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『耐震等級3だから地震保険は安心』とは限らない。頑丈な家ほど保険金が出にくい“意外なカラクリ”【お金のプロが解説】

  • 2026.10.28
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「耐震等級3の家を建てたから、地震対策は万全。地震保険もこれで安心!」そう思っていませんか?しかし、いざ大きな地震が起きたとき、「耐震等級3の家なのに、地震保険があまり支払われない」という事態が起こることがあります。

国内最高の耐震性能を持つ頑丈な家であるにもかかわらず、なぜ保険金が十分に支払われないケースがあるのでしょうか。そこには、「家の丈夫さ」と「保険金が出る条件」の間に潜む、意外なギャップがありました。

今回は、ファイナンシャルプランナーの石坂貴史さんに、耐震等級3の住宅における地震保険の仕組みと、本当に必要な備えについて詳しく解説していただきました。

耐震性能が高いのになぜ?地震保険が支払われない理由

---耐震等級3の最も頑丈な家を建てたのに、地震保険があまり支払われないことがあると聞きました。なぜこのようなことが起こるのでしょうか?

石坂貴史さん:

「耐震等級3の家なのに、地震保険があまり支払われないことがあるのは、『家の丈夫さ』と『保険金が出る条件』が別だからです。

耐震等級3は、住宅の耐震性能を示す中で最も高い等級です。ただし、『地震が起きてもまったく壊れない』という意味ではなく、大きな揺れでも倒壊や大きな損傷をできるだけ防ぐための性能です。

一方、地震保険は、実際にかかった修理費をそのまま補償する仕組みではありません。建物の主要な部分にどの程度の損害が出たかによって、『全損』『大半損』『小半損』『一部損』の4段階で判定されます。

そのため、壁や内装、設備などに被害が出て修理費がかかったとしても、柱や基礎など建物を支える部分の損傷が小さければ、地震保険の支払基準に届かない場合があります。

ここが耐震等級3の住宅で特に分かりにくいところです。耐震性能が高いことで建物の大きな損傷を防げたとしても、その結果として地震保険上は損害が小さいと判断される可能性があります。

ただし、『耐震等級3だから保険会社が厳しく判定する』という意味ではありません。損害認定の基準自体は基本的に同じです。丈夫な家だからこそ主要部分の被害が小さく済み、結果として保険金の支払基準に届かないケースがある、という理解が近いのです。

特にお伝えしたいのは、耐震性能と地震保険は役割が違うという点です。

耐震等級3は『家をできるだけ壊さないための備え』、地震保険は『一定以上の被害が出たときに生活を立て直すための備え』です。

そのため、『耐震等級3だから安心』と考えるのではなく、『建物は大きく壊れなくても、修理費などを自己負担する可能性はある』と考えておくことが大切です。保険でカバーされない費用まで含めて準備しておくことが、より現実的な地震対策だと考えます。」

「家は壊れなくてもお金が足りない」を防ぐための盲点

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

---「耐震等級3だから安心」と考えている人が、特に見落としがちなポイントはありますか?

石坂貴史さん:

「『耐震等級3だから安心』と考えるときに、特に見落としやすいのが家具や家電などの家財です。

耐震等級3は、あくまで建物そのものの耐震性能を示すものです。テレビや冷蔵庫、洗濯機、家具、パソコンなどまで地震から守ってくれるわけではありません。大きな地震では、建物自体は住める状態でも、家具が倒れたり、家電が壊れたり、食器が割れたりすることがあります。

ここで注意したいのが、地震保険では『建物』と『家財』が別になっている点です。

建物の地震保険に加入していても、家財まで自動的に補償されるわけではありません。家具や家電などの被害にも備えたい場合は、家財についても地震保険を付けておく必要があります。

また、通常の火災保険では、地震が原因となった損害は原則として対象外です。『火災保険に入っているから家財も大丈夫』と考えるのも注意が必要です。

特に気になってくるのは、新築住宅を購入したばかりの家庭です。新築に合わせてテレビや冷蔵庫、洗濯機、ベッド、家具などをまとめて購入している場合、これらを一度に買い直すと大きな負担になります。

被災後には家財の買い直しだけでなく、仮住まいの費用や引っ越し費用、生活用品の購入など、一時的に多くのお金が必要になることがあります。住宅ローンが残っていれば、こうした支出が増えても返済は基本的に続きます。

つまり、地震で困るのは『家が壊れること』だけではありません。『家は残ったものの、生活を元に戻すためのお金が足りない』という状況も考えられます。

耐震等級3を『保険を減らしてもよい理由』と考えるのではなく、まず建物の被害を減らすための備えと捉えてみてください。

そのうえで、建物の地震保険、家財の地震保険、さらに保険でまかなえない費用に備える預貯金まで確認しておくことが大切です。地震対策では、家を守るだけでなく、その後の生活をどう立て直すかまで考えておきたいところです。」

保険の死角を減らすために!今すぐできるチェックポイント

---耐震等級3の家で、万が一のときに困らないために、今からどのような点を確認・準備しておけばよいでしょうか?

石坂貴史さん:

「耐震等級3の家で保険の死角をできるだけ減らすために、まず確認していただきたいのが、『今の地震保険で実際にいくら受け取れるのか』です。

地震保険は、火災保険と同じ金額まで補償されるわけではありません。原則として、火災保険金額の30%~50%の範囲で設定します。たとえば、建物の火災保険が3,000万円でも、地震保険は900万円から1,500万円です。

そこで、まず保険証券を確認して、『火災保険はいくら』『地震保険はいくら』と整理しましょう。

そのうえで、住宅ローンがいくら残っているのか、修理中に仮住まいが必要になったらいくらかかるのか、預貯金からどの程度負担できるのかを確認します。ここまで整理すると、今の補償で足りそうかが見えやすくなります。

次にチェックしたいのが家財です。

建物に地震保険を付けていても、家具や家電は別です。特に新築時に家具や家電をまとめて購入した家庭では、家財にも地震保険が付いているか確認しておきたいところです。

また、耐震等級3の住宅は、所定の条件を満たせば地震保険料が50%割引になります。現在の契約で、この割引がきちんと適用されているかも確認するとよいと思います。

ここで大切なのは、『保険料が安くなるから補償も少なくしてよい』とは限らないことです。割引を活用しながら、必要な補償を確保するという考え方もできます。

保険会社によっては、地震による被害を上乗せして補償する特約が用意されている場合があります。内容は商品ごとに違うため、『特約があるか』だけではなく、『どのような被害で、いくらまで支払われるのか』まで確認することも重要です。

そして特に大切なポイントとして、保険とは別に預貯金を準備しておくことです。

耐震等級3の家では、大きな損傷を防げた結果、地震保険の支払基準に届かないケースも考えられます。それでも修理費や仮住まい、家具・家電の買い直しなどの支出がなくなるわけではありません。

『耐震性能』『地震保険』『預貯金』の3つに分けて備えを確認しておくと、保険だけではカバーしきれない部分にも対応しやすくなると思います。」

耐震性能・地震保険・預貯金の3つで万全な地震対策を

最高等級である「耐震等級3」の家は、大きな地震から大切な家族や建物を守るために非常に頼もしい存在です。しかし、家が壊れなかったとしても、修理費や仮住まい、家財の買い直しといった生活再建のための費用は自己負担になる可能性があります。

「耐震等級3だから大丈夫」と安心しきるのではなく、「家自体の被害を減らす備え」としての耐震性能を理解したうえで、不足する部分を「地震保険」や「預貯金」でカバーしていくという総合的な視点が大切です。

まずは一度、お手元の保険証券を確認し、建物と家財の補償内容や、万が一のときに使える預貯金がどのくらいあるか、3つの備えのバランスを整理してみることから始めてみてはいかがでしょうか。


監修者:石坂貴史
ファイナンシャルプランナー/IFA、マネーシップス代表。資産形成や投資、NISA、住宅、保険、家計管理など、お金に関する幅広い分野で情報発信を行っている。FPとして家計や将来の資金計画を踏まえた考え方を伝えるほか、金融商品や資産運用に関する相談にも携わる。金融制度や投資の仕組みを、初めて学ぶ人にも理解しやすい言葉で解説することを心がけている。金融・不動産分野を中心に、Webメディアの記事執筆や教材コンテンツの監修などを行う。

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