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台風の夜に70代男性「呼吸が苦しい」救急要請…大雨の中で、元救急隊員が「特に怖かった」と振り返るものとは

  • 2026.10.7
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出典:photoAC ※画像はイメージです

こんにちは。ライターのとしです。

台風の夜は、救急要請を受けて現場へ向かう救急隊にとって、普段以上に気を使う場面が増えます。

今回は、呼吸苦を訴えた70代男性のもとへ向かう途中、緊急走行で特に注意していたことをご紹介します。

呼吸苦を訴えた70代男性

ある夜、70代男性の妻から「夫の呼吸が苦しい」と救急要請が入りました。

その日は台風の影響で、強い雨と風が続いていました。

通報内容は「呼吸が苦しい」というもの。

救急隊としては、一刻も早く男性のもとへ到着したい状況です。

救急車はサイレンと赤色灯を使用し、現場へ向けて緊急走行を開始しました。

しかし、この日の道路状況は普段とは大きく違っていました。

雨で見えにくい道路

激しい雨が降っていると、ワイパーを動かしていても前方が見えにくくなります。

夜間であれば、さらに視界は悪くなります。

また、強風によって折れた木の枝や倒木、ゴミ箱などが道路上に出ていることもあります。

いつも走り慣れている道路でも、

「この先は大丈夫だろう」

と決めつけることはできません。

少し前まで何もなかった場所に、突然障害物が出ている可能性もあります。

救急車だからといって、そうした障害物を気にせずに走るわけにはいきません。

傷病者のもとへ急ぐ一方で、前方の状況を普段以上に確認しながら走行する必要がありました。

特に怖かった自転車の飛び出し

もう一つ、台風の夜に注意していたのが自転車でした。

雨風が強い状況では、自転車に乗っている人自身も前を見ることに精いっぱいになっていることがあります。

そのため、救急車のサイレンが聞こえていても、どこから近づいているのか分からなかったり、接近に気づくのが遅れたりすることもあります。

交差点や脇道では、

「自転車が急に出てくるかもしれない」

と考えながら走行していました。

特に夜間や視界不良の中では、こちらから見えていても、相手が救急車に気づいているとは限りません。

だからこそ、緊急走行中でも速度を落とす必要がある場面があります。

急ぐことと安全に到着すること

呼吸苦という通報を受けている以上、救急隊としては一秒でも早く現場へ到着したい気持ちがあります。

しかし、そこで無理な運転をして事故を起こしてしまえば、傷病者のもとへたどり着くことすらできません。

枝木や倒木などの障害物。

雨による視界不良。

そして、自転車や歩行者の予想しにくい動き。

台風の夜は、普段以上に多くの危険を考えながら運転する必要がありました。

このときも、周囲の状況を確認しながら速度を調整し、無事に男性の自宅へ到着しました。

無事に医療機関へ

現場に到着したあとは、男性の呼吸状態や意識状態などを確認しました。

その後、救急車内へ収容し、受け入れ可能な医療機関を探します。

搬送先も決まり、男性の状態を継続して観察しながら医療機関へ向かいました。

搬送中に大きな容体変化はなく、無事に医療機関へ到着。

現場での状況や観察した内容を医師へ申し送り、引き継ぐことができました。

救急車は、傷病者のもとへできるだけ早く向かう必要があります。
だからといって、速度を上げることだけが「急ぐ」ということではありません。

もし救急車が事故を起こせば、傷病者のもとへ到着できなくなるだけでなく、さらに別の事故を発生させてしまう可能性もあります。

特に台風のような悪天候では、普段以上に速度を調整し、周囲を確認しながら安全に走ることが必要です。

一見すると、速度を落とすことで到着が遅くなるように感じるかもしれません。

しかし、救急車が安全に現場へ到着し、傷病者を医療機関まで確実に搬送することこそが、結果的には傷病者のためになるのだと感じた事案でした。


ライター:とし

元救急隊員。消防で17年、主に救急隊として活動し救急救命士資格を取得。現場経験をもとに、救急の分かりにくい部分を一般向けに噛み砕いて発信しています。


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