1. トップ
  2. エンタメ
  3. 朝ドラ“初出演”の『元国民的アイドル(29歳)』 ミュージカルで磨き上げた“異色の才能”の底力とは

朝ドラ“初出演”の『元国民的アイドル(29歳)』 ミュージカルで磨き上げた“異色の才能”の底力とは

  • 2026.6.17

生田絵梨花の2026年は、俳優としてもアーティストとしても、大きな節目の一年になっている。

NHK連続テレビ小説『風、薫る』への出演、1stフルアルバム『I.K.T』のリリース、そして全国ツアー「Erika Ikuta Tour 2026『I.K.T』~I Know Tomorrow~」の開催。朝ドラ初出演という新たな挑戦と、ソロアーティストとしての活動が同時に進んでいる今は、生田絵梨花という表現者の現在地を考えるにはちょうどいいタイミングだ。『風、薫る』での演技を中心にしながら、アルバムやツアーへと広がる2026年の動きを追っていきたい。

undefined
芸能 ドラマ「素晴らしき哉、先生!」制作発表 生田絵梨花 (C)SANKEI

朝ドラ初出演で広がる、生田絵梨花の俳優としての現在地

とりわけ大きいのが、NHK連続テレビ小説『風、薫る』で朝ドラ初出演を果たしたことだ。乃木坂46卒業後、生田は舞台を中心に、ドラマ、映画、音楽活動へと活動の場を広げてきた。そこに朝ドラという新たな挑戦が加わったことは、彼女のキャリアを考えるうえでも大きい。生田が玉田多江という役をどのように見せていくのかは、2026年の彼女を追ううえで大きなポイントになる。

生田が演じる多江は、りん(見上愛)や直美(上坂樹里)とともに看護婦養成所で学ぶ人物だ。医者の家に生まれ、医療を身近に感じて育ってきたこともあり、学ぶ姿勢は誰よりも真面目で、看護に向き合う気持ちも強い。一方で、その真剣さが前に出るあまり、周囲との距離が少しぎこちなく見える場面もある。

第30回では、そんな多江の内側にあった思いが大きく動いた。高熱で倒れ、声も出せなくなった多江のもとに、父・仙太郎がやって来る。退学の話が持ち出される中、多江は弱った体を起こし、「嫁入りの修業」ではなく、本当に看護婦になりたいのだと父に伝える。これまで気の強さや真面目さとして見えていたものが、実は自分の道を認めてほしいという切実な思いから来ていたことが、この場面で伝わってくる。

生田といえば、ミュージカルでの確かな実績がある。舞台で鍛えてきた歌唱力、発声、感情を客席まで届ける力は、彼女の大きな武器だ。ただ、『風、薫る』で見せているのは、その力を前面に押し出す芝居ではない。多江という人物には、強さだけでなく、焦りや悔しさ、認めてほしいという思いもある。第30回で父・仙太郎に看護婦になりたいと伝える場面では、その思いが大きな台詞回しではなく、声のかすれや表情の揺れから伝わってきた。

舞台で培った表現を、映像の距離感に合わせてどう変えるか。そこに、今の生田絵梨花の面白さがある。アイドル時代に身につけたステージでの華やかさ、ミュージカルで磨いた歌と芝居、映像作品で重ねてきた細やかな表情の作り方。それぞれの経験が、『風、薫る』の多江に自然とつながっている。生田はひとつの場所にとどまるのではなく、現場ごとに表現を更新しながら、自分の幅を広げてきた俳優だ。

『I.K.T』と全国ツアーで示す、アーティスト・生田絵梨花の歩み

2026年に1stフルアルバム『I.K.T』をリリースしたことも、今の生田を語るうえで外せない。生田は乃木坂46時代から歌唱力で存在感を示してきたが、卒業後はその歌を、より自分自身の表現として届ける方向へ進んできた。2024年には1st EP『capriccioso』でソロデビュー。自作曲を中心に、ピアノを軸にした楽曲を通して、日常の中にある感情を丁寧に歌ってきた。

その流れをさらに広げたのが、1stフルアルバム『I.K.T』だ。収録曲には、TVアニメ『本好きの下剋上 領主の養女』のエンディングテーマ「今も、ありがとう」をはじめ、「ピリオド」「花のひとひら」「ナイトアクアリウム」「trampoline」などが並ぶ。中でも「ナイトアクアリウム」や「trampoline」では、生田自身が作詞・作曲にも関わっており、歌うだけでなく、自分の言葉やメロディで楽曲を作っていく姿勢が見える。グループ時代に培った歌唱力、ミュージカルで磨いてきた表現力、ソロとしての創作。その積み重ねが、アルバムという形でまとまっている。

さらに、そのアルバムを携えて全国ツアーへ向かうことにも大きな意味がある。音源として楽曲を届けるだけでなく、ステージ上でどのように歌い、観客とどう向き合うのか。そこには、乃木坂46時代から培ってきたライブでの経験と、ソロアーティストとして自分の音楽を届ける責任感の両方が表れるはずだ。2026年の生田は、俳優として注目を集める一方で、アーティストとしても自分の活動をしっかり前に進めている。『I.K.T』と全国ツアーは、その歩みを確かめる大きな機会になる。

2026年の活動から見えてくるのは、活動の幅広さに加えて、どの場所でも経験を積み上げてきた人の強さだ。乃木坂46時代から歌やステージで存在感を示し、卒業後は舞台、ドラマ、映画、音楽へと活動を広げてきた。その歩みがあるから、朝ドラ初出演、1stフルアルバム、全国ツアーという今年の動きにも説得力が生まれる。俳優として新たな役に挑み、アーティストとしても自分の音楽を届けていく。2026年は、生田がこれまでの経験を力に変え、次のステージへ進んでいく一年になるだろう。


※記事は執筆時点の情報です。

ライター:川崎龍也
大学卒業後にフリーランスとして独立。現在はアイドル雑誌を中心に、取材・インタビュー/コラム執筆を主軸に活動している。主な執筆媒体は『BOMB』『MARQUEE』『EX大衆』『音楽ナタリー』『RealSound』など。
X(旧Twitter):@ryuya_s04

の記事をもっとみる