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100年ぶりの新種猫「ティルカヨ」―― 発見の経緯、種の解説

  • 2026.9.19
100年ぶりの新種猫「ティルカヨ」発見 ―― 家猫より小さい豹柄
100年ぶりの新種猫「ティルカヨ」発見 ―― 家猫より小さい豹柄 / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

ネコの図鑑に新しいページが増える。そんな出来事を、いま生きている人のほとんどは一度も見ていません。

家猫より小さな体に、ヒョウのような斑点。

南米ボリビアの、ユンガスと呼ばれる雲霧林(うんむりん、一年中霧に包まれる山の森)にすむこのネコを、地元の人々は昔から「ティルカヨ」と呼んできました。

ところが科学者にとっては、つい最近まで正式には「見つかっていない」動物でした。

ベルギーのアントワープ大学などの研究チームは、このネコが知られていなかった別の種だと、遺伝子の解析で確かめました。

実際のネコの画像はこちら(画像1画像2)。

野生のネコ科の新種は100年以上ぶりで、根拠は38匹のネコのゲノム(生き物が持つ遺伝情報のすべて)を比べた解析です。

新しい種の名前はレオパルドゥス・ティルカヨ(Leopardus tilcayo)で、南米にすむ小型のネコ「タイガーキャット」の仲間に入ります。

哺乳類の新種、それもネコの新種が見つかること自体が、めったにありません。

知られている種の変わり種ではなく、丸ごと別の種となれば、なおさらです。

きっかけは、研究者が探しに出た調査ではなく、保護施設に持ち込まれた1匹のネコでした。

では、研究チームはそのネコを、どうやって「新種」と見抜いたのでしょうか。

この話題の詳細は2026年9月17日に『Scientific American』にて公開されました。

目次

  • 「保護施設に持ち込まれたネコ」から始まった新種の発見
  • 昔から知られていた「ティルカヨ」が、なぜ新種なのか

「保護施設に持ち込まれたネコ」から始まった新種の発見

「保護施設に持ち込まれたネコ」から始まった新種の発見
「保護施設に持ち込まれたネコ」から始まった新種の発見 / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

発見は、偶然から始まりました。

研究を率いた一人、パオラ・ノガレス=アスカルンス氏は、動物の保護施設でボランティアをしていました。

そこへある男性が、ネコを1匹連れてきた。

ところがそのネコは、知られているどのタイガーキャットの種とも、どこか合わなかったのです。

そこで研究チームは遺伝子の検査を重ね、このネコを新しい種だと結論づけました。

解析したのは、レオパルドゥス(Leopardus)属を中心にしたネコたちのゲノム。

研究をともに率いたアントワープ大学のヨナス・レスクロアート氏は、これを「これまでで最も完全な遺伝子の研究」だと説明しています。

その結果、南米のタイガーキャットは5つの種に整理され、ティルカヨはその1つに数えられました。

ティルカヨは、最も近い仲間のタイガーキャットから、およそ140万年前に分かれたと推定されています。

では、地元で昔から知られていたネコが「新種」になるとは、どういうことなのでしょうか。

昔から知られていた「ティルカヨ」が、なぜ新種なのか

昔から知られていた「ティルカヨ」が、なぜ新種なのか
昔から知られていた「ティルカヨ」が、なぜ新種なのか / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

「新種の発見」と聞くと、誰も見たことのない動物が現れたように聞こえます。

けれどティルカヨは、森のそばで暮らす人々にとっては、昔からそこにいる名前のあるネコ。

新しかったのは動物そのものではなく、それが独立した種だということです。

研究チームはこの発見を、タイガーキャットの仲間全体の保護を強めるきっかけにすべきだと述べています(僅か300頭のフクロアリクイ)。

ノガレス=アスカルンス氏は声明で、「この発見は同時に、多くの種のすみかであるユンガスの森を守らなければならないことも思い出させてくれます」と話しています。

この研究で言えるのは、見た目の似たタイガーキャットの中に、ゲノムで線を引ける別の種が隠れていたということです。

森の中にティルカヨが何匹いるのかは、まだ分かっていません。

科学の地図にはまだ空白があり、その空白を先に埋めていたのは、森のそばで暮らす人たちの呼び名でした。

うちの家猫がヒョウのつもりで歩いていても、ゲノムはたぶん正直です。

参考文献

See the first new species of cat discovered in more than a century—it’s adorable (Scientific American)
https://www.scientificamerican.com/article/see-the-first-new-species-of-cat-discovered-in-more-than-a-century-its-adorable/

ライター

天道銀河: 科学、歴史、心理、宇宙、生き物、テクノロジーなど、気になるものにはジャンルを問わず首を突っ込む雑食系ライターです。ひとつの分野を深く極めるというより、さまざまな知識を広く集め、意外なつながりを見つけるのが好きです。専門家ほど深くはなくても、好奇心の広さなら負けません。「こんな世界もあるのか」と思えるような、面白くてわかりやすい話題を届けていきます。

編集者

ナゾロジー 編集部

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