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「遅くてすみません」レジで会計に時間がかかった客。だが、店員と並んでいた客の優しい一言で場が和んだ

  • 2026.8.7

夕方のレジに延びた長い行列

仕事帰りに立ち寄った近所のスーパーは、夕方の買い出し客でどのレジも長い列ができていました。

私が並んだ列のいちばん前にいたのは、小柄で品のいい年配の女性です。会計の番になり、財布から小銭を取り出そうとしたのですが、その指先がなかなか思うように動きません。

一枚つまんでは取り落とし、また数え直して、レジ台の上で硬貨をそろえるのに、ずいぶんと時間がかかっていました。

後ろに延びる列は、どんどん長くなっていきます。ちらりと腕時計に目をやる人、小さくため息をつく人。夕飯の支度を控えて、一分一秒でも早く帰りたい時間帯です。

急いでいる気持ちは、私にも痛いほど分かりました。

女性自身が、いちばん焦っていたのでしょう。肩をすぼめ、震える指で財布の中をのぞき込みながら、消え入りそうな声を漏らします。

「遅くてすみません」

ぴりぴりと張り詰めた空気が、レジの周りにじわりと漂い始めました。誰かが「早くして」と口にすれば、この人はもっと縮こまってしまう。そう思って、私は思わず身構えてしまいました。

店員の一言で和んだ列

ところが、レジの若い店員さんは、急かすどころか、やわらかい笑顔でこう声をかけたのです。

「ゆっくりで大丈夫ですよ」

その一言に、女性のこわばった表情が、ふっとゆるみました。ほっとしたように顔を上げて、女性は小さな声で打ち明けます。

「最近、手が動きにくくてね。ごめんなさい」

店員さんは、少しも困った顔を見せませんでした。それどころか、いっそう明るい笑顔で、こう返したのです。

「気にしないでください。皆さんに買い物を楽しんでいただくのが、私の仕事ですから」

その言葉を聞いて、張り詰めていた列の空気が、すっとほどけていくのが分かりました。

すると、さっきまで時計を気にしていた後ろのお客さんまでもが、穏やかな声をかけ始めたのです。

「どうぞ、ごゆっくりで大丈夫ですよ」

「慌てなくていいですからね」

誰ひとり急かす人はいなくなり、みんなが女性の手元を、静かに温かく見守っています。やがて硬貨を数え終えた女性は、深く頭を下げました。

「本当に、ありがとうございました」

「お気をつけて、またいらしてくださいね」と、店員さんは笑顔でその背中を見送ります。

たったひとつの優しい一言が、とげとげしくなりかけた夕方のレジを、こんなにも温かくほどいてくれる。人の思いやりに触れたその光景は、帰り道もずっと、私の胸に温かく残ったのです。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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