけ聞いて旅行に誘えなかった私と、渡せずにいた1つのお土産

  • 2026.9.22
ハウコレ

「書いてなかった」。無理と返ってきた時点で、私は旅行の話を引っ込めていました。責めてくれたほうが、まだ楽だったと思います。

旅行先で買った4つのしおりのうち、1つだけが机の上に残ったまま後期が始まりました。

空いてるか、だけ

同じ学科の4人で、入学からずっと一緒にいました。夏の旅行を言い出したのは私です。ただ、その子には最初に個別で聞くことにしました。前期の終わりごろ、実家の店が忙しいと何度か話していたからです。

「8月の後半って、空いてる?」

「ごめん、8月は実家の手伝いで、ずっと無理そう」

「そっか、了解!」

旅行という言葉は、まだ打っていませんでした。断られたあとに用件を書けば、無理と言った側に気を遣わせるだけだと思い、そこで画面を閉じました。本当は、旅行と書いたうえで断られるのが嫌だっただけです。

残りの3人で日程を決め、海へ行きました。写真を撮るたび、送る先が1つ足りない気がして、私はお土産だけ4つ買いました。

遅れて入った教室

後期初日、私は講義に少し遅れました。教室に入ると、いつもの席にその子はいて、ノートに何か書いていました。写真の話が出たかどうか、私には分かりません。声をかけるより先に講義が始まり、そのまま別々に帰りました。

バイトから戻った部屋で、通知が1件ありました。

「旅行、行ってたんだね」

既読を付けたまま、私は打っては消しました。入力中の表示が向こうに出ているだろうと思うと、余計に文が短くなりました。

「ごめん。8月は無理って言ってたから、誘えなかった」

「私も聞かなかった」

「旅行だって、書いてなかったよ」

その通りでした。言い訳を探して前期の画面を開いても、旅行という言葉はどこにもありません。

「書いてなかった。空いてるかだけ聞いて、無理って返ってきたときに、旅行の話はもうやめてた」

これが精一杯で、断られるのが怖かったとは書けませんでした。返信が来るまで、その子が今も同じ画面を見ているのか、閉じてしまったのか、分かりませんでした。

「何の予定か、私も聞かなかった」

私だけの落ち度にしないでくれたのだと思いました。それに甘えないために、次は用件から書きました。

「お土産、渡したいものがある。明日、講義の前に時間ある?」

「ある」

そして...

翌日、講義室の前の廊下でその子に会いました。袋を渡して「余ったんじゃなくて、最初から4つ買った」とだけ言い、私は先に教室へ入りました。それ以上説明すると、また言い訳になりそうだったからです。

駅のホームで、4人のグループチャットに「秋、どこか行かない?」と届きました。行き先の候補まで書いてあります。私は、日程より先に「行く」と返しました。空いているかを聞くところから始めるのは、もうやめました。

(20代女性・大学生)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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