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薬剤師「お薬忘れずに飲めていますか?」80代患者「毎日飲んでます」→数日後、寝室から見つかったモノに絶句…

  • 2026.9.28
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「残っているお薬はありませんか?」服薬指導で必ず聞くこの質問に、80代の女性は迷いなく「ないです」と答えました。

しかし、会話の中でふと引っかかった一言があり、ご家族に電話で確認をお願いしたところ、自宅の引き出しから3ヶ月分の降圧剤が見つかったのです。

現役薬剤師である筆者が現場で感じ取った“わずかな違和感”の正体と、本当に正しい残薬確認の方法をお伝えします。

「毎朝ちゃんと飲んでます」の後に続いた不自然な間

高血圧で長年通院されている80代のDさん。娘さんと一緒に来局される日もありますが、その日はお一人。定期処方の降圧剤2種類を受け取りに来られました。

いつも通りの服薬指導の中で、「お薬、朝と夜、忘れずに飲めていますか?」と伺うと、「はい、毎日ちゃんと飲んでます」との返答。「残っているお薬はありませんか?」の質問にも、「ないです」と迷いなく答えられました。

ここまでなら、何の変哲もない服薬指導です。ただ、次の一言に少し引っかかりを覚えました。

「最近、朝晩冷えてきましたが、体調はいかがですか?」と尋ねたとき、Dさんは「そうねぇ、たぶん大丈夫だと思うのよ」と答えられたのです。

見つかった3ヶ月分の錠剤シートが意味すること

「たぶん」この言葉が、その日の会話で3回出てきました。

「たぶん飲んでる」「たぶん大丈夫」「たぶん忘れてない」。ご本人に悪気があるわけではありません。ただ、いつものDさんなら「ちゃんと飲んでますよ」「元気にやってますよ」とはっきり答えられる方でした。

服薬の話題になると、視線がわずかに下がる仕草も気になりました。

強い確信があったわけではありません。

ただ、「念のため」の一手として、Dさんに「娘さんに一度お電話してもよろしいですか?最近の体調のご様子を伺いたくて」とお願いしました。Dさんは少し戸惑いながらも「いいわよ」と了承してくださいました。

娘さんに電話でこれまでの経緯を伝え、「もしお時間があるときに、お薬の残りがないか、引き出しや棚を確認していただけませんか」とお願いしました。すると、その日の夕方、娘さんから折り返しの電話が。

「先生、大変です。母の寝室の引き出しから、飲んでいないお薬のシートが山ほど出てきました」

見つかったのは、約3ヶ月分の降圧剤。しかも、シートから錠剤が押し出された痕跡はほとんどありませんでした。

Dさんは「飲んでいる」と信じ込んでいたのか、あるいは飲んだつもりで飲めていなかったのか——ご本人にも、明確な自覚はなかったようです。

「ありませんか?」ではなく「どれくらい残っていますか?」

後日、娘さんが付き添って再来局されたDさんに、あらためて服薬状況を確認しました。すると、朝食後に服用するはずの降圧剤を「食事の後、お茶を淹れているうちに忘れてしまうことがある」と、少しずつ状況を話してくださいました。

ご本人としては「たまに」のつもりでも、実際にはかなりの頻度で飲み忘れが起きていたのです。

処方医に状況を報告して相談した結果、医師の指示により服薬タイミングが見直され、一包化への切り替えが行われました。娘さんが週に一度、お薬カレンダーにセットする運用にも変更。3ヶ月後の受診では、血圧の数値も安定してきたと娘さんから聞きました。

この一件で強く感じたのは、「残薬はありませんか?」という聞き方の限界です。

この質問に「あります」と答える方は、実はそう多くありません。ご本人にとっては「飲んでいるつもり」なので、残っているという認識自体がないのです。

以降、当薬局では聞き方を変えました。「残っていませんか?」ではなく、「今、お家にはあと何日分くらい残っていますか?」と、具体的な数を尋ねるようにしています。数字で答えてもらうことで、ご本人の記憶を辿ってもらいやすくなり、あやふやな返答があった場合はご家族への連絡につなげやすくなりました。

服薬指導の中で感じる「たぶん」「なんとなく」といった曖昧な言葉は、実は大きなサインです。プロとして気づけるかどうかは、質問の技術と、わずかな違和感を見逃さない姿勢にかかっている——そう実感した日でした。


ライター:下田篤男

京都大学薬学部総合薬学科を卒業後、調剤薬局やドラッグストアグループで薬剤師として勤務してきました。総合病院の門前店舗では管理薬剤師を務め、たくさんの患者さんと向き合う日々の中で、「薬を渡す」だけではない、人と人との関わりの大切さを実感しています。現在は薬剤師として現場に立ちながら、医療記事の執筆・編集や薬局経営コンサルタントとしても活動中。読者の皆さまに、薬局がもっと身近で頼れる場所になるような情報をお届けしていきたいと思っています。


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