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NHKドラマ“初回放送”から絶賛「レベル高かった」「再放送も見ちゃう」第1話で見えた過去の“人気ドラマ”に通じる描写

  • 2026.10.20
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NHKドラマ10『会社員』第1話 10月13日放送より(C)NHK

吉田羊演じる50歳の幹部候補・宮木英理子が、部下のパワハラ相談を隠蔽したことで、じわじわと追い詰められていくオフィス・サスペンスNHKドアま10『会社員』。10月13日(火)に放送された初回から不穏な空気に満ちていて、SNS上でも「レベル高かった」「再放送も見ちゃう」と絶賛の声が続いている。いわゆるシゴデキな完璧上司・英理子の危うさをキーワードに一話を振り返りたい。

※以下本文には放送内容が含まれます。

「会社の駒」を自称する英理子

大手企業の幹部候補である英理子は、女性初の取締役昇進を目の前にしていた。そんなある日、部下の寺田一輝(加藤清史郎)から、先輩社員・山岸光(小久保寿人)のパワハラ被害について相談を受ける。
しかし、英理子はそう簡単に山岸を切れない。なぜなら彼は、現在進行中の重要プロジェクトシステムの根幹を作り上げた存在だから。英理子は寺田の“うつ病”と書かれた診断書をシュレッダーにかけ、秘密裏に訴えを握りつぶそうとする。

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NHKドラマ10『会社員』第1話 10月13日放送より(C)NHK

しかし、ここからが本作のおもしろい、かつ不穏な音が響き始めるポイントだ。英理子が安堵したのもつかの間、処分したはずの診断書が復元された状態で、シンプルな脅迫文とともにデスクの上に置かれていたのだ。
この判断の根っこにあるのが、英理子が上司に向けて伝えた「会社の駒になる覚悟はできています」という言葉だ。会社に忠誠を誓い、出世のためなら手段を選ばない。それが英理子という人物である。

英理子の人物像には賛否両論ある。キャリアウーマンでスマートな働き方に対する憧れも感じる一方で、打つ手がすべて悪手に転がっているようにしか見えないという辛辣な意見も。決して英理子は聖人君子ではない。どちらの見方も成立するよう描かれていることこそ、この物語の巧みさだろう。

人物の“癖”が綻びを呼ぶ脚本

英理子は一見クレバーなエリートだ。しかし、その行動をよく見てみると危うさが目立つ。
診断書の処分を告発された場面では、慌てふためき、呼吸も荒くなって、あまつさえデスクにコーヒーをこぼす始末。寺田の個人情報を見て住所まで押しかけたり、さらには派遣社員である斉藤るり(南沙良)の幻影に怯えたりする姿まで、克明に描かれる。

加えて覚えておきたいのは、英理子自身も過去にパワハラ被害に遭っていたことが仄めかされている点だ。彼女の冷静沈着な姿は、元来の強さというよりも、自分で自分を守るための鎧なのかもしれない。
表の顔と、綻び。英理子が内包する落差を、細かな所作や表情の変化で見せる吉田羊の演技は、賛否にかかわらず高い評価につながっている。融通が効かず冷たい上司として描かれながらも、完璧主義ゆえの焦りと葛藤まで緻密に演じ分けていて、観る者から目を離させない。

こうした人物描写の精度は、脚本・演出陣が共通するNHKの話題作『3000万』にも通じる。登場人物の性質や行動の癖を画面上に丁寧に描き出し、それが物語上の致命的なミスになる構造が共通しているのだ。
『3000万』では、佐々木祐子(安達祐実)が駐車の白線からはみ出しているのを注意され、見ていない隙にこっそり逃げようとする場面があった。悪いことをしてもバレなきゃ大丈夫、隠し通せばなかったことと同じだと考える、彼女の性格を表す行動である。

『会社員』の英理子が、部下の訴えを押さえ込み診断書を秘密裏に処分する姿も、これと同じ構造に見える。小さな隠蔽の一手から事態が泥沼化していく過程が見事だ。

寺田が飲み込んだ言葉の意味は?

もう一つ気になるのが、寺田の存在だ。英理子に、山岸との関係性について何かを伝えようとして、言い淀んでやめたように見える場面がある。

寺田と山岸が、恋人関係にあった可能性はどれくらいあるだろう。いわゆる“痴情のもつれ”から山岸が寺田につらく当たるようになったのだとすれば、パワハラの見え方は大きく変わる。そう読むと、訴えを握りつぶした英理子の判断も、いっそう重い意味を持つことにならないか。もちろん現時点では推測にすぎないが、今後の展開で明かされるのか注目したい。

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NHKドラマ10『会社員』第1話 10月13日放送より(C)NHK

初回から世界観に引き込まれ、ホラーのような不気味さもあると評判の本作。とくに同じ“会社員”として日々仕事をする立場から見れば、かつてパワハラが当たり前だった時代と、コンプライアンスに縛られる現代のギャップに思いを馳せたくもなるだろう。

10月20日放送予定の第2話では、リリースパーティーを控える英理子に、派遣社員の斉藤るりがパワハラの証拠をつかむためパソコンとスマホを持ってくるよう要求する。英理子はコンプライアンス室に勤める夫・東海林正則(田中直樹)を巻き込んで事態の収拾を図るものの……。
自身の正当性を担保しようとすればするほど、英理子が泥沼に足を取られる様子が浮かんで見えるようだ。正義と正義のぶつかり合い、その綻びが表に出るそのとき、彼女はどこで何をしているのだろう。


NHKドラマ10『会社員』毎週火曜 午後10時放送
NHK ONE(新NHKプラス)見逃し配信中・過去回はNHKオンデマンドで配信

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