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新“NHK夜ドラ”すでにSNSざわつき…「超期待」「出演ドラマにハズレなし」オリジナル脚本に“主演女優”がハマる予感

  • 2026.5.30

6月1日スタートのNHK夜ドラ『ミッドナイトタクシー』。すでにSNS上で「超期待」「琴音ちゃん出演のドラマはハズレなし」とざわついている。主演は古川琴音、舞台は夜の東京で、主な舞台は深夜勤務専門のタクシーだ。運転席に座る29歳のドライバー・蘭象子(あららぎ・しょうこ)は、饒舌でも気配り上手でもないのに、なぜか乗客はその夜の風景を後になって思い出してしまうという。15分×全32話。眠る前の短い時間に、胸の奥だけをそっと揺らす物語になるだろう。

バックミラー越しの距離感

『ミッドナイトタクシー』の設定で際立つのは、タクシーという空間の特殊性だ。目的地に着けば、降りるだけ。お互いに名前すら知らない関係が、たった数十分だけ成立する。その一過性は冷たいようでいて、ときに救いになる。
友だちや家族には言いにくいことほど、見知らぬ相手にふっと漏れるからだ。

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夜ドラ『ミッドナイトタクシー』第1週目(C)NHK

バックミラー越しのコミュニケーションという構図も粋である。近年なら、ダコタ・ジョンソンとショーン・ペンの映画『ドライブ・イン・マンハッタン』を彷彿とさせる。真正面から目を合わせず、たとえ視線が交差しても一瞬で流れていく。

現代の私たちは、対面でのやり取りに疲れやすい。だからこそ、“向き合わない会話”がむしろ誠実に感じられる瞬間がある。相手の顔色を読みすぎず、自分の言葉を取り戻せる距離。深夜のタクシーは、その距離を強制的に作ってくれる場所だ。
公式の紹介にあるエピソード例が、すでに魅力的である。示唆されているエピソードは、どれも人生の大事件ではない。しかし、人生の方向を静かに変える“通過点”の物語だ。

夜ドラの15分という尺が、ここで効いてくる。タクシーの乗車時間と同じで、長く引っ張らない。その代わり、降車したあとにこそ効いてくる。見終わってから、いつもの夜道が少し違って見える……そんな、余韻の深いドラマになりそうだ。

言葉より先に、残る空気

この作品の要である、タクシードライバー・蘭象子という主人公。象子は、取り立ててじょう舌でもなく、特別な気配りができるわけでもない……と紹介されている。つまり彼女は“優しい言葉で救ってくれる人”ではない。カウンセラーでも救世主でもないということだ。
なのになぜか、彼女の運転するタクシーに乗った人は、その夜の風景を思い出してしまう。言葉より先に、空気が残る人なのだろう。

象子の魅力は、踏み込みすぎないことにあるはずだ。人の悩みに、上から目線で正解を与えない。背中を押しすぎない。だからこそ、乗客は安心して少しだけ本音をこぼせる。余計な善意は、人を追い詰めることもある。
それでも象子は、ただ無関心でいるわけではない。踏み込みすぎないけれど、何もしないわけではない、彼女のちょっとした所作。ここに、古川琴音がハマる予感がある。

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夜ドラ『ミッドナイトタクシー』第1週目(C)NHK

表情の変化が大きいわけではないのに、見ている側が勝手に感情を読み取ってしまう。静かで、ミステリアスで、でも冷たいわけではない。彼女の芝居は、主役だろうがそうじゃなかろうが、“物語の芯”になれる類のもの。派手に泣かなくても、派手に叫ばなくても、画面の奥行きを増やしてしまうのだ。

しかも象子自身も、ただの聞き役では終わらない。人の人生の通過点にいるだけのつもりが、いつのまにか自分も30歳という節目に向かって“探しもの”を探し始めるという。乗客の物語が積み重なるほど、象子の内側も動いていく。癒やす側の人が、癒やされ直していく物語。これがあると、短編連作は一気に“連続ドラマ”の強度を持つ。

兵藤るり脚本×豪華ゲストが生む“夜の短編連作”

脚本は兵藤るりの完全オリジナル。短い尺のなかで、人の心の機微や言葉の裏側を掬い取れる書き手が、タクシーという舞台を得たら強いはず。
タクシーでは、自然と会話が始まる。目的地があるから、会話にも終点がある。終点があるから、人は本音を言える。その構造自体が、脚本の武器になる。

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夜ドラ『ミッドナイトタクシー』第1週目(C)NHK

さらにゲスト陣がやたらと豪華で、一癖も二癖もありそうな顔ぶれが並ぶのも心強い。夜の東京には、昼間とは違う人格が歩いている。肩書きがほどけ、欲や寂しさが露出する。15分という短さは、その露出を“見せすぎない”ためにも効く。
眠る前に見るドラマとして、心を煽りすぎず、でも空っぽにもしない……そんなラインを狙っている気がする。


NHK 夜ドラ『ミッドナイトタクシー』毎週(月)〜(木)夜10:45~11:00
6月1日(月)放送スタート
NHK ONE(新NHKプラス)同時見逃し配信・過去回はNHKオンデマンドで配信

ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X:@yuu_uu_

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