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妻「なんか車がおかしくない?」“ディーラーの忠告”を無視した50代男性…旅行中、高速道路で直面した“誤算”

  • 2026.10.5
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

台風や大雨のあと、車に異常がないか確認していますか?

今回は、台風のあとに水の溜まった道路を走行したものの、「普通に走れるから大丈夫」と考えて点検を後回しにしてしまったUさん(50代男性)のケースを紹介します。

台風が通過して数日後、妻との旅行中に突然、車の加速がおかしくなったというUさん。調べてみると、台風後の走行によって吸気系に水分や泥の影響が残っていました。

「普通にエンジンがかかるから大丈夫」と判断

Uさんは、以前から私と付き合いのある男性です。台風が通過したあと、Uさんは車で出かける用事があり、その際に道路に溜まった水の中を走行していました。

その後、ディーラーに車を持ち込んだ際、

「水が溜まった道路を走ったのであれば、一度、下回りやエンジンルームなどを確認したほうがいいですよ」

と言われたそうです。

ディーラーがこの事実を把握していたのは、Uさん自身が「台風のときに水の溜まった道路を走った」と点検時に伝えていたためでした。ただ、Uさんの車は、その時点では普通にエンジンがかかり、走行にも大きな問題はありません。

「深いところには入っていないし、今も普通に走れるから大丈夫だろう」

そう考え、点検を後回しにしてしまったといいます。こうした判断は、決して珍しいものではありません。異常が出ていなければ、修理や点検にお金をかけることを「まだ必要ない」と感じてしまうものです。

また、車の知識が十分でなかったり、「念のための交換や点検なのでは」と営業トークを疑ってしまったり、予算の都合から緊急性の低そうなメンテナンスを先延ばしにしてしまうこともあります。今回も、すぐに走行不能になるような症状が出ていたわけではありません。そのため、Uさんは普段どおり車を使い続けていました。

妻との旅行中に「なんか車がおかしい」

台風から数日が経過し、天候も回復しました。Uさんは妻との旅行を予定しており、「もう大丈夫だろう」と、そのまま車で出発しました。

ところが、高速道路を走っている途中から、加速したときの感覚に違和感が出始めます。

「アクセルを踏んでも、いつもみたいに車が進まないんです」

さらに坂道や合流地点など、エンジンに負荷がかかる場面では症状がはっきりしてきました。

「ガクガクする感じもあって、妻からも『なんか車がおかしくない?』と言われました」

その後、安全な場所に停車し、ロードサービスを利用して私の工場まで車を運んでもらうことになりました。幸いにも旅行先から工場までがロードサービスの無料搬送距離の範囲内だったため、高額な追加費用はかからずに済みました。

ここで気になるのが、「冠水路を走った直後ではなく、なぜ数日後に不調が出たのか」という点です。吸気系に大量の水が入り、エンジン内部まで一気に吸い込めば、ウォーターハンマーによって重大なエンジン損傷につながる可能性があります。

一方で、必ずしも水が一気にシリンダー内部へ入るとは限りません。少量の水分や泥がエアフィルターなどに付着した場合、その時点ではエンジンが始動できても、フィルターが湿ったり泥が乾いて堆積したりすることで、時間が経ってから吸気抵抗が増えることがあります。

また、吸気系の内部に水分や異物が残っていれば、エンジンが必要とする空気を十分に取り込めなくなり、加速時など負荷が大きくなったときに吹け上がりが悪くなるケースもあります。つまり、「走行直後に問題がなかった=車に影響がなかった」とは限らないのです。

点検すると「水と泥」の影響が残っていた

工場に運ばれてきた車を受け入れ、まずエアフィルターや吸気系統を中心に点検しました。すると、台風後の走行によって入り込んだと考えられる水分や泥の影響が確認されました。普通に走れているように見えても、吸気系の奥には水分や細かな泥が残っていたのです。

そのため、関連する部分を清掃・点検し、状態に応じて部品を交換する必要がありました。今回の修理費は、点検・清掃などを含めて数万円程度となりました。症状や損傷範囲によっては、吸気系部品などの交換が必要となり、数万円から10万円前後になるケースもあります。さらにエンジン内部まで損傷していれば、修理費は大幅に高額になる可能性があります。

今回のケースで重要なのは、「台風後も普通に走れたこと」と「車に何の影響もなかったこと」は別だという点です。大雨や台風のあと、特に水たまりや冠水した道路を走行した場合は、タイヤやブレーキだけでなく、下回り、エンジンルーム、吸気系、エアフィルターなども確認しておきたいところです。

また、室内に水が入った形跡がないか、ライト類やワイパーが正常に作動するかも確認しましょう。走行後にエンジンの異音や振動、加速不良が起きたり、エンジン警告灯が点灯したりした場合は、「そのうち直るだろう」と走り続けるのは避けたほうが安心です。特に冠水路を走ったあとであれば、症状がなくても一度専門家に確認してもらうことで、後から発生するトラブルを防げる可能性があります。

「普通に走れるから大丈夫」ではなく、「水の中を走った」という事実を基準に点検を考えることが、愛車を守るうえで大切なのです。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り、約8年間整備に従事したのち、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。


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