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高齢者ツアーで「この場所までバスで行きたい」→現地は想像以上の狭い道で…足腰の悪い参加者に対し、元バスガイドがとった方法とは

  • 2026.9.24
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出典:photoAC※画像はイメージです

元バスガイドのくろちびです。

団体ツアーでは、お客様から「ここにも寄りたい」「この場所までバスで行きたい」といったご希望をいただくことがあります。

特に地元の方が中心となった高齢者団体では、皆さんがよくご存じの場所を一軒ずつ巡るような、細かな移動を希望されることもありました。

「さっと乗って、さっと降りれば大丈夫」

出発前はそう思っていても、実際に現地へ行ってみると、バスでは簡単に対応できないことがあります。

今回は、そんな高齢者団体のツアーで、道路環境とお客様の身体的な負担の両方を考えて対応したときの出来事です。

「5分だけ」が難しかった現場

当日は、団体側で訪れたい場所を決めており、バスで一軒一軒移動する予定でした。

「少し停まって、皆さんが降りたらバスを移動させれば大丈夫」

そんなイメージだったのだと思います。

ところが、実際に現地へ行ってみると、想像以上に道幅が狭い場所でした。

バスが停車すると、後ろから来る車が通れなくなってしまいます。

しかも、参加者には足腰の悪い方も多く、「ここから〇〇まで歩いてください」と当日の朝に突然お願いするのも簡単ではありません。

かといって、その場所でバスを5分程度停車させ続けることも難しい状況でした。

「お客様の負担を減らしたい。でも、道路をふさいでしまうわけにもいかない」

どちらか一方だけを優先することができない状況でした。

お客様ではなく、先に私たちが動く

そこで、バスには広い場所で待機してもらい、お客様にはそのまま乗ってお待ちいただくことに。

その間に、主催者の方とガイドの私たちが先に目的地まで歩いて向かい、受け入れの準備を整えました。そして、準備ができたタイミングでドライバーへ連絡し、バスを目的地の前まで移動させてもらう。

この方法なら、バスを狭い道路に長時間停め続ける必要もありませんし、到着後すぐにお客様をスムーズに降ろすことができます。

何より、「ここから歩いてください」と参加者全員に急にお願いするのではなく、私たちが先に動くことで、お客様の身体的な負担をできるだけ減らすことができました。

その場で一番大切なのは、「予定通りバスを目的地まで入れること」ではありません。

参加者の方が無理なく参加できること。

そして、道路をふさいで他の車の通行を妨げないこと。

その両方を考えた結果、先に私たちが動く方法を選びました。

ツアーでは、事前に決めた行程だけを見ていても、現地に行って初めて分かることがあります。

だからこそ、現場では「予定通りに進める」ことよりも、そのときの状況に合わせて安全な方法を考えることが大切だと感じました。

帰り道には、まさかの「鹿」!

そして、この日のツアーには、もう一つ忘れられない出来事がありました。

帰り道、田舎道をバスで走っていると、なんと野生の鹿がバスの前に立ちはだかりました。

ライトを点滅させても、なかなか逃げてくれません。

結局、バスは20分ほどその場で止まることになりました。

予定外の出来事ではありましたが、お客様からは、

「もうこれは無理やな!」

と笑い声が。

「早くどいて!」と焦るというより、みんなで鹿を眺めながら、のんびり待つような空気になりました。

最後は鹿がその場を離れ、私たちも無事に帰路へ。

予定通りに進まなかった一日でしたが、帰るころには「今日は鹿まで見られたな」と、笑って話せる出来事になっていました。

優先することは何か?

この経験から学んだのは、「行きたい場所へ行く」だけでは、ツアーは成り立たないということです。

お客様の年齢や身体の状態、道路の広さ、周囲の交通状況。

その一つひとつを見ながら、その場で一番負担の少ない方法を考える必要があります。

そして、どれだけ準備をしていても、鹿のような予想外の出来事が起こることもあります。

そんなときも、安全を守ることを大前提に、最後には「楽しかったね」と笑って帰っていただくこと。

それも、旅を支える側の大切な役割なのだと思った一日でした。


ライター:くろちび

プロフィール
 バスガイドとして4年間、奈良・京都・大阪を中心に観光案内を担当。修学旅行や団体旅行、高齢者ツアーなど、さまざまなお客様をご案内してきました。現場で実際に経験した出来事や、旅行の裏側、接客を通して学んだことを、実体験をもとにお伝えしています。


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