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「ハイビームなんて使わない」ディーラーの忠告を無視した20代女性→彼氏とのドライブで思わずヒヤリとした瞬間

  • 2026.10.1
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

「普段は街中しか走らないから、ハイビームなんて使わない」

そんな理由で、ヘッドライトの切り替え機構にあった小さな不具合を後回しにしていた方がいました。

今回は、筆者が自動車整備関係の仕事をしていた際に車の修理や相談で関わったお客様、Fさん(20代女性)のケースについてお話しします。結果的には大きな事故には至りませんでしたが、普段とは違う道路環境で、車の装備を正常に使えることの重要性を実感する出来事になりました。

「ハイビームは使わないから」と修理を後回しに

Fさんは以前、ディーラーで点検を受けた際、ヘッドライトのハイビームとロービームの切り替え操作に不具合があると指摘されていました。ただし、常に切り替えられないという状態ではなく、操作した際に一度で切り替わらないことがある程度。ロービームでの点灯・走行はできていたため、その場で走行不能になるような状態ではありませんでした。

ディーラーからは、

「夜間に走ることもあるなら、早めに修理しておいたほうがいいですよ。このまま悪化すると車検にも通らなくなりますし」

と説明されていました。しかしFさんは、

「普段は街中しか走らないし、ハイビームを使うこともほとんどないから」

と、修理を後回しにしてしまいました。

こうした判断は、決して珍しいものではありません。修理費が想定より高く感じられたり、「今すぐ困っていないなら後でもいい」と考えたり、専門的な説明を受けても不具合の重要性を判断できなかったりすることがあります。また、ユーザー側からすると「本当に今すぐ必要な修理なのか、それとも営業上の勧めなのか」と迷ってしまうケースもあるでしょう。

Fさんの場合も、こうした複数の理由が重なっていたようです。

郊外の暗い道で歩行者に気づくのが遅れた

ところが秋のある日、状況が変わりました。

Fさんは彼氏とドライブに出かけ、その帰り道に普段あまり走らない郊外の道路へ入ったそうです。市街地を抜けると街灯が少なくなり、周囲は一気に暗くなりました。

「思ったより暗いな」

そう感じながら走っていたところ、道路脇にいた歩行者の発見が遅れます。幸い、十分に距離を取って通過できたものの、助手席の彼氏から、

「今の人、かなり近くまで気づかなかったね」

と言われ、Fさんもヒヤリとしました。

警察庁は、夜間の暗い道で対向車や先行車がいない場合は、前照灯を上向き、つまりハイビームにして歩行者などを早期に発見するよう案内しています。一方、対向車と行き違う場合や先行車がいる場合、交通量の多い市街地などではロービームに切り替える必要があります。つまり「夜間はハイビームを使う」のが基本であり、常にハイビームにしておけばいいという意味でもありません。道路状況に応じて、ハイ・ローを適切に切り替えることが重要なのです。

Fさんは帰宅後、筆者の店を訪ねてきました。

原因はライト球ではなく切り替えスイッチ側だった

「前にディーラーでライトの切り替えがおかしいと言われていたんです。でも、街中ならロービームで走れるから大丈夫かなって」

そこでヘッドライトの点灯状態だけでなく、切り替えスイッチや関連する配線などを確認しました。すると、原因は単純なライト球の不具合ではありませんでした。点検の結果、ハイ・ローを切り替えるスイッチ側に接触不良があり、操作しても切り替えが正常に行われないことがある状態だったのです。

必要な修理を行ったことで、ハイビームとロービームを正常に切り替えられるようになりました。

「ライトが点いているから大丈夫だと思っていました」

修理後、Fさんはそう話していました。

必要な整備を検討することが大切

ヘッドライトは「点灯するかどうか」だけではなく、ハイ・ローを含めて本来の機能を正常に使えることが重要です。特に秋以降は日没が早くなり、夜間に走行する機会も増えます。普段は市街地中心でも、旅行やドライブなどで郊外、山道、街灯の少ない道路を走ることがあるなら、状況は変わります。「ハイビームを使わないから」という理由だけで、切り替え機構の不具合を長期間放置するのは避けたいところです。

また、修理を後回しにしてしまう背景には、費用への不安、知識不足、症状が軽いことによる判断の難しさなど、さまざまな事情があります。だからこそ、ディーラーや整備工場から指摘を受けたときは、「どの程度の不具合なのか」「すぐに修理が必要なのか」「放置した場合にどんな場面で問題になるのか」を具体的に確認するとよいでしょう。

「今は困っていない」だけで判断せず、普段とは違う環境で車を使う可能性まで考えて、必要な整備を検討することが大切です。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り、約8年間整備に従事したのち、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。


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