1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. “築35年の実家”を相続した50代男性→「収入になる」月8万円で賃貸に出そうとするが…不動産会社から告げられた“想定外の事実”

“築35年の実家”を相続した50代男性→「収入になる」月8万円で賃貸に出そうとするが…不動産会社から告げられた“想定外の事実”

  • 2026.9.28
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

「月8万円で貸せれば年間96万円。5年なら480万円になる」そう考えていたのに、入居者を募集する前に提示されたのは、約200万円の修繕費。それなら相続した実家は、使わないなら「貸して家賃収入を得ればいい」と考えたくなるものです。

しかし、古い住宅では、家賃が入るより先に大きな出費が待っている場合があります。今回は、父から相続した実家を2年間空き家にしていた56歳男性のケースから、「貸せば収入になる」という思い込みの落とし穴を見ていきます。

「月8万円なら年間96万円」実家を貸すことにした56歳男性

56歳男性のHさんは、2年前に父を亡くし、地方にある築35年ほどの戸建て住宅を相続しました。

Hさんは妻と持ち家で暮らしており、実家へ戻る予定はありません。ただ、30年以上父が暮らした家です。すぐに売却する気持ちにはなれず、「しばらく残しておこう」と考えていました。そうして誰も住まないまま約2年が経過します。

その間も、Hさんのケースでは固定資産税などで年間約10万円の負担がありました。庭の手入れや実家までの交通費もかかります。

「住んでいない家に毎年お金だけ出ていくのももったいない」そう感じ始めたHさんが考えたのが、賃貸住宅としての活用でした。

周辺の戸建て賃貸を調べてみると、似た広さの物件が月7万~9万円程度で募集されています。そこでHさんは、月8万円ほどなら貸せるのではないかと考えました。月8万円なら1年間で96万円。5年間なら単純計算で480万円です。

「実家を残せて、毎月8万円も入ってくるなら悪くない」家賃で固定資産税などもまかなえると考え、Hさんは不動産会社へ相談しました。

貸す直前に判明した「修繕費約200万円」

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

不動産会社へ相談した後、実際に貸し出せる状態か確認するため、工事業者にも住宅を見てもらったそうです。住宅の状態を確認すると、キッチンや浴室などの水回りには補修や交換が必要な部分があり、屋根にも傷みが見つかりました。

さらに、床や壁紙の補修、室内清掃なども必要です。見積もりでは、水回りに約60万円、屋根などの修繕に約70万円、床や壁などの内装に約40万円、清掃やその他の補修に約30万円。合計すると、およそ200万円でした。

Hさんは「古い家なので50万円くらいはかかるかもしれない」と考えていました。実際の見積額は、その約4倍です。月8万円の家賃で考えれば、200万円は家賃25か月分に相当します。

「年間96万円入ると思っていたのに、その前に200万円も必要なのか」ここで初めてHさんは、家賃だけを見て賃貸活用を考えていたことに気付きました。

家賃8万円でも「2年で回収」とはいかない?

修繕費200万円に対し、家賃が月8万円なら年間96万円です。200万円÷96万円で計算すると約2.1年となり、単純計算では2年1か月ほどで取り戻せるように見えます。

しかし、96万円がそのまま手元に残るわけではありません。

たとえば管理会社への費用を家賃の5%と仮定すると、年間4万8,000円です。さらにHさんのケースでは固定資産税などで年間約10万円の負担があります。

1か月空室になれば、その分だけ家賃8万円の収入も減ります。入居後に給湯器やエアコンなどが故障すれば、追加の修繕費が発生する場合もあります。

そのため、「200万円÷年間96万円=約2年」と単純に考えるのは注意が必要なのです。

修繕費を抑えて貸せる場合もある

物件の状態や契約内容によっては、貸主側の初期負担を抑えられる方法もあります。その一つが「DIY型賃貸借」です。

契約内容によっては、借主が費用を負担して一定の改修を行う形もあります。

ただし、DIY型賃貸借にしたからといって、必要な修繕が自動的にすべて借主負担になるわけではありません。どこを改修するのか、費用を誰が負担するのか、退去時に元へ戻す必要があるのかなどを、貸主と借主の間であらかじめ決めておくことが重要です。

また、自治体によっては空き家の改修に利用できる補助制度を設けている場合もあります。200万円をかけると決める前に、どこまで修繕が必要なのか、負担を抑えられる方法がないかを確認しておきたいところです。

家賃より先に「貸すまでの費用」を確認

月8万円なら年間96万円、5年間なら480万円。この数字だけを見ると、相続した実家を貸すことは魅力的に感じるかもしれません。

しかし今回のように、最初に約200万円の修繕費が必要なら話は変わります。さらに空室や管理費、税金、将来の修繕費まで含めると、実際に残る金額は少なくなります。

FPとしては、「月いくらで貸せるか」を考える前に、「貸し始めるまでにいくら必要か」を確認することが大切だといえます。

家賃収入と初期費用。この2つの数字を並べてから、貸すのか、売るのかを判断するのがポイントです。


※事例は制度や仕組みをわかりやすくするため、内容を一部調整しております。実際の修繕費や賃料、税負担などは建物の状態や地域によって異なります。

の記事をもっとみる

注目コンテンツ