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「悪いね、遅くて」セルフレジの前で立ち尽くした高齢の客。だが、並んでいた客の一言とは

  • 2026.8.23
「悪いね、遅くて」セルフレジの前で立ち尽くした高齢の客。だが、並んでいた客の一言とは

四人が並んだセルフレジ

買い出しの帰りに、近所のスーパーへ牛乳を買いに寄ったときのことです。

セルフレジには、列ができていました。

どの人も買う物は少なく、すぐに順番が来るだろうと思っていました。

ところが、先頭にいた高齢の男性が、商品を手にしたまま動きを止めています。

「これは、どこに当てるんだったかな」

男性は商品の表と裏を何度も返しながら、読み取り機の前で困ったように首をかしげました。

近くで台を拭いていた店員が気づき、すぐに男性の横へ向かいます。

「バーコードを、こちらの窓に向けてください」

店員が読み取り機を指さすと、男性はゆっくりと商品を近づけました。

ピッ、と音が鳴ります。

商品の向きに困惑する客

「おお、できた」

男性は安心したように笑いました。

しかし、かごの中にはまだ何点か商品が残っています。

次の商品を持ち上げたものの、バーコードが見つからないらしく、また手が止まりました。

少しずつ重くなった空気

店員は商品を受け取らず、バーコードの位置を指で示しながら説明を続けました。

「こちらの線が入っている部分です」

「これかね。すまないねえ」

男性は後ろを振り返り、列に向かって小さく頭を下げました。

その間にも、隣のセルフレジでは会計を終えた客が次々と立ち去っていきます。

私の前に並んでいた女性は、かごを持ち直しました。

さらに前にいた男性も、腕時計へ視線を落とします。

誰も文句は言いませんでした。

それでも、高齢の男性には後ろの様子が伝わっているようでした。

「悪いね、遅くて。先にやってもらったほうがいいかね」

男性は商品をかごへ戻そうとしました。

店員も困ったように列を見ます。

そのとき、私の前に並んでいた男性が口を開きました。

「大丈夫ですよ。急いでいませんから、ゆっくりやってください」

大きな声ではありませんでした。

列の男性の一言

けれど、その言葉は先頭までしっかり届きました。

腕時計を見ていた男性も、それ以上時間を気にする様子を見せません。

私の前の女性も、静かにうなずいていました。

「そうかい。ありがとう」

高齢の男性は、もう一度頭を下げました。

最後まで自分で終えた会計

店員は急かすことなく、残りの商品も一つずつ案内しました。

読み取りを終えると、今度は支払い方法を選ぶ画面が表示されます。

「カードなら、こちらを押してください」

男性は画面に指を近づけましたが、押す直前で止まりました。

「これでいいのかね」

「はい。そちらで大丈夫です」

店員は操作を代わるのではなく、横から手順を伝えています。

自分で終えた会計

男性は財布からカードを取り出し、差し込み口へ向きを確かめながら入れました。

しばらくして、レシートが出てきます。

「できた」

男性の声が、少し弾んでいました。

自分でレシートを引き抜くと、店員へ何度も頭を下げます。

「ありがとう。今度は一人でもできそうだ」

そして、後ろの列にも頭を下げます。

「お待たせしました」

先ほど声をかけた男性が、軽く手を上げます。

「全然待っていませんよ」

高齢の男性は袋を提げ、少し照れたように笑いながら店を出ていきました。

その後、列は何事もなかったように進み始めました。

お礼を言う客

私の会計は、牛乳一本だけだったので、ほんの数秒で終わりました。

混雑していると、つい前の人を急かしたくなることもあります。

けれど、ほんの少し待つことで、次から一人でできるようになる人もいるのかもしれません。

あの男性のひと言で、店員だけでなく、列にいた私まで肩の力が抜けた気がしました。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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