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彼女の誤送信のおかげで、俺たちは向き合い救われた

  • 2026.3.14
ハウコレ

交際3年目、仕事のトラブルに追い詰められていた俺は、一番大切な人をどんどん遠ざけていました。彼女が別れを決意していたことを知ったのは、その後のことでした。

限界だった日々

あの頃の俺は、余裕を完全に失っていました。

職場で担当していたプロジェクトで大きなトラブルが発覚し、連日の残業と休日出勤。取引先への謝罪、上司からの叱責、チームメンバーのフォロ、すべてが同時に降りかかっていました。

彼女からLINEが来ても、返せるのは「了解」の一言。本当はもっと話したかった。「今日こんなことがあってさ」と愚痴を聞いてもらいたかった。でも、こんな状態の自分を見せたくなかったのです。

「忙しい」と言えば、それ以上聞いてこない彼女の優しさに甘えていました。会いたいと言われても「忙しい」で押し通して、気づけば1カ月以上会っていない。

心のどこかで、わかっていました。このままじゃまずい。 でも「落ち着いたらちゃんと話そう」「今はとにかく仕事を片づけないと」と先延ばしにして、彼女の気持ちを見て見ぬふりをしていたのです。

「話したいことがある」

ある夜、残業を終えてスマホを開くと、彼女からメッセージが届いていました。

「直接会って話したいことがある」

「話したいことがある」この言葉の意味を、鈍い俺でも察することはできました。彼女はもう、限界なんだ。

不思議なことに、そのとき頭に浮かんだのは「やっぱりそうだよな」という諦めに近い感情でした。1ヶ月も放置しておいて、待っていてくれるほうがおかしい。自分が彼女の立場なら、とっくに愛想を尽かしている。でも、同時にもう一つの気持ちが湧き上がりました。

このまま終わっていいのか。

俺だって、ずっと話したいことがあった。仕事がきつくて潰れそうだということ。それでも心配をかけたくなくて黙っていたこと。不器用にしか愛せなくて申し訳ないということ。

「実は俺も話したいことがあった。明日会える?」

久しぶりの再会

翌日、いつものカフェで彼女の顔を見た瞬間、胸が詰まりました。彼女の目が少し赤くて、昨夜泣いたんだろうなとすぐにわかりました。

向かい合って座って、俺から先に口を開きました。職場でトラブルを抱えていたこと。心配をかけたくなくて何も言えなかったこと。それがかえって距離を作ってしまったこと。

「……ごめん。一人で抱え込んで、お前のこと置き去りにしてた」

彼女は黙って聞いてくれていました。そして、こう言いました。

「実は、別れようと思ってた」

覚悟していたはずなのに、実際に聞くと息が止まりそうでした。彼女は続けました。別れを告げるLINEを俺に送るつもりだったこと。でも間違えてお母さんに送ってしまったこと。そしてお母さんに「相手の事情は聞いた?」と言われて、立ち止まったこと。

誤送信がなければ、昨日の夜、俺のもとに届いていたのは「もう会えない」というメッセージだった。

もし昨夜あのメッセージが届いていたら、疲れ切った俺は引き止める気力もなく、「わかった」と返してしまっていたかもしれない。そうしたら全部、終わっていた。

「ちゃんと話してくれて、ありがとう」

そう言うのが精一杯でした。自分の不甲斐なさと、彼女のお母さんへの感謝と、まだ間に合ったという安堵が一度に押し寄せて、うまく言葉にできなかったのです。

そして…

俺は変わろうと決めました。

辛いときに「大丈夫」と嘘をつかないこと。忙しくても「了解」で終わらせないこと。たった一言でも、ちゃんと気持ちを込めた言葉を返すこと。

先日、彼女にLINEを送りました。

「あのとき話せてよかった。これからもよろしくね」

短い言葉だけど、俺なりに精一杯の気持ちを込めました。以前の俺なら「了解」で済ませていたようなタイミングで、ちゃんと自分の言葉を選べるようになったこと。それが、あの日からの小さな変化です。

彼女のお母さんに会うたびに、心の中で手を合わせています。あの誤送信は、きっと偶然じゃなかった。 俺たちに必要な"最後のチャンス"を、誰かがくれたのだと思っています。

(20代男性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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