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初期費用ゼロで入居→退去時に一括請求17万円…30代男性会社員が知らなかった“落とし穴”

  • 2026.3.23
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

部屋探しの際、金銭面の負担を軽くしてくれる条件としてよく見かけるのが「敷金ゼロ・礼金ゼロ」の物件です。初期費用を大きく抑えられるため、魅力的に感じた経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

しかし実際の現場では、ゼロゼロ物件が原因で退去時にトラブルへ発展するケースが少なくありません。

「敷金ゼロだから、退去費用もかからないはず」

そのように考えて入居した結果、退去時に思わぬ請求を受けるケースも見られます。

今日は、敷金ゼロ物件で実際に起きた退去トラブルの事例をご紹介します。初期費用の安さの裏にある、費用負担の仕組みについて考えさせられる出来事でした。

「敷金ゼロ」なら退去費用もかからないという思い込み

数年前、30代の会社員Aさんが賃貸の相談に来たときのことです。Aさんが住んでいたのは、敷金0円・礼金0円の1Kアパートでした。

入居時にかかった費用は、前家賃・仲介手数料・火災保険程度で、まとまったお金はほとんど必要ありませんでした。

Aさんは当時、決して金銭的に余裕があったわけではなく「初期費用を抑えられるなら助かる」と考え、迷わず申し込みを決めたそうです。

そのときAさんは、こう話していました。

「敷金がない物件だったので、退去するときもそんなにお金はかからないと思っていました」

ところが退去の立会い(部屋を明け渡す際に、室内の状態を確認する作業)で、状況は一変します。

退去立会いで指摘された「室内の状態」

退去の立会いでは、管理会社の担当者が室内を確認。部屋の中は、正直なところかなり使用感が強く残った状態でした。

指摘されたのは、次の点です。

  • タバコのヤニで黄色くなったクロス
  • 家具を動かしたときについた床の深い傷
  • キッチン周りの強い油汚れ

部屋を一通り確認したあと、担当者は少し困った表情で説明しました。

「かなり状態が悪いですね…こちらは借主様負担の原状回復になります」

Aさんは驚いた様子で言いました。

「え、敷金ゼロですよね?」

すると担当者はこう答えました。

「敷金がないことと、原状回復費用が発生することは別の話です」

そのときAさんは初めて、“負担区分”という考え方を知ったそうです。

原状回復には「大家負担」と「借主負担」がある

賃貸住宅では、退去時の修繕費用には負担区分という考え方があります。一般的には、次のように分けられます。

借主負担になりやすい例

  • 家具を動かしたことでできた床の深い傷
  • 壁に開けた大きな穴
  • タバコのヤニ汚れ
  • 放置した水回りの強い汚れ

大家負担になりやすい例

  • 日焼けによるクロスの変色
  • 設備の自然故障
  • 時間の経過による劣化(経年劣化)

つまり、入居者の使い方によって発生した傷や汚れは借主負担になるという考え方です。敷金がある場合は、退去時の修繕費用を敷金から差し引く形になります。

しかし、Aさんの物件は敷金ゼロだったため、借主負担の修繕費はそのまま請求される仕組みだったのです。

ゼロゼロ物件は「退去費用がない」わけではない

Aさんに提示された費用は、合計約17万円でした。

内訳は次のとおりです。

  • クロス張替え(ヤニ汚れ)
  • 床補修
  • ハウスクリーニング費用

結局Aさんは、退去時に一括で支払うことになりました。

ゼロゼロ物件は初期費用を抑えられる一方、退去費用がなくなるわけではありません。むしろ敷金がない分、負担区分やクリーニング費用を巡ってトラブルになりやすい傾向があります。

契約前には、退去時のルールや特約内容を確認しておくことが大切です。退去時に借主がどのような費用を負担する可能性があるのか。契約時に一言確認しておくだけでも、退去時のトラブルを防ぐことにつながります。

初期費用の安さだけで判断すると、思わぬ出費につながることがあります。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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