1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 「これで利息が増えるはず」新規口座を3つ増やして“500万円を分散預金”した50代女性→1年後、通帳を見て“目を疑ったワケ”

「これで利息が増えるはず」新規口座を3つ増やして“500万円を分散預金”した50代女性→1年後、通帳を見て“目を疑ったワケ”

  • 2026.9.27
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPで預金や金利まわりの相談を数多く受けてきた柴田です。

金利が上がり、「どこの銀行に預けるのがいちばん得か」を調べる方が増えました。熱心なのはよいことなのですが、その努力が報われているとは限りません。

今回は、1年かけて銀行を比較した50代のAさんのお話です。

比較に比較を重ねて口座が5つになった

Aさん(50代女性)は、金利上昇のニュースをきっかけに、預金の預け先を見直し始めました。さまざまな銀行がキャンペーンを打ち出しているのをきっかけに、雑誌やネットのランキングを調べます。金利の高い銀行を見つけては口座を開設し、1年で口座が3つ増えました。新規開設した口座に預けている合計は、500万円ほどです。

「手間はかかったけど、これで利息が増えるはず」。

ところが1年後、通帳を見て目を疑いました。

各行の利息を書き出して合計したものの、思っていたほどの金額になっていなかったのです。

1年分の利息を合計してみると

私が一緒に計算してみて、理由がはっきりしました。Aさんがいちばん高い金利の銀行だと思っていた口座は、たしかに年1.0%でしたが、その金利が付くのは100万円までで、超えた分は0.65%という設計でした。残る2行も同じような制度設計で、年0.2〜0.4%程度です。

500万円を3行に置いた場合の利息は、税引前でざっくり年2万円台。1年かけた比較と3回の口座開設の対価としては、物足りない金額です。

高金利が適用される条件にも注意

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

また、金利の高さを売りにする口座には、給与の受け取りや証券口座との連携といった条件が付いていることもあります。条件を満たさなくなった月は金利が下がるため、「いちばん高い金利」で計算した皮算用どおりにはいきません。高金利をうたう表示を見たら、金額の上限と条件の2つを必ず確かめてください。

ここで見落とされがちなのが、「銀行の中での比較」には限界があるという点です。全国銀行協会も説明しているとおり、銀行は預かったお金を企業への貸し付けや国債で運用し、その収益の中から預金者に利息を払っています。つまり、預金の金利は運用先の利回りより低いところに置かれるのが基本です。事実、2026年9月の時点で、個人向け国債(変動10年)の募集利率は年1.95%でした。500万円なら年9万円台の計算です。

もちろん、個人向け国債は発行から1年間は換金できないなど、普通預金と同じようには使えません。それでも、金利にフォーカスすると、構造上は「銀行の預金は個人向け国債の下位互換」にならざるを得ないのです。

増やした口座はコストも呼び込む

さらに、口座を増やすことには見えない負担もあります。使わなくなった口座を放置すると、年1,320円程度の未利用口座管理手数料がかかる銀行があります。10年間まったく取引がなければ、休眠預金として扱われる仕組みもあります。増やした口座は、管理の手間だけでなく、将来の目減りの種にもなるのです。

そしてもう一つ、ご本人よりも家族に効いてくるのが、相続のときの手続きです。預金の相続手続きは、口座のある金融機関ごとに行う必要があります。亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本や、相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書などが必要です。つまり、口座を増やすごとに相続の手続きが面倒になってしまうのです。

しかも残された家族は、そもそも「どこに口座があるのか」を探すところから始めなければなりません。通帳のないネット専業銀行の口座なら、存在そのものに気づいてもらえない可能性もあります。法務局の「法定相続情報証明制度」を使えば、一覧図の写しで戸籍の束を何度も出し直す必要はなくなりますが、口座の数だけ手続きが発生すること自体は変わりません。

金利を追いかけて増やした口座が、10年後、20年後に家族の手間として返ってくる。これは通帳のどこにも記載されないコストです。

まとめ

高金利をうたう口座は「いくらまで」「どんな条件で」その金利が付くのかを必ず確認しましょう。また、当面使わないお金は普通預金から定期預金や個人向け国債へ移すのも選択肢です。

Aさんは結局、持っている口座を「5つ→3つ」に整理し、使う予定のない300万円を個人向け国債に移しました。「銀行の定期預金キャンペーンには、もう乗せられません」と笑っていたのが印象的です。


参考:
どうして預金するだけで利息がつくの?税金は申告しなくていいの?(一般社団法人全国銀行協会)
個人向け国債『変動10年』商品概要(財務省)
預金相続の手続に必要な書類(一般社団法人全国銀行協会)
「法定相続情報証明制度」について(法務局)

執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,500記事以上の執筆実績あり。

の記事をもっとみる

注目コンテンツ